2015年02月14日

haif and half / ハーフアンドハーフ -latter part-








          :サンドリオンの店内 -----


コウヘイ 「エーッと ... 僕は ... 」

ユウコ  「任せてくれない?」

コウヘイ 「エ? ああ、いいよ」

ユウコ  「それじゃ同じものでお願いします、マスター」

マスター 「はい。かしこまりました ... 」


       SE:冷えたグラスに、ホワイトビールとトラストビールが
         1/2ずつ注がれる -----


コウヘイ 「遅くなって申し訳ない ... 荷物の受け取りに手間取ったりしててな ... 」

ユウコ  「それより、ちょっと痩せたんじゃなくて?」

コウヘイ 「そうかな ...? ちゃんと朝晩食べてたけどな ... 」

ユウコ  「ダメよ、ちゃんとお昼も取らなきゃ ... 」

コウヘイ 「いつも昼は朝と兼用だからな ... 」

マスター 「失礼いたします ... どうぞ」(グラスを置く)

コウヘイ 「あ、どうも ... 」

ユウコ  「知らないわよ ... 異国の果てでぶっ倒れたって ... 」

コウヘイ 「まあまあ ... 久しぶりに顔を合わせたんだから、そう固いこといわずに
      乾杯乾杯」

ユウコ  「もう ... 」


       SE:グラスの重なる音 -----


コウヘイ 「(カクテルを一口飲み)ン? うまいね、このビール ... 何なのこれ?」

ユウコ  「これは『ハーフ アンド ハーフ』といって、2種類のビールを半分ずつ混ぜ合わせた
      カクテルなの」

コウヘイ 「いや、それは知ってるけど ... ならこのビールの組み合わせは抜群だな。
      それに普通なら、黒ビールと混ぜるからそれなりの色合いになるのに、これは
      どちらかといえば赤茶っぽい色をしてる ...
      一体、何と何のビールを使ってるの? マスター」

マスター 「それは ... 」

ユウコ  「秘密なのよ、それは」

コウヘイ 「あれ? どうしてそうなるの?」

マスター 「それは ... 」

ユウコ  「それも秘密 ... 全部ヒ、ミ、ツ」

コウヘイ 「おいおいどうなってるんだよ、一体 ... 」

ユウコ  「でも一つだけ教えてあげるわ ... 」

コウヘイ 「一つだけ ... ?」

ユウコ  「この組み合わせは、今日のために私が用意したビールをマスターに作ってもらった
      ものなの」

コウヘイ 「今日のために? お前が? ... どうして?」

ユウコ  「これだから男の人って嫌なのよね ... 」

コウヘイ 「エ?」

ユウコ  「そもそも今日は何の日なの?」

コウヘイ 「そりゃ決まってるだろう ... お前と会う日だって ... 」

ユウコ  「それと?」

コウヘイ 「それとって ... 」

ユウコ  「ダメね ... 今日はバレンタインデーでしょ?」

コウヘイ 「ああ、そういうことね」

ユウコ  「もともとチョコレートなんか口にしないあなたには、こんな形のものがいいかなって」

コウヘイ 「そっか、そういうことか ... 」

ユウコ  「で、気に入ってくれたの?」

コウヘイ 「うんうん、いいよこれ ... 最高だよ」

ユウコ  「なら良かった ... マスター、ご協力ありがとう」

マスター 「いいえ、とんでもございません ... 私はただブレンドセレクトさせて頂いただけで ... 」

コウヘイ 「でも、なかなかのセレクトですよ、この組み合わせは。仕事柄いろんな国でいろんなビール
      口にするけど、これほどのものにはなかなか出会いないよ」

マスター 「お褒め頂き、光栄です ... ですが、その2種類のビール自体が、クオリティーの高い
      ビールでして、その上にビール同士の相性が非常に良かったったんだと、そう思います」

コウヘイ 「フーン、そうなんだ ... 」

ユウコ  「相性ね ... 」

マスター 「ですので、どれだけ美味しいといわれているビール同士でも、相性が悪ければ、その
      クオリティーは半減します ... 」

バーテン 「まるで、男と女の組み合わせのようですね ... 」

コウヘイ 「男と女か ... 確かにそうかもしれないな ... 」

マスター 「そうですね ... あえて例えるのでしたら ... その『ハーフ アンド ハーフ』自体が
      夫婦そのものといえるかもしれませんね ... 」

ユウコ  「『ハーフ アンド ハーフ』が夫婦そのもの ... 」

バーテン 「容易いようで、その実は意外に組み合わせの難しい飲み物 ... 
      それがその『ハーフ アンド ハーフ』であり、夫婦というもの ... 」

コウヘイ 「ふたつでひとつか ... 」

マスター 「差し詰めその『ハーフ アンド ハーフ』は ... お二人そのものと、そう感じますね」

ユウコ  「マスターったら ... 」

バーテン 「横から口を挟むようですが、私もそう思います」

コウヘイ 「俺たちは『ハーフ アンド ハーフ』... ふたつでひとつのもの ...
      そうだよな、俺たち夫婦だもんな ... 」

ユウコ  「そうね ... いつもそばにいなくても、たとえ一年に一度しか顔を合わさないとしても ...
      私たち夫婦なんだよね ... 」

マスター 「本来、聖バレンタインデーには、恋する女性が心寄せる男性に、その想いを告白する
      という日である訳ですが ...
      この世のご夫婦にとっては、お二人のように過ごされるバレンタインデーが、一番
      素敵なような気がいたします ... 」

コウヘイ 「夫婦にとってのバレンタインデーか ... お前の気持ち、ありがたく頂くよ ... 」

ユウコ  「言っておきますけど ... その心がけ、いつまでも忘れないようにね」

コウヘイ 「おっと ... 早速これだもんな ... まいったまいった」

ユウコ  「アーっ、もうそんなこと言ってる ... 」


         :会話に紛れて -----


マスター(Na) 恋人である限り、その人は近くて遠い存在でしょう ...
      すべてにおいて新鮮であり、刺激的でしょう ...
      しかし、夫婦となったその瞬間から、その感覚が日に日に薄れていく ...
      妻として夫として、そばにいてあたり前 ... 夫婦としてあたり前 ...
      でも、それは少し違うような気がします ...
      何故なら夫婦とは所詮、他人同士から始まるものなのですから -----







posted by マスターの知人 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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