2012年10月20日

épisode / V.S.O.P 最終夜 「慕 情」 -scene:4-







         :サンドリオンの店内 ---



マサヤ  「マスターも知っての通り、あれから例の彼女にあったんですよ ...
      長い間うやむやにしてた、プロポーズの返事を言うためにね ... 」

マスター 「その彼女は、さぞかし喜ばれたでしょうね ... 」

マサヤ  「そりゃ喜びましたよ ... 子供みたいにはしゃいでね ...
      異様なぐらいだった ... 」

マスター 「待ち焦がれていらっしゃったんですね、きっと ... 」

マサヤ  「そうだと思いましたね ... いや、そう感じさせられた ...
      それに ... 今まで見えなかったものが、見えたような気にもなったな ... 」

マスター 「見えなかったものが見えた ...?」

マサヤ  「彼女の目の奥にある輝きみたいなもの ...
      人に恋して恋された時に放つ、不思議な輝き ...それが見えたような気がした
      ... 初めてね」

マスター 「もしそうだとしたら... 素敵な発見ですね、それは ... 」

マサヤ  「でもその反面、ボクは一瞬怯みましたね ... 」

マスター 「怯んだ ...?」

マサヤ  「彼女のその目の輝きみたいなものに、怯んだんですよ ...
      いや、むしろ ... 拒否反応したのかもしれない ... 」

マスター 「それは ... どういうことなんでしょうか ...?」

マサヤ  「実のところ、自分でもよくわからない ...
      わからないけど、彼女のその目の輝きに怯んだことだけは、実感としてあるん
      ですよ ... 自分のこの胸に ... 」

マスター 「そのことがキッカケとなって、結果に至ったんでしょうか ... 」

マサヤ  「それに近いものはあった ... 兆候として ... 」

マスター 「それじゃ一体、何が原因で ... 」


         :マサヤ、ゆっくりとブランデーを一口 -----


マサヤ  「 ... レイコですよ ... 」

マスター 「レイコさん ...?」

マサヤ  「その夜 ...
      彼女と一緒に派手に飲んで、そのまま一晩一緒だったんですよ ...
      その時 ... 」

マスター 「その時 ...?」

マサヤ  「どうやら寝言で、レイコの名前を口にしてたらしいんです ... 」

マスター 「レイコさんの名前を ... 」

マサヤ  「それを彼女がしっかり聞いてた ...
      まさに幸せの絶頂から、一挙に不幸のドン底へ突き落とされたような雰囲気
      だったな、彼女 ... 」

マスター 「それで彼女とは ... 」

マサヤ  「一巻の終わり ... ジ・エンドってわけですよ ... 」

マスター 「そうでしたか ... 」

マサヤ  「最初の頃は友達感覚の付き合いだったんで ... 折に触れレイコの話しも
      ちょくちょく彼女にしてたから、それなりに意識してたみたいで ...
      それが一緒になろうって言ったその日のうちに、寝言でレイコの名前を口に
      したものだから ... もうダメだって思ったみたいで ...
      ポツリと ... 『8年越しの彼女には勝てない ... 』そう言ってた ...
      その彼女の横顔は、悲しいというより諦めの表情を漂わせてた ... 」

マスター 「心の奥に潜む、レイコさんへの無意識な想いが、彼女の目の輝きを怯ませたり
      威圧感を与えたんでしょうか ... 」

マサヤ  「レイコへの想い ... 」

マスター 「それも出逢ってから今日までの8年という、長い歳月を乗り越えた想い ... 」

マサヤ  「でも ... そのレイコも、二度とボクの目の前にもう現れることもない ...
      そう ... 彼女は結婚するから ... 」


         :マサヤ、グラスのブランデーを一気に飲み干す -----


マサヤ  「フゥ ... マスター、もう一杯ください ... 」

マスター 「 ... よろしければこの際是非、お勧めしたいブランデーがあるのですが ... 」

マサヤ  「エ ... それって ...?」

マスター 「それは ... V.S.O.P 」

マサヤ  「V.S.O.P ...?」





posted by マスターの知人 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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