2012年11月23日

épisode / ベンジャミンの涙 -scene:4-








         :サンドリオンの店内 -----

        SE:静かに流れるジャズ -----


女    「ありがとうございました ... 私、そろそろ帰ります。雨も止んだようなので」

バーテン 「そうですか ... お引留めして申し訳ありませんでした ... 」

女    「いいえ ... それどころか私、ここにいて良かったと思ってますから、気に
      しないでください」

バーテン 「そう言って頂けると ... 幸いです」

女    「それじゃ、失礼します ... マスターによろしくお伝えください」

バーテン 「かしこまりました」

女    「おやすみなさい」

バーテン 「ありがとうございました ... お気をつけて」


         :女、行きかけて立ち止まり -----


女    「そうだ ... 」

バーテン 「どうかなさいましたか ...?」

女    「マスターに伝言をお願いしたいんですが ... 構いませんか?」

バーテン 「何なりとどうぞ ... 」

女    「お返ししたその本 ... 栞のあるところまでは、ちゃんと二人でよみました
      からと、そう伝えておいてください ... 」

バーテン 「かしこまりました ... 」

女    「それじゃ ... 」

バーテン 「ありがとうございました ... 」


        SE:女、店を出て行く/ ドアの音 -----


女(Na)  外は雨だった ---
      音もなく、静かに街を濡らしていた ---

      どうやらこの雨は、私のハートのバロメーターのように、一晩降り続ける
      ようだ ...
      でも、今夜の私のシチュエーションには、ちょうどいいかも知れない ---
      何故なら ... すがるものをなくした女には、持って来いの雨だから ...

      「だって今、私の頬を軽く伝うのは ... 雨の雫なんかじゃないから ... 」

      私には ... 今夜の雨が愛おしく思えた -----


バーテン(Na)彼女が残していった千夜一夜物語には、確かに本の中程のページに栞が
      ありました ...

      しかし、それはただの栞ではなく ...

      ベンジャミンの葉を小さくしたような、涙の跡という栞でした -----






posted by マスターの知人 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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