2012年09月12日

anecdote / 雨色のレシピ Last File -Page:5-









         :倉庫内の酒樽が並ぶ、とある一室 ---
         :手足を縛られたジンとアサミがいる -----


ジ ン(Na) 我が親愛なる、かつまた優秀なる助手の、勇気あるいつもながらの間の
      抜けた行動により、一転して拉致状態に陥った俺たち二人は、倉庫内の一室に
      手足の自由を奪われ、監禁された ---


アサミ  「ごめんなさい、先生 ... 私のせいでこんな事になってしまって ... 」

ジ ン  「何で言われた通り、外で待ってなかったんだ? お陰でこのザマだ ... 」

アサミ  「だって先生一人じゃ危ないと思ったから ... 」

ジ ン  「お前がついてくる方が、よっぽど危ないんだよ」

アサミ  「(泣きそうに)何もそんな言い方しなくても ... 先生の事、心配して来たのに
       ...(泣き出す)」

ジ ン  「(溜め息)フウ ... わかったから、泣くな ... それよりアサミ ...
      俺の方に背中向けて、ここへ寝転がれ ... 」

アサミ  「何するんですか? 一体 ... 」

ジ ン  「いいから黙って早くしろ ... 」


         :アサミ、ジンの目の前に転がる -----


ジ ン  「よし ...(寝転がり)」

アサミ  「先生まで寝転がってどうする気なんですか ...?」

ジ ン  「どうだ? これで俺の上着のポケットに手が入るだろう ... 」

アサミ  「エッ ...?」

ジ ン  「それで中にあるライターを取出せ... 」

アサミ  「は、はい ... 」


         :アサミ、ジンの上着のポケットから、何とかライターを取出す -----


ジ ン  「どうだ ...? 取り出せたか?」

アサミ  「はい ... 」

ジ ン  「じゃ今度は、それを俺の手に渡せ ... 」

アサミ  「はい ...(ジンに渡す)」

ジ ン  「(受け取り)よし ... 」

アサミ  「そのライターで、一体何するんですか?」

ジ ン  「決まってるだろ ... このロープを焼いて自由になるのさ」

アサミ  「エ ...?!」


         :ジン、ライター(ジッポー)のフタを開け、火を点ける ---
         :その火で、体を縛るロープを焼くジン ---
         :ロープの焼ける音 -----


ジ ン  「いつもの火遊びより熱いぜ ... この火はな ... 」


         :ジリジリと焼け焦げるロープ ---
         :その時、近づいてくる数人の足音 -----


アサミ  「先生、誰か来ます ...!」

ジ ン  「チッ ... そうらしいな ... 」


         :ジン、ライターのフタを閉め、目の前の酒樽を蹴る ---
         :酒樽からこぼれるバーボン -----


ジ ン  「ああ ... もったいねえ ... 」


         :やがてドアが開き、マリコと佐山が入ってくる -----


佐 山  「! ... 酒臭い ... 」

ジ ン  「ああ ... 酒が飲みたくてな ... 思わず樽を蹴っちまったよ ... 」

佐 山  「どこまでも馬鹿な奴だ ... 」

ジ ン  「フッ ... ありがとな ... 」

マリコ  「そろそろ今生のお別れね、探偵さん ... 」

ジ ン  「ひよっとして、これも契約にはいってるのか ...?」

佐 山  「君ィ ... 当然のことだろう ... 」

ジ ン  「それじゃ最初から ... 」

マリコ  「その通り ... これが私のレシピなのよ」

アサミ  「でも何故 ... ?」

マリコ  「お別れの挨拶代わりに、聞かせてあげるわ ... すべての事を」

ジ ン  「光栄だな ... 」

マリコ  「あのサンドリオンと言う店で、私と出会ってから ... 
      あなたの身の回りで起こった一連の事件は、全て私が仕組んだメニューよ ... 」

アサミ  「何ですって ...?!」

ジ ン  「時限爆弾から始まり、アサミを人質にフロッピーの交換までか ... 」

マリコ  「そう ... 色々と趣向を凝らしてみたのよ ... 楽しんで戴けたかしら?」

ジ ン  「充分だったよ ... だが何故、こんな手の込んだ芝居を演じたんだ ...?」

マリコ  「主人には、まとまった保険金が掛かってるのよ ... 」

アサミ  「保険金目当て ...?!」

ジ ン  「そこか ... 案外、安っぽいテーマだったんだな、この芝居は」

マリコ  「安っぽい ...?(軽く笑い)億単位の保険金が安っぽいかしら ...?
      会社の為にと、何十にも掛けた莫大な保険金なのよ ... あなた方には
      縁遠い額面だわ ... 」

ジ ン  「フン ... 」

マリコ  「その保険金を手にする為に ... 近い将来、主人を殺すはずだったけど ...
      下手に手を下せば、まず疑われる。そこで思いついたのが、事故死よ ... 」

アサミ  「事故死 ... 」

ジ ン  「とは言え ... 下手な偽装は却ってアシがつく ... 」

佐 山  「そこで登場してもらったのが、君じゃないか」

ジ ン  「何だと ...?」

マリコ  「主人を捜していたあなたは、途中で何度も襲った男と主人を勘違いをし
      誤って二人とも相打ちになって死んでしまう ... どう? こんなレシピは」

佐 山  「今までの一連の出来事は ... 君が間違いなく立原氏を捜していたという事を
      証明するための、いわゆる私たちにとってのアリバイ工作にすぎんのだよ」

アサミ  「ひっどい ... 一体どういう神経してんのよ、アンタたち!」

マリコ  「そこで ... 売られたケンカを絶対に買うというあなたの性格を、フルに利用
      させてもらったのよ」

ジ ン  「なるほどな ... それじゃ亭主が失踪したってのは ... 」

マリコ  「最初から監禁していた ... 」

ジ ン  「それなら、俺がいつかマンションで見かけたのは ... 」

マリコ  「主人の存在にあなたが不信感を抱かないよう、一度だけ主人を自由のにした時 ...
      つまりあれもお芝居のワンシーンだったわけね」

アサミ  「なら、あのフロッピーの存在はなんだったわけ ...? 」

佐 山  「ああ、あれね ...(軽く笑い)今回の一連の芝居に必要な、単なる小道具って
      ところかな、お嬢さん」

アサミ  「ウソ ... じゃ、あの童話の1フレーズの意味って ... 」

マリコ  「後ろの正面、だーあれ ... この私よ ... アハハハハ ... 」

アサミ  「もう! 人を馬鹿にして!」

佐 山  「しかし、あのフロッピーの存在で、それなりにスリルが味わえただろう?」

ジ ン  「それで ... 何かと小細工が必要なんで、お前の手を借りたって訳か ... 」

マリコ  「そう ... 彼はマフィアに顔が利く存在なの。今度の件が上手くいけば、主人の
      代わりに会社を任せて、それを基盤にシェアを広げる段取りなのよ」

ジ ン  「どおりで ... いくら考えても解けないパズルだった訳だ ... 」

マリコ  「パズルじゃなくてレシピなのよ、これは ... 」

ジ ン  「そっか ... 保険金を手に入れるための秘訣ってことか ... 」

マリコ  「そうね ... そういう事ね ...(高笑い)アハハハ ... 」

ジ ン  「なるほど ... ブラッディー・メリーだな ... まさに血の女王だ ... 」

マリコ  「ありがとう ... そのセリフは褒め言葉として聞いておくわ ... 」

ジ ン  「チッ ... 」

マリコ  「それじゃそろそろ、お別れの時間ね ... 残りの報酬を、今差し上げるわ ... 」


        SE:拳銃のセット音 -----


マリコ  「お疲れさまでした ... 」





posted by マスターの知人 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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