2012年10月19日

épisode / V.S.O.P 最終夜 「慕 情」 -scene:3-








         :微かな波の音 ---

         :デュポンで火をつける音 ---
         :マサヤ、ゆっくりとタバコを一口喫う -----


マサヤ(Na) 5年ぶりに彼女と出逢ったあの瞬間から ...
      確かに ... 過去という時間の彼方に身を潜めた、沈黙の想い出たちが
      微かに囁き始めていた ---

      何気なく交わす会話をつかさどるあの声のトーンも ...
      さりげなく振舞われるいろんな仕草やその癖も ...
      間違いなく5年前に、このオレの目の前で消えうせていたものだった ---

      途絶えていた記憶が、蘇る瞬間(とき) ---

      それは ... セピア色したハートが仄かに色付き始めることであり ...
      忘れかけていた切なさというものを、不条理にも感じ始めることだった ---
      もう過去のものでありながら ---
      想い出の欠片は真新しいときめきへと、その姿を変えた ---

      しかし ...
      彼女から聞かされた5年ぶりの告白は「結婚」というセリフだった ---
      その事実を知らされた瞬間から ...
      色付き始めていたセピア色のハートが、別の色に染まり始めた ---

      そして自分なりに、ある一つの決心が芽生えた ...

      --- オレも結婚しよう ... と ---

      その女性に対して、純粋にそう思ったことなのか ...
      それとも ... すがるような想いからなのか ...
      自分では判断がつかなかった ---

      ただ ... 一つだけ言えることがあった ...
      それは ... 少なくともその女性は、今のオレにとって、レイコよりも
      身近な存在であるということだった ---

      オレはその女性に想いを告げ、一夜を伴にした -----

      だが ...



         :サンドリオンのドアが開く音 -----


マスター 「いらっしゃいませ ... 」

マサヤ  「(少し元気なく)こんばんは ... マスター ... 」

マスター 「どうかなさいましたか ...?
      今夜はいつもより少し、お元気がないご様子ですが ...?」

マサヤ  「別に ... そうでもないけどな ... 」

マスター 「果たして ... そうなんでしょうか ... 」

マサヤ  「(ため息まじりに)マスターには敵わないな ... 」


         :マサヤ、タバコをくわえデュポンで火を点け ---
         :ゆっくりと一口喫う ---


マスター 「 ... 今夜は、いかがいたしましょうか ... 」

マサヤ  「そうだな ... 今夜はブランデーでももらおうかな ...
      それもオーソドックスに、ストレートでね」

マスター 「銘柄はいかがいたしましょう ...?」

マサヤ  「それはマスターにお任せ」

マスター 「かしこまりました ... 」


         :ブランデー・グラスが用意され ---
         :ボトルからゆっくりとブランデーが注がれる -----


マスター 「どうぞ ... 」


         :グラスが置かれる -----


マサヤ  「どうも ... 」


         :マサヤ、グラスを包み込むようにして持ち ---
         :ゆっくりと味わいながら一口 -----


マサヤ  「(微かに)フゥ ... 」

マスター 「やはり ... 今夜はご様子が、いつもと違いますね ... 」

マサヤ  「実はね、マスター ... オレ、ふられたんですよ ... 」

マスター 「ふられた ...?」





posted by マスターの知人 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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