2012年10月17日

épisode / V.S.O.P 最終夜 「慕 情」 -scene:1-








ナレーション  過去という時間の流れの中に
        同じ時間の所有があった ---

        唇からこぼれるその囁きが優しく響き
        瞳に映るその仕草が愛おしく感じられた日々 ---

        男にとって、それは心を酔わせた瞬間であり ...
        女にとって、それはつかの間のときめきであった ---

        そう ...

        やがてそれは心に綴られた思い出の欠片となり ...
        仄かな憧れへとその姿を変える ---

        --- すべてがセピア色に染められた、男と女の情景 ---

        そして今ここに ...
        その同じ想い出に微睡む二つのハートが
        それぞれの真実に目を覚ます ...
        真新しい恋の歴史を告げるかのように ---


        SE:ミキシング・グラスにキューブ・アイス(3〜4個)が入れられる ---
         :そこへカナディアン・ウイスキー(2/3)と
          スィート・ベルモット(1/3)、アロマチック・ビターズ(1d)が
          それぞれに入れられ、バー・スプーンで軽くステアされる -----


        その最終夜は ...
        琥珀色のベールに包まれた、心の中までもが見えそうな ...
        そんな透き通った夜に、始まった -----


        SE:ミキシング・グラスにストレーナーをかぶせ、グラスに注ぎ ---
         :仕上げにレッド・チェリーがカクテルピックに刺されて
          グラスに沈められる -----


マスター 「お待たせいたしました ... どうぞ」


         :グラスが置かれる -----


レイコ  「ありがとう ... 」


         :レイコ、カクテルをゆっくりと一口 -----


レイコ  「ウーン ... やっぱり最高 ... マスターのカクテルは」

マスター 「いつもながらお褒め頂けて、光栄です」

レイコ  「私 ... 5年間というものアメリカやヨーロッパを転々としながら、それこそ
      いろんなバーでいろんなカクテルを口にしたけど ...
      やっぱりこの店で飲むマスターのマンハッタンが最高 ... 一番好きよ ... 」

マスター 「余程、お口に合ってるんですね ... 私のカクテルが ... 」

レイコ  「合ってるって言うのかな、この場合は ...
      でも、私にすれば最高としか表現出来ないんだけどな ... 」

マスター 「いずれにしましても ... ここへいらっしゃるお客様にそう言って頂けることは
      私にとってありがたいことです」

レイコ  「それは ... 私にも言えることだわ ... 」

マスター 「レイコさんにも ...?」

レイコ  「そう ... 私にも。
      だって最高の店で最高のカクテルを飲みながら ...
      こうして最後の夜を過ごせるんですもの ... 」

マスター 「最後の夜とは ... レイコさん、それじゃ ... 」

レイコ  「明日パリへ発つつもりなの ... 」

マスター 「レイコさん ... 」

レイコ  「だから今夜が出発の夜 ... つまり最後の夜なのよ、マスター ... 」





posted by マスターの知人 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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