2011年11月20日

spin-off / 酒場小夜曲 -scene:2-






         :バード・バーの店内 -----


男    「ところでバーテンさん、知ってます? 『男と女』って古い映画 ... 」

バーテン 「エエ、知っております ... 確かフランスの映画でしたよね ... 」

男    「スタントマンの夫を事故で失った女と、妻に自殺されたレーサーの男が
      お互いの子供がいる寄宿舎で知り合って恋に落ちるという ... 」

バーテン 「ストーリーは、それほど良く覚えてないんですが ... 
      ブルーやレッド、それにセピアカラーを使ったモノトーンの画面が印象的
      だったと、記憶しておりますが ... 」

男    「そう ... とても綺麗で、効果的な映像だったな、あれは ... 」

バーテン 「そういえば ... フランシス・レイの音楽が、その映像の雰囲気にマッチして
      ましたね ... 確か学生の頃に見た映画です」

男    「ボクはその映画を、2年前に観たんですよ ... 」

バーテン 「2年前 ...?」

男    「何気なしにフラリと入った映画館で、たまたまその『男と女』がやってた」

バーテン 「それが何か ..」

男    「そこで出会ったんですよ ... 彼女とね」

バーテン 「そうだったんですか ...」

男    「まさに男と女の出会いだった ... 」

バーテン 「では、思い出の映画になるんですね ... お客様にとってこの映画は」

男    「それはそうなんですが ... 実際のところは、そんな余裕なんかなかったですよ」

バーテン 「どうしてですか ...?」

男    「何しろ自分は、置き引きに間違われたんですから ... 」

バーテン 「置き引き?」

男    「映画の中ほどで彼女が席を立とうとした時、バッグがなくなったんですよ ... 
      それでボクが疑われた ... 」

バーテン 「他にそれらしい人はいなかったんでしょうか?」

男    「それが彼女のそばにはボク以外 ... 誰もいなかったんですよ」

バーテン 「状況は、最悪だったんですね ... 」

男    「それで当然、一つ空けて隣りに座ってたボクが犯人だと思い込んだわけで ... 」

バーテン 「そういう場合、そうなってしまいますね ... 」

男    「でもしばらくして、ホントの犯人はちゃんと捕まりましたけどね ... 」

バーテン 「それが知り合われたキッカケなんですね」

男    「彼女はボクが無実だとわかると、それまでの態度とは一転 ... 只々平謝りでしたね」

バーテン 「当然でしょうね ... 」

男    「お蔭でボクはあの映画の結末を、知らないんですよ ... 」

バーテン 「そうでしたか ... 」

男    「バーテンさんは、ホント覚えてないんですか? あの映画のストーリーを」

バーテン 「申し訳ありません ... 生憎と ... 」

男    「そうですか ...(カクテルを一口) 何故か近頃、気になりだしたんですよね
      ... 結末はどうなったんだろうかって」

バーテン 「時々、そういうことってありますよね ... ふと気になりだしてどうしようも
      なくなるってことが ... 」

男    「それほど大したことでもないのに ... ホント、不思議ですよね」

バーテン 「今度、機会があれば調べてみましょう ... そのストーリーの結末を」

男    「(少し笑って)それはどうも、ありがとうございます ... でもそれには及びませんよ
      何しろ今夜、その結末がわかるかもしれないんですから ... 」

バーテン 「それは ... どういう意味なんでしょうか?」

男    「 ... 彼女が教えてくれるはずなんですよ ... 彼女がね」

バーテン 「そういえば ... まだお見えになりませんね ... 」 

男    「そうですね ... 遅いですね ... それじゃその間に、お代わりでももらおうかな」

バーテン 「ペースがお早いんですね ... 」

男    「でも確か、2杯目でしたよね ...?」

バーテン 「いいえ、これでもう3杯目です ... それが証拠に、オーダーされた数の分だけ
      カクテル・ピンが3本そこに ... 」

男    「 ... ホントだ ... そうか ... 3杯目か ... 」


          SE:カクテルがステアされる音にまぎれて -----


男(Ne)  そろそろ午前0時30分 ... 彼女はまだ来ない -----





posted by マスターの知人 at 20:20 | Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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