2012年12月22日

Mémoires / Père Noël '98 - scene:2 -








         :サンドリオンの店内 -----


老 人  「(ポツリと)フッ ... 今年も無事、終わったなァ ... 」

バーテン 「お待たせいたしました ... どうぞ ... (グラスを置く)」

老 人  「おお ... どうもありがとう」


         :老人、味わいながら、ゆっくりと一口飲む -----


老 人  「ああ ... 美味い ... 毎年のことながら、この一口が私服の瞬間じゃな ... 」

バーテン 「感無量のご様子ですね ... 」

老 人  「いやいや、これは失敬 ... ついついつまらぬことを口にしてしまって」

バーテン 「いいえ、とんでもございません ... 
      お客様にとって、至福の時間をこの店で過ごしていただけるということは ... 
      それはそれで私共にとって、ありがたいことなのですから ... 」

老 人  「フーン ... ますます私の気分を和ませてくれる店なんだな、ここは」

バーテン 「恐れ入ります ... 」

老 人  「いや、私こそ感謝するよ ... 一仕事終えてからのこの一杯を、こんなにも
      気持ちよく飲ませてもらえるんだからね ... まったくありがたいもんだよ」

バーテン 「では ... いつもお仕事の後に、お飲みになるんですか?」

老 人  「そうだな ... いつもそうだね ... でも仕事といっても私の場合は、年に
      一度だけのお勤めだがね」

バーテン 「年に一度 ...?」

老 人  「それも、たった一日限りなんじゃ」

バーテン 「一日だけのお仕事 ...? ですか ... 」

老 人  「オッホホホホ ... そうなんじゃよ ... 一日だけなんじゃよ ... 」

バーテン 「珍しいお仕事をされてるんですね ... きっと」

老 人  「そうじゃな ... 珍しいといえば珍しい仕事かもしれんな ... 何せ誰にでも
      出来るというものでもないからのう ...」

バーテン 「何やら ... 意味深なお仕事のようですね」

老 人  「オッホホホホ ... 実のところはそう大したものでもないんじゃよ。
      なーに、泥棒と同じようなもんだからな、フォッフォッフォッフォ ... 」

バーテン 「ド、泥棒 ...?! 」

老 人  「冗談じゃよ、バーテンさん ... 冗談(笑っている)」

バーテン 「お客様 ... 」

老 人  「時に、バーテンさん ... 」

バーテン 「はい ...?」

老 人  「あなたはサンタを信じるかな?」

バーテン 「サンタと云われますと ... ひょっとして、あのサンタクロースのことで
      しょうか?」

老 人  「そう ... そのサンタクロースじゃ」

バーテン 「そうですね ... 出来れば信じたいですね ... 存在を」

老 人  「もしかして、子供の頃からそう思ってたのかね?」

バーテン 「いや ... 子供の頃は、そんな風には ... 」

女    「いるわけない ... そんなの」

老 人  「ン ... ?」

女    「いればクリスマスには、みんな楽しい時間過ごしてるはずだもの ... 」

老 人  「それじゃお嬢さんは、サンタなんかいるわけないと?」

女    「そう思う ... 少なくとも私には去年も今年も、クリスマスには笑顔を
      忘れてたもの ... 」

老 人  「そうか ... 笑顔を忘れたか ... 」

女    「現にイヴの日も ... それにクリスマスの昨日だって ... 」

老 人  「 ... バーテンさん ... 悪いが、もう一杯もらえるだろうか ... 同じものを」

バーテン 「はい、かしこまりました ... 」


        SE:グラスに氷が入れられる音 -----


女    「だからサンタなんて ... クリスマスなんて ... 」

老 人  「お嬢さん ... 良ければその理由を ... 聞かせてはもらえんだろうか ... 」

女    「 ... エッ ...?」


        SE:ドアの開く音 -----


バーテン 「いらっしゃいませ ... 」

藤 堂  「久しぶりだな ... バーテン君」

バーテン 「! 藤堂様 ... 」





posted by マスターの知人 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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