2012年04月21日

épisode / パール来人 -scene:4-






         :サンドリオンの店内 -----

         :静かに流れるジャズ -----


マスミ  「いつも調子のいいことばかり言ってるんですよね、彼 ...
      素直にその時にそういってくれればいいものを、いつも後から
      あの時はああだったとかこうだったとか ...
      結局、私の気持ちなんか何にも理解してくれてない ... 」

マスター 「でも、真面目な口ぶりでした ... あの時は」

マスミ  「どうせ長続きしないんです、彼の場合は」

マスター 「そのご様子だと ... 仲直りされる気がないんですね」

マスミ  「 ... そうですね ... 」


         :女、グラスのカクテルを飲み干す -----


マスミ  「マスター ... お願いがあるんですけど ... 」

マスター 「何か?」

マスミ  「私にもお奨めのカクテル、ありませんか?」

マスター 「そうですね ... はい、かしこまりました」

マスミ  「すみません、わがまま言って ... 」

マスター 「いいえ ... お気になさらず」

マスミ  「ありがとうございます ... 」

マスター 「では、しばらくお待ち下さい ... 」


        SE:ミキシンググラスに氷が入れられる ---
         :そこへドライジンとヴェルモットが注がれてステア ---
         :やがてストレーナーをされ、カクテルがグラスへ注がれる ---
         :仕上げに、パールオニオンがグラスの中へ -----


マスター 「お待たせいたしました ... どうぞ」


         :グラスが置かれる -----


マスミ  「マスター ... これは?」

マスター 「ギブソンという、ジンベースのカクテルです」

マスミ  「ギブソン?」

マスター 「はい。これはマティーニのバリエーションの一つです」

マスミ  「そうなんですか ...
      グラスの底に沈んでる、この真珠のようなものは ...?」

マスター 「パールオニオンです。
      マティーニですと、それがオリーブに変わるんです ... 」

マスミ  「なるほど ... パールオニオンか ... 綺麗だわ ...
      ホントに真珠のように輝いてる ... 」

マスター 「もともとジンが無色透明の蒸留酒ですから、単なるパールオニオンも
      その中に身を沈めると、ジンとグラスに包まれて、そんな風に光輝いて
      見えるんです ... 」

マスミ  「ジンに包まれて光輝く、ですか ... マスターらしい、お奨めですね」

マスター 「恐縮です ... 」

マスミ  「でも ... 」

マスター 「でも?」

マスミ  「少し違うんですよね、今の私は ... 」

マスター 「それは ... どういうことでしょうか ...?」

マスミ  「 ... 今の私は ... ジンだけが全てじゃないんです ... 」

マスター 「全てじゃない ...?」

マスミ  「そう ... このパールオニオンが、別のカクテルに添えられるように ...」





posted by マスターの知人 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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