2012年04月19日

épisode / パール来人 -scene:3-






         :サンドリオンの店内 -----


マスミ  「彼がマルガリータなんて、めずらしいな ... いつもジンベースなのに ... 」

マスター 「 いいえ ... 私がお奨めしたんです ... 」

マスミ  「マスターが?」

マスター 「最初はいつものジンべースでオーダーされてたんですが、途中でお奨めすると
      気に入っていただけたようで ... 」

マスミ  「やっぱりね ... 彼、根っからのジン党ですからね。
      でも、どうしてまた彼にマルガリータを?」

マスター 「あの時の雰囲気にはちょうどいいカクテルだったんです ... マルガリータが」

マスミ  「あの時の雰囲気 ...?」

マスター 「情熱のスピリッツといわれるテキーラをベースにして作る、マルガリータと
      いうカクテルの由来が」

マスミ  「マルガリータの、由来?」

マスター 「不運の事故死を遂げた恋人に対する、精一杯の心の表現としてつくられたと
      いう由来です」

マスミ  「心の表現 ... 」

マスター 「ジンは心を冷やしますが、テキーラは情熱を誘います ... そんなスピリッツの
      謂れが、彼の心に響いたのではないかと ... 」

マスミ  「情熱のスピリッツ、テキーラか ... 」


         :女、カクテルをゆっくりと一口 -----


マスミ  「ということは ... 彼がここへ来た時は、元気がなかったんだ ... 」

マスター 「どちらかといえば、そんなご様子でした ... 」

マスミ  「あんなにカッカしてたくせに ... 」

マスター 「でも、反省されていたようですが ... 」

マスミ  「マスターに何かこぼしてたんですね、彼」

マスター 「 ... 戸惑っていらっしゃいました ... 」

マスミ  「戸惑う?」

マスター 「いつもなら隣にいるはずの女性が、いらっしゃらないことに ... 」

マスミ  「 ... 」

マスター 「彼とは会われてないんですか?」

マスミ  「そうですね ... あの日からは ... 」

マスター 「あの日から?」

マスミ  「そう ... 彼がちょうど一人でここへ来た日からですね ... 」

マスター 「そうなんですか ... 」

マスミ  「ほんの些細なことがきっかけで、彼に言われたことがすごくショックだった
      んで ... それで喧嘩別れしちゃって ... 」

マスター 「気にされてました ... そのことを」

マスミ  「そうでしたか ... 」

マスター 「そのことで話されてはいないんですね ... あれから」

マスミ  「ええ... あれから何度か連絡はあったんですが、どうしても彼と話す気になれ
      なくて ... 」

マスター 「それでは ... 今夜も、ですか?」

マスミ  「 ... そうですね。今夜も、ですね ... 」




posted by マスターの知人 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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