2012年09月17日

épisode / タクシー・バラード「北野 篇」 -scene:2-








         :サンドリオンの店内 -----



マスター 「実は ... こちらの方も、お客様と同じ種類のカクテルを、オーダーされている
      お一人なんです」

女    「そうなんですか ... それじゃお酒が駄目で」

源次郎  「いや、俺の場合はそうじゃないんだけどね ... 何せ仕事が仕事なもんだから
      ... 下手すりゃオマンマの食い上げだからねェ ... だから今だって、ほら、
      このとおり ... 」

女    「じゃそれは ... 」

源次郎  「お嬢さんが飲んでるのと、おんなじ類のもんだ」

マスター 「こちらのカクテルは、フロリダと呼ばれているものです... 」

女    「フロリダ ... 」

源次郎  「俺の場合、仕事中はいつもこれで、それ以外の時はここにジンを入れて飲む
      んだ ... 」

女    「ジンを入れる ...?!」

源次郎  「こいつがまた美味いんだよ ... なあ、マスター」

マスター 「そうですね ... 口当たりの良い、飲みやすいカクテルとなりますから ... 」

女    「そんなカクテルがあるんですか?」

マスター 「フロリダにジンを加えますと、オレンジ・ブロッサムというカクテルになるん
      です」

女    「そうなんですか ... 」

源次郎  「だから、仕事の合間にここでこうして、こいつで一息入れてるって訳なんだ」

女    「それにしても ... 遅くまでお仕事されてるんですね」

源次郎  「アハッハハハ ... 仕事って言ったって、気楽なもんだけどね」

女    「でも、こんな時間なのに、まだ仕事中だなんて」

源次郎  「なーに、その気になりゃ、帰ったっていいんだけどねェ ... やっぱり好きなんだ
      ろうね ... この仕事が」

バーテン 「そうでしょうね ... 源さんにはピッタリの仕事だと思いますよ。
      何しろ仕事中の源さんは、絵になってますからね」

源次郎  「おや? バーテンさんもそう思うかい?」

バーテン 「ええ ... どうしてですか?」

源次郎  「いやなに、この間乗っけた若いカップルも、そんなこと言ってくれたんでね。
      ... やっぱり天職なのかなって、自分でも思うんだよ、近頃」

女    「あのう、失礼ですが ... 」

源次郎  「ン? 何だい、お嬢さん」

女    「一体、何のお仕事をされてるんですか?」

源次郎  「アハッハハハ ... そうかそうか、そうだろうな、わかんねえだろうな ...
      こんな会話じゃ、無理もないか ... 俺はね、運転手なんだよ、運転手」

女    「運転手 ...?」

源次郎  「そう ... タクシーの運転手だよ」

女    「タクシーの ... 」

源次郎  「格好よく言ゃ、お嬢さん ... 俺はタクシードライバーってやつなんだよ」

女    「タクシー、ドライバー ... 」





posted by マスターの知人 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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