2012年04月17日

épisode / パール来人 -scene:2-






         :サンドリオンの店内 -----


マスター 「もし彼女が来たら連絡をくれるように伝えてほしいと、そうおっしゃって
      おられました ... 」

マサミ  「 ... そうですか ... 」


         :女、カクテルをゆっくりと一口 -----


マスター 「よろしんですか ... ? ご連絡されなくても」

マスミ  「エエ ... まあ ... いいんです ... 
      今夜はこうして一人で飲んでたい気分ですから ... 」

マスター 「 ... そうなんですか ... 」

マスミ  「こんな日もありますよ ... 誰だって一度ぐらい ... 」

マスター 「 ... そうですね」


         :女、再びカクテルをゆっくりと一口 -----


マスミ  「(微かなため息)はじめてですね、私。一人でここへお邪魔するのって ... 」

マスター 「エ ...?」

マスミ  「いつもは彼と ... 一緒だったから ... 」

マスター 「同じことをおっしゃってました ... 」

マスミ  「エッ ...?」

マスター 「この間一人でお見えになった時、やはりそんなことをお話しされてました ...
      ボクがこうして一人でいると、やっぱり不自然ですかね、と ... 」

マスミ  「一人で来てたんですか、彼 ... 」

マスター 「はい ... 確か5日程前だったでしょうか ... 」

マスミ  「 ... あの時か ... 」

マスター 「いつものジンベースのカクテルをオーダーされました ... 」

マスミ  「 ... そうですか ... その時 ... 」

マスター 「 ... はい ...?」

マスミ  「何か言ってました? 彼 ... 」

マスター 「 ... ここは彼女が見つけたお店で ... カクテルが美味しいところだとか
      色んなお話をされてました ... 」

マスミ  「そうですか ... 」

マスター 「それに ... 」

マスミ  「 ... それに?」

マスター 「今の自分は、短針のない時計のようなものだと ... 」

マスミ  「短針のない時計?」

マスター 「長針だけでは時間を刻めない ... 今を知る術がないと、そんな喩を ... 」

マスミ  「今を知る術 ... 」


         :静かに流れるジャズ -----


マスター 「今夜はいつもと少し、雰囲気が違うご様子ですね ... 」

マスミ  「そうですね ... そうかも知れません ... でも、少しだけじゃないような
      気がします ... 」

マスター 「それは ... どうしてでしょう ...?」

マスミ  「私は一人でここにいるし ... カクテルもいつもと違うもの ...
      それに私の心まで ... 」

マスター 「心まで ... ?」

マスミ  「 ... いいえ ... 何でもないんです ... 」

マスター 「 ... でも一つだけ、同じものがございますが ... 」

マスミ  「エ ... ?」

マスター 「彼が最後にオーダーされたカクテルが ... そのマルガリータでした ... 」

マスミ  「! ... 彼がマルガリータを ... 」





posted by マスターの知人 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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