再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら
長針短針 ... 彼と彼女 -----
長針が過ごす時の成り行きは
短針が刻む時間のすべて -----
たとえそれぞれに違う周期でも
同じ文字盤上での微妙な関係 -----
背中合わせや隣同士
時には一つに重なることも -----
彼と彼女の二人の時計は
今はまだほんの少し -----
SE:マンションの廊下に響くヒールの音 --- やがて止まる
:ノブにキーが差し込まれ、回す ---
:ドアの開く音 ---
:ヒールを脱ぎ --- 部屋の灯りのスイッチが入れられる
マスミ 「(深いため息)フゥーッ ... 今日は少し酔ったかな ... 」
SE:マスミ、上着を脱ぐ ---
:スイッチが入り、部屋にジャズが流れる -----
マスミ(Na) あれは先週の金曜日 ... つまり2月14日 ...
俗に言われる聖バレンタインデーのその夜 ...
私は彼以外の男性と、同じ時間を過ごした ...
これで三度目 ...
確かに何かに怯えている自分がいるはずなのに ...
気がつくともう一人、別の自分が何かにときめいている ...
そしてそんな時 ... 私の目の前には、彼以外の男性がいる。
彼の口元から現れるタバコの煙がまだ真新しい距離に私が存在し
私のオーデコロンの匂いが漂う範囲にその人が存在している .....
今はまだ求めることもなく、求められることもない微妙な距離 ...
そんな彼との関係が ... 壊れてしまった ...
... あのバレンタインデーの夜に -----
:ジャズが消え -----
初恋の彼に手渡した、ある種の厳粛な儀式めいた意識の告白とはまったく
別の意思表示のチョコレートが、二人のそれまでのテリトリーを意図も簡単に
壊してしまった ...
私はそれから、自分の居場所を本当に見失ったようだった ...
そんな矢先に ... もう一人の自分を目覚めさせてしまうような品物が
私の手元に届いた ...
:女、シャワーを浴びる -----
その瞬間から、何をどうすればいいのかわからなくなり ...
気がつくと私は、あの店のドアの前にいた ...
ある品物をもって -----
:回想 -----
:ドアの開く音 -----
マスター 「いらっしゃいませ、ようこそ ... 」