2012年10月30日

spin-off /「神戸物語」 第四章 -前 編-








ミユキ(Na) それはホントに、奇遇としか言いようがなかった ...
      あの時、瓦礫の中から自分を助け出してくれた人にもう一度会いたいと
      思っていた矢先、その本人と偶然にも同じ場所に居合わせてたのだから
      ... アヤカにすれば、夢のような出来事だったに違いない ...
      まったく、いい気なもんだわ ... 人の気も知らないで -----


アヤカ  「あの時は、本当にありがとうございました」

タクヤ  「いいや、とんでもない。当然のことをしたまでだから ...
      それより、よく僕のことを覚えてたもんだね」

アヤカ  「忘れるわけありません、絶対に。 ... いいえ、忘れられなかった ... 」

タクヤ  「エッ ...?」

アヤカ  「それより ... あの時私、あなたに助けてもらってなければ、今頃ここに
      こうしていられなかった ... 」

タクヤ  「それは君が運が良かったからだよ」

アヤカ  「いいえ。そんな単純なものじゃないと思います ... 」

タクヤ  「いいや ... 意外に単純なものなんだよ。運の良し悪しなんて ...
      ねえ、マスター」

マスター 「どうなんでしょうか ... 私には何とも ... 」

アヤカ  「それにあの時私、気が動転しててあなたの名前も聞かないで、おまけにお礼も
      まともに言えなかったままだったから、すごく気になってたんです ... 」

タクヤ  「そんなこと気にしなくてもいいよ ... 」

ミユキ  「でも良かったじゃない、アヤカ。会いたいと思ってた人とこうして会えたんだ
      からさ。ねえ、マスター」

マスター 「 ... そうですね。でもまさか、サワダさんがアヤカさんを助けられた方だった
      とは ... 」

アヤカ  「サワダ、さん ...?」

タクヤ  「ああ ... 僕の名前、サワダタクヤって言うんだ ... 」

アヤカ  「サワダ、タクヤ ... 」

ミユキ  「フーン ... じゃ、サワタクってとこね ... 」

タクヤ  「(少し笑って)この人、おもしろい人だね ... お友達?」

アヤカ  「はい、一応 ... 少し変わってますけど ... 」

ミユキ  「あのね ... 」

アヤカ  「それじゃ改めて ... 私はスギモトアヤカと言います。
      サワダさん、その節は本当にありがとうございました」

タクヤ  「いえいえ、どういたしまして ... それより元気でいてくれて良かったよ」

アヤカ  「これもサワダさんのおかげです」

タクヤ  「そう言ってもらえると、市の職員としてもありがたいな ... 」

ミユキ  「サワタクさんって、市役所の人なんだ ... 」

アヤカ  「もうっ、ミユキったら ...!」

タクヤ  「この人はミユキさんって言うんだ ... 」

ミユキ  「そうです ... 私はササキミユキと申します、はい」

アヤカ  「だったら震災以降、大変だったんじゃないんですか? お仕事の方」

タクヤ  「ウーン ... 楽じゃなかったことだけは、確かかな ... 今でも」

ミユキ  「今でも?」

タクヤ  「そう ... あの震災によって引き起こされたいろんな問題は、まだ解決されて
      ない数の方が圧倒的に多い ... 」

ミユキ  「確かにそうかも ... 」

マスター 「そうですね ... 帰る場所のない人や、心の病に苦しんでおられる人が
      未だに沢山いらっしゃると、そう耳にします ... 」

タクヤ  「そういう人たちがいる限り ... 震災の問題は解決したとは言えない ...
      だから頑張るしかない ... すべての問題が解決するまで ... 」

アヤカ  「でも、そういうサワダさん自身も被災者 ... いくら仕事とはいえハード
      ですね ... 」

タクヤ  「それは僕だけじゃなく、役所に勤める人、みんなそうだから ... 」

ミユキ  「市長になれそうな感じね、サワタクさんって」

タクヤ  「(笑いながら)まさか ... 」

アヤカ  「でも ... 強い人なんですね、サワダさんて ... 私、尊敬します」

タクヤ  「それは違うかも ... 」

アヤカ  「エ ...?」

タクヤ  「自分では、僕ほど弱い人間はいないと思ってる ... 」

ミユキ  「そうかな ... そんな風には見えないけど ... 」

タクヤ  「人って ... それほど強くない。 ... 誰かがそばにいてくれて、初めて強く
      なれるもんだと、僕はそう思ってる ... 違うかな、マスター」

マスター 「そうですね ... そういうものかも知れませんね ... 」

アヤカ  「サワダさん ... 」

タクヤ  「ウン?」

アヤカ  「今頃あの時のお礼っていうのも何なんですが ... 今夜一緒に、お食事でも
      どうでしょうか?」

ミユキ  「アヤカ ... 」

タクヤ  「そこまでしてもらわなくてもいいよ ... 当然のことしたまでだから。
      それに ... 」

アヤカ  「それに?」

タクヤ  「ここで人と会う約束もしてるし ... 」

アヤカ  「待ち合わせ、ですか ...?」

タクヤ  「そう」

アヤカ  「お友達と?」

ミユキ  「(小声で)アヤカ ... 」

タクヤ  「友達といえばそうなるけど ... 少し違う」

アヤカ  「それじゃ ... 彼女?」

タクヤ  「正確に言えば ... フィアンセなんだ」

アヤカ  「 ... フィアンセ ... 」

ミユキ  「じゃ、結婚するんですか? サワタクさん ... 」

タクヤ  「そう ... 実は今度の日曜日にね」

アヤカ  「 ... 日曜日に、結婚 ... 」


        SE:店のドアが開く ---

         :マキが入ってくる -----


マ キ  「こんばんは ... 」

アヤカ  「 ...!」





posted by マスターの知人 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
blogramで人気ブログを分析 にほんブログ村 小説ブログ 脚本・シナリオへ
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。