2012年10月18日

épisode / V.S.O.P 最終夜 「慕 情」 -scene:2-








         :サンドリオンの店内 -----


マスター 「やはり ... どうしても行かれるおつもりですか ... 」

レイコ  「 ... 決心は変わらないみたいだから ... 」

マスター 「そのままで、行かれてよろしいんでしょうか ... 本当に」

レイコ  「そのままでって?」

マスター 「足りない何かを、この日本で見つけられないままで ... 」

レイコ  「そう ...
      だって ... 過去にこだわる自分のままじゃ、何も始まりはしないもの ...
      そういう意味で彼との5年ぶりの再会は、今の私に本当の自分の心の模様を
      教えてくれたし、海外での生活が私にとって何だったのかも考えさせられた
      ... それほど影響を与えた人と、過去に同じ時間の所有があることを忘れない
      限り ... 私はいつまでたってもあの頃のまま ... このままだもの ...
      だから ... 」

マスター 「それは ... 過去からの逃避ということでしょうか ... 」

レイコ  「結果的にはそうなるかもしれない ...
      でも私自身はそうは思ってない ... 少なくとも新たな旅立ちだと思ってる
      し、そう考えてもいたい ...
      その上で、私にとって足りない何かを見つけたいと思うの ... 」


         :レイコ、カクテルをゆっくりと一口 -----


マスター 「一つだけ、質問させて頂きたいのですが ... 」

レイコ  「なに ...? マスター」

マスター 「こんなことをお聞きするのは愚問かもしれませんが ...
      レイコさんにとってのこの5年間は、一体なんだったのでしょうか ...?」

レイコ  「 ... 私にとっての、この5年間 ... 」


         :レイコ、グラスを見つめながらしばらく考えている -----


レイコ  「(ポツリと)あの人の存在を ...  眠らせるためだけの時間だったのかも」

マスター 「 ... 出会ってから今日までの、8年間の貯蔵ということですね ... 」


         :レイコ、グラスのカクテルを飲み干し -----


レイコ  「それじゃマスター ... 私、行くわ ... 」

マスター 「レイコさん ... 」

レイコ  「ほんの数回だったけど、またここへ来て良かったと思ってるの、私 ...
      本当に色々とありがとう ... マスター」

マスター 「 ... まだ時間も早いですし、もう少しごゆっくりなされては ... 」

レイコ  「ごめんなさい、マスター ... そう言ってもらえるのはとても嬉しいんだけど
      ... 今夜最後に、どうしても行っておきたい所があるから ... 」

マスター 「そうですか ... 残念です ... 」

レイコ  「今度またいつか ... 日本へ帰って来た時には必ず ... 」

マスター 「彼にはやはり ... ご連絡されないままで ...?」

レイコ  「ええ ... このまま逢わずに行くつもり ...
      その方が似合ってると思うから ... 今度の旅立ちには ... 」

マスター 「レイコさん ... 」

レイコ  「それじゃマスター ... お元気で ... 」

マスター 「レイコさんこそ ... お体にお気をつけになって ... 」

レイコ  「さよなら ... 」

マスター 「ありがとうございました ... 」


         :ドアの開く音 -----


レイコ(Na) さよならマスター ... さよならサンドリオン ...
      私はもう二度と ... ここへ訪れることはないと思うから -----


         :歩き出すレイコのヒールの音 -----


      何故ならそれは ... もうこの地へは、帰って来ないつもりだから -----





posted by マスターの知人 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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