2012年03月21日

Mémoires / 再 会 -scene:1-








バーテン(Na) 今宵の物語は ...

      ここ神戸、北野で ...

      この店が生ま変わった時の回顧録 -----


      そう ...

      藤堂様(千夜一夜 / アラカルト)や、マリさん(canari 〜 カナリア 〜)と

      この私が最初にお目にかかった時のお話です ...


      そしてそれはマスターにとって ...

      再会の時間でもありました -----


 ---------------------------------------------------------------------------  


藤 堂(Na) 早春のフランス、パリ---
      その一角にある名も知らぬ公園で、私はその女性と出逢った...
      片隅に咲き誇る宿り木に佇む彼女のその姿は、いつか遠い昔に
      別れを告げた私の記憶を、静かに呼び覚まさせたのだった...


藤 堂  「そんなところにいると... 物好きなフランス人に唇を奪われますよ」

女 性  「エッ ...?」

藤 堂  「昔からヨーロッパでは、宿り木の下にいる女性にはキスをしてもいいと云う
      身勝手な風習があるんです」

女 性  「本当ですか、それは ...?」

藤 堂  「恐らく今の私に、嘘を言ってメリットになることは何もないでしょう ... 」

女 性  「だとすれば ... お礼を言わなければなりませんね。お名前も存じ上げない方に」

藤 堂  「(少し笑って)これは失礼、マダム。私は ... 藤堂と申します」

女 性  「藤堂様 ... 生憎と私はマダムと呼ばれるには少々不似合いでして...
      日本では『マスター』と、よく呼ばれております ... 」

藤 堂  「そうか ... これで私は二度、あなたに失礼をしたわけですね」

女 性  「(少し笑い)お気になさらないで下さい ... 私は ... 」

藤 堂  「お伺いするのは止しましょう ... 」

女 性  「... エ ...?」

藤 堂  「二度、失礼したペナルティです... それより、私もあなたのことを『マスター』と
      呼ばせて頂きたいのですが... どうでしょうか?」

女 性  「仰せのままに ... 」

藤 堂  「メルシー ... 」

女 性  「そのご様子からですと ... こちらには長く?」

藤 堂  「いいえ ... 西に東にと、あちらこちらに出没してますね...」

女 性  「ではお仕事で ...?」

藤 堂  「一応、そういうことで ... 」

女 性  「世界中を旅されてるわけですね ... 」

藤 堂  「旅というより、漂流でしょうね」

女 性  「漂流 ...?」

藤 堂  「どの港にも決して錨を降ろさない ... 漂流船みたいなものですよ」

女 性  「錨を降ろさない漂流船 ...?」

藤 堂  「いや、降ろさないのではなく ... 降ろせないのかも ... 」

女 性  「そうですか ... ひょっとしたら私も今、同じその漂流船なのかもしれません... 」

藤 堂  「 ... エ ... ?」

女 性  「 ... 」


藤 堂(Na) その女性と過ごしたつかの間の時間は、私にとって貴重な時間だった。
      それは謂れのない男と女の、ただの会話であったはずなのに...
      何故かこの私の胸の奥深くに、刻み込まれた出逢いだった -----


        SE:飛行機の着陸音 -----


      あれから2年... 私は日本へ帰って来た...
      彼女との再会を果たすため
      送られてきた一通のエアメールを頼りに....

      行き先は ... 神戸 ... 北野 ----



マスター(Na) 時の移ろいを知るすべは、季節の調べに教わりました...
      散り行く花の美しさは、季節の彩りに知らされました...

      そして-----
      繰り返し訪れる夜の静けさの中に、無くしたものを見つけました ...

      過ぎ去ったセピア色の欠片は、目映い琥珀色の結晶となり
      その輝きに、明日へと続く道が確かに照らし出されたようです ...

      ご無沙汰しておりましたが... お変わりございませんか?
      あれから2年という月日が流れました...

      
         SE:女性のヒール音 ---


      この度、神戸の北野にお店をオープン致しました ...
      折あらば、是非お越し下さいませ。

      店の名は ... バール・サンドリオン -----


         SE:ドアの開く音 -----


     「いらっしゃいませ ... ようこそ」 






posted by マスターの知人 at 00:00 | Comment(1) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
You would be so nice to come home to♪
ヘレン・メリルのボーカルとともに
戻って来ましたね(笑)
また、楽しみが増えました・・・
Posted by けむぼー at 2012年03月22日 08:26
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