2012年10月27日

spin-off /「神戸物語」 第二章 -後 編-








         :港公園の一角 -----

        SE:波の音 -----



タクヤ  「いよいよだな」

マ キ  「エッ?」

タクヤ  「結婚式だよ」

マ キ  「ああ ... そうね」

タクヤ  「ああって、嬉しくないのか?」

マ キ  「そんなことないわ ... どうして?」

タクヤ  「なんか他人事みたいな返事するから ... 」

マ キ  「違うの ... 何だか私、ピンとこないの」

タクヤ  「ピンとこない? 何で?」

マ キ  「私とあなたが一緒になれるなんて、今でも信じられないの ...
      何だか夢見たいで ... 」

タクヤ  「そんなことないさ、現実さ」

マ キ  「それはそうなんだけど ... 」

タクヤ  「俺たちは誰が何を言おうと、今度の日曜日に結婚するんだから」

マ キ  「タクヤ ... 」

タクヤ  「もうそろそろ、楽しいことがあってもいい頃だろ、俺たち」

マ キ  「 ... そうね ... そうよね」

タクヤ  「あれ以来、俺たち頑張ったもんなぁ ... 」

マ キ  「辛かったよね ... 」

タクヤ  「苦しかったな、毎日が ... 」

マ キ  「でも、よーく考えてみたら、あの震災のおかげで、私たちこうしていられるの
      かも知れない ... 」

タクヤ  「 ... 言われてみれば、そうかもしれないな ... 」

マ キ  「だって私たち自身、あの震災がキッカケで知り合ったんだもの ... 」

タクヤ  「そうだよな ... 」

マ キ  「あれから1年と半年 ... あなたはどうだった? 今日まで。長かった ...?
      それとも短かった?」

タクヤ  「長かったな ... そう思う。それに比べてまだ今この街は、過去を振り返って
      ため息つく余裕もなく、必死になって走り続けてる ... 
      俺たちみたいに一つの節目も向かえないで ... 」

マ キ  「 ... そうだね ... 」

タクヤ  「見た目じゃ確かにある程度は復興したけど、まだまだその影に隠れた傷跡で
      困ってる人が沢山いるんだ ... 」

マ キ  「目に見えない人の心もそうよね ... 」

タクヤ  「そう ... 人の傷は何よりも深く根付いてる ... 」

マ キ  「(少し笑って)ウフフフフ ... 」

タクヤ  「どうしたんだよ、いきなり ... 」

マ キ  「ごめんなさい ... そんなつもりはなかったんだけど、つい ... 」

タクヤ  「ついどうした?」

マ キ  「つい想像しちゃって ... 」

タクヤ  「何を?」

マ キ  「あなたが市長になったらおかしいだろうなって」

タクヤ  「俺が市長?(笑って)アハハハハ .... 馬鹿言うなよ。俺はただの市役所
      勤めのサラリーマンだよ。俺が市長なんかになれるはずがない」

マ キ  「でもさっきから言ってること、まるでそのものなんだもの」

タクヤ  「あれは受け売りだよ」

マ キ  「誰の?」

タクヤ  「うちのボスの」

マ キ  「ボスって?」

タクヤ  「市長に決まってるだろ」

マ キ  「(軽く笑いながら)何よそれ ... 」



タクヤ(Na)澤田拓也、27歳 ... 神戸市長田区生まれ、市役所勤務。
      ... 俺は彼女を、愛している ---


マキ(Na)湯浅麻紀、25歳 ... 神戸市中央区生まれ、ピアノ調律師。
      ... 私は彼に、愛されている -----





タグ:結婚式 傷跡
posted by マスターの知人 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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