2012年10月24日

spin-off /「神戸物語」 第一章 -前 編-








        SE:三宮界隈の雑踏 -----


アヤカ(Na) あの忌まわしい出来事から1年半 ... 
      私は久しぶりにこの神戸へ帰って来た ...
      それまで、平凡ながらも穏やかに毎日を過ごしていた私たちの生活を、一瞬の
      内に塗り替えてしまったあの出来事 ...
      どうしてこの街が、私たちがと ... 張り裂けるような気持ちで一杯だったのも
      束の間 ... ふと気がつけば生きていくことで必死だった ---
      あれから1年半 ... この街は見違えるほど元気になっていった -----


ジュンジ 「よっ! 久しぶりだな、アヤカ」

アヤカ  「ジュンジ ...!」

ジュンジ 「元気そうじゃないか」

アヤカ  「おかげさまでね ... あなたの方はどうなの?」

ジュンジ 「そうだな ... ボチボチってとこかな、ようやく」

アヤカ  「ようやくって?」

ジュンジ 「まあまあ、せっかく久しぶりに顔を合わせたんだから、こんなとこで話して
      たってしょうがないだろ。場所変えようぜ、場所を」  

アヤカ  「それもそうね ... 」


         :歩き出す二人 -----


アヤカ  「 ...で、どこ行くのよ」

ジュンジ 「やっぱり相変わらずだな、お前 ... 安心するけど悲しいよ、俺は」

アヤカ  「どういう意味よ、それ」

ジュンジ 「だってそうだろ ... 1年と何ヶ月ぶりに ... 」

アヤカ  「3ヶ月」

ジュンジ 「そうそう、3ヶ月ぶりにお互い再会したんだから、あいつ変わったかなぁ
      とか思うだろ? 普通」

アヤカ  「そうかなぁ ... 」

ジュンジ 「それが変わるどころか前のまま。いちいち俺のやることに質問するんだもん
      なぁ... 」

アヤカ  「それがどうして安心して悲しいいのよ。訳わかんないじゃない、それじゃ」

ジュンジ 「だから、前のままのお前で良かったけど、その反面もっといい女になって
      なかったってことで、悲しいって言ってるのよ、俺は」

アヤカ  「それを言うならお互い様よ」

ジュンジ 「私だってそう思うもん。前よりもっと進歩していい男になってるかなって
      期待してたのに、ガックリよ ... 最低 ... 」

ジュンジ 「(ムッとして)お前、いやに飛ばすね ... 」

アヤカ  「何がよ」

ジュンジ 「何がよって、俺たち久しぶりに会ってんだよ? 顔をあわせてんだぜ? 
      なのにいきなりこんな調子か? おかしいよ」


        SE:(横断歩道の誘導音)----

         :渡ろうとする、ジュンジ ---
         :立ち止まる、アヤカ -----


ジュンジ 「渡らないのか? 青だろ」

アヤカ  「 ... わかってる」

ジュンジ 「気分変えようや、お互いに」

アヤカ  「 ...ウン」

ジュンジ 「ほら、この辺も随分と変わっただろう ... 」

アヤカ  「 ... そうね ... 」

ジュンジ 「すっかり様変わりしたけど、やっぱりここは神戸だって感じさせるんだよな ...
      どうだ? 久しぶりの神戸は」

アヤカ  「うん ... やっぱりここがいいと思うよ、私も」

ジュンジ 「そうそう、その調子」

アヤカ  「だって好きなんだもん、ここが ... 」

ジュンジ 「この潮の香りも格別だろ ...?」

アヤカ  「そうね ... やっぱりあっちとは違うね ... 」

ジュンジ 「あ、そっか ... 小樽にも海があったんだ」

アヤカ  「でも違うよ、こっちのとは全然 ... 」

ジュンジ 「そっか ... そりゃそうかもなぁ。だってあっちは日本海だけど、こっちは
      太平洋だもんな ... 」

アヤカ  「(少し笑って)... そういう問題でもないと思うけど」

ジュンジ 「 ... やっと笑ってくれたな」

アヤカ  「 ... ジュンジ ... 」

ジュンジ 「さあ、着いたぜ」

アヤカ  「ここは ...?」

ジュンジ 「入ればわかるって... さあさあ」


        SE:ドアの開く音 -----


マスター 「いらっしゃいませ ... ようこそ ... 」

アヤカ  「マ、マスター ...!」





posted by マスターの知人 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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