2012年04月23日

épisode / パール来人 -final-






         :サンドリオンの店内 -----

         :静かに流れるジャズ -----


マスミ  「この間のケンカの時に、どうやら私の胸の中で少しだけ隙間が出来たんです ...
      ほんの小さな隙間でした ...
      最初はいつものことだからと、別に気にもしなかったのに ... 
      次の日もそしてまた次の日も、どうしてもその隙間が消えなかった ...
      それは ... 彼の声が聞かないから? それとも逢わないからか ...
      自分でも確かめる術がみつけられないまま、時間だけが流れていった ... 」

マスター 「取り留めのない気持ちになられた ... 」

マスミ  「そうですね ... 」

マスター 「それで、より一層 ... 彼と話せなくなっていった、と ...」

マスミ  「そのうちに自分で気がついたんです ... これは彼が ... ジンが原因じゃないと
      いうことに ... 」

マスター 「彼氏が原因じゃないと ...?」

マスミ  「もう一人の自分が、別の人を想うようになっていた ... 」

マスター 「別の男性、ですか ... 」

マスミ  「マスターのような人には話したくなかったです、本当は。
      こんないい加減な自分のことを ...
      でもその反面、マスターだけには聞いてほしかったって気持ちもあるんです。
      (少し高揚して)だから私、今日はここへ ... 」

マスター 「ありがとうございます ... 」

マスミ  「 ... 何だか私、支離滅裂ですね ... 」


         :女はギブソンのグラスを持ち、飲みかけるが ---
         :思い止まり、グラスを置く -----


マスター 「どうなさったんですか?」

マスミ  「 ... ごめんなさい、マスター ...
      せっかく作ってもらったカクテルなのに、今の私には飲めないみたい ...
      ごめんなさい ... 」

マスター 「残念ですね ... でも、お気になさらないでください」

マスミ  「 ... ありがとう、マスター ... 」

マスター 「いいえ、とんでもございません ... 」

マスミ  「 ... 今夜はもうお邪魔します、私 ... 」


         :女は席を立ち、帰り支度をする -----


マスター 「少しはお役にたちましたでしょうか ... 」

マスミ  「充分でした、マスター ... ありがとう ... 」

マスター 「いいえ、こちらこそ ... それよりまた、いらっしゃってください」

マスミ  「 ... はい、是非とも ... 」

マスター 「ありがとうございました ... 」


         :女、ドアを開けてふと立ち止まり -----


マスミ  「マスター ... 私って、パールオニオンなんでしょうか?」

マスター 「少なくとも ... 私にはそう見えました ... パールオニオンのように
      綺麗な女性に」

マスミ  「.. でも ... 私にもそう見えます ... マスター瞳がパールオニオンのように
      輝いて見えます ... 」





posted by マスターの知人 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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