2012年10月13日

épisode / V.S.O.P 第四夜 「哀 愁」 -scene:3-








        SE:微かな波の音 -----


レイコ(Na) そうよね ... 出来ない相談だったのよね ... あの時は。
      私の目の前には楽譜があり、指先には鍵盤の感触しかなかった ...
      彼の眼差しや温もりは、もっと別のところに存在してたもの ...
      そう ...
      彼と別れる辛さより ... 海外へ行ける喜びの方が大きかったから ...
      私にとって、出来ない相談だった ...
      あの時のあの人の ... あの一言は -----

      そして ...


        SE:微かな波の音 -----


      あれから5年経った今 ... 私は一人ここに佇んでいる ...
      あの人に別れを告げたこの場所に ... 想い出を携えながら ---

      ... 結局 ... あの頃と変わってなかったものは ...
      この静かな夜に寄せては返す波の音と ... 私の心だけたったのかも ...


         :レイコ、微かなため息をつき ---
         :ゆっくりと歩き出す ---
         :やがてサンドリオンの前で止まり -----


レイコ   いいえ ... 変わってないものがもう一つ ... ここもそうだった ...


        SE:ドアの開く音 -----


マスター 「いらっしゃいませ ... 」

レイコ  「(独り言のように)そうよね ... この店とマスターもそうだったのよね ... 」

マスター 「どうかなさいましたか ...?」

レイコ  「いえ ... 何でもないです ...
      ... それよりマスター ... あれ以来、あの人ここへは ...?」

マスター 「はい ... あれからは一度も ... 」

レイコ  「そう ... 」

マスター 「今夜はいつもより少し ... お元気がないようですね ... 」

レイコ  「 ... そう見えるのかな ... 」

マスター 「いいえ ... そう感じるんです ... 」

レイコ  「(少し笑って)マスターったら ... 」

マスター 「 ... そんな今宵のご注文は ... いかがいたしましょう ...?」

レイコ  「 ... そうね ...(しばらく考えて)
      今夜はマスターに ... 任せてみたい気分なんだけど ...
      それでもいいかな ... マスター」

マスター 「かしこまりました ... 」


        SE:オールドファッショングラスが用意され ---
         :そこへキューブアイスが2〜3個入れられる ---
         :スコッチウイスキー(2/3)とドランブイ(1/3)が注がれ
          バースプーンで軽くステアされ ---
         :やがてグラスが置かれる -----


マスター 「お待たせいたしました ... どうぞ」

レイコ  「マスター、これは ...?」

マスター 「はい ...
      ラスティ・ネールという ... ウイスキーベースのカクテルです」

レイコ  「ラスティ・ネール ...?」

マスター 「もともとアルコール度の強いカクテルで ...
      ウイスキーを好まれる方向きのお酒でありながら、少々甘口ですが ...
      今夜のレイコさんにはお似合いではないかと、そう思いまして ...

レイコ  「お似合いのカクテル ...
      どうしてこれが ... 今夜の私にピッタリだと ...?」

マスター 「グラスが私にそっと囁いたんです ...
      このカクテルが目の前にいる女性の、本心よと ... 」





posted by マスターの知人 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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