2012年12月23日

Mémoires / Père Noël '98 - scene:3 -








         :サンドリオンの店内 -----


バーテン 「お久しぶりです ... お元気そうで何よりです」

藤 堂  「随分とバーテン君とも会ってなかったせいか ... 新鮮だね、そのセリフも。
      何かこう、素直に耳に入ってくるよ ... 嫌味がなくて」

バーテン 「どういう意味なんでしょうか? それは」

藤 堂  「他意はない ... そのままの意味だよ、バーテン君」

バーテン 「なるほど ... そうですか ... いや実は私もそれを聞いて安心しました ... 」

藤 堂  「ン ...?」

バーテン 「相も変わらずのご様子ですので」

藤 堂  「何かな? その変わらずというのは ...?」

バーテン 「(嫌味っぽく)店に入ってくるなり、何方かをお探しのご様子なので」

藤 堂  「それはそれはバーテン君、さすがだね ... 卓球だよ」

バーテン 「卓球?」

藤 堂  「ピンポーン ... 正解だよ」

バーテン 「やはり ... 並みの方ではなかったのですね ... 」

藤 堂  「いやいや ... 帰国早々、申し訳ない ... 何せ旅先で、いろんな人間模様を
      垣間見たものでね ... どうやら本来の自分を見失ってたようだ」

バーテン 「果たしてそうでしょうか ... 私にはその言葉が信じられないのですが」

藤 堂  「ひょっとして君は何か ... 僕が冗談も言わない男だと思ってたのか?」

バーテン 「(ポツリと) ... 藤堂様 ... 」

藤 堂  「何かな ...?」

バーテン 「もうそろそろ ... ご注文の方を ... 」

藤 堂  「そうだな ... 君との挨拶はこれぐらいにするとして ... それじゃ久しぶりに
      いつものをロックでもらおうか ...」

バーテン 「はい ... かしこまりました」


        SE:グラスに氷が入れられる音 -----


老 人  「 ... なるほど、そうか ... そういう理由だったのか ... 」

女    「だから私 ... サンタクロースなんて ... 信じない。いるわけない、そんな人
      この世の中に」

老 人  「本当に ... そう思うのかね?」

女    「だって ... そうじゃない ... 」

老 人  「本当にそうかな?」

女    「 ... エッ ...?」

老 人  「お嬢さんがまだ小さかった頃も ... 本当にそう思ってたのかな ... ?」

女    「 ... それは ... 」

老 人  「クリスマス・ツリーに靴下をぶら下げて、プレゼントを心待ちにしていた
      覚えがないのかな ... お嬢さんには」

女    「それは子供の頃の話 ... サンタの正体は、父親だったわ」

老 人  「だとしても ... サンタクロースという名前は存在していた ... 」

女    「でもそれは ... 」

老 人  「どうなんだじゃろうな ... この世にいるはずもない人なのに、名前だけが
      存在するなんて ... 不思議ものだな、まったく ... 
      果たして、目に見えるものだけが、真実なんだろうかねェ ... 」


バーテン 「お待たせいたしました ... どうぞ(グラスを置く)」

藤 堂  「ありがとう ...(軽く一口)」

バーテン 「 ... 日本へは、いつお戻りに?」

藤 堂  「ついさっきだよ ... だからほら、まだ背中から湯気が立ってるだろう?」

バーテン 「(少し笑いながら)なるほど ... そのようですね ... マスターもきっと
      喜ぶと思います」

藤 堂  「そうだよ ... その肝心のマスターは今夜は?」

バーテン 「それが ... 生憎とその ... 」

藤 堂  「大の男が語尾を濁すんじゃないよ、バーテン君 ... どうしたんだ?」

バーテン 「はい ... それが今夜は、急用が出来たとかで ... お休みをいただいて
      おりまして ... 」

藤 堂  「(深いため息)これだよ ... まったく、クリスマスもサンタもあったもん
      じゃないな ... 」

バーテン 「申し訳ございません ... 」


老 人(Na) なるほどなァ ... 笑顔のないクリスマスか .....





posted by マスターの知人 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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