2012年11月12日

épisode / 週末のヴィンテージ -scene:3-








マスター(Na) この店はお客様にとって、ある意味での憩いの場でした ...
      お仕事柄、メニューにあったワインを人にセレクトする立場である彼が
      客としてくつろぎ、好きなワインやカクテルを好きなだけ、自分の為に
      飲める場所 ... そんな存在の店でした ---

       ... そのお気に入りのこの店に、週末何度か彼と居合わせる女性が
      いらっしゃいました ---

      いつも窓際のカウンターに席を取り、多分お気に入りであろう白ワインと
      軽い一品料理をオーダーする彼女 ...

      誰と連れ立っているわけでもなく、見かけるたび一人でいるその女性の
      存在に、最初は興味本位だったはずの意識が、いつのまにか気掛かりとなり
      今でははっきりと、愛おしさを自覚するまでに、彼の気持ちは高まって
      いらっしゃったようでした ...

      そして5回目の出会いの夜 ...
      名も知らぬ彼女から一つ席を置いた場所に彼は陣取り、さりげなく声を
      かけたのでした -----


         :サンドリオンの店内 -----


女    「いかがです? お近づきの印に乾杯を ... 」

男    「いいですね、いい感じですね ... それじゃ、お言葉に甘えて ... 」

女    「 ... 乾杯」

男    「乾杯 ...!」


         SE:二人のグラスが重なる -----


男    「ン ... うまいなァ ... 」

女    「 ... 実は私 ... 好きなんです ... 」

男    「エ ...? いや ... まいったな、こりゃ ... いきなり ... 」

女    「このワインが」

男    「あ? ああ、そのワインがね ... そうそう、そのようですね ... いつも
      その白ですもんね」

女    「エッ?」

男    「あ、いや、その ... 近頃よくここで、あなたを見かけてたものですから。
      何しろいつも、この週末のこの時間この席で、そのワインを飲まれてるんです
      からね ... それも女性が一人で ... 誰だって気に留めるでしょう ... 」

女    「(少し笑って)... 確かにそうですよね ... 何とかの一つ覚えみたいな感じ
      ですもんね」

男    「いや、そんなことはないですよ ... 絶対に。それより何かこう ... 素敵だと
      思いますね。そうして窓際でグラスを傾けられてる姿が ... 絵になってます
      よ」

女    「(軽く笑い)ソムリエさんって、お上手なんですね ... お世辞が」

男    「いや、そういうものじゃなくて ... 僕は思ったことを言ったまでで ... 」

女    「それはどうも ... ありがとうございます」

男    「いえ、とんでもない ... ついでにもっと素敵なことを教えましょうか?」

女    「素敵なこと?」

男    「僕の知り得るヴィンテージから云えば、あなたが今飲まれてるそのワインより
      あなたにもっとお似合いのワインがあることを ... 」

女    「私にお似合いのワイン ...?」






posted by マスターの知人 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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