2012年10月05日

épisode / V.S.O.P 第三夜 「誤 算」 -scene:1-








ナレーション  その瞳が追憶のスクリーンを見つめ ...
        その指先が沈黙の意思を告げる瞬間(とき) ---

        静けさにまどろむ心の水面が
        戸惑いという名の波紋に揺れる ---

        さりげない男の振る舞いに、女は過去を感じ ...
        微かに漂う女の香りに、男は過去をなぞる ---

        そう ...
        それはちょうど一夜限りの
        微熱のような軽いアクシデント ---

        ちりばめられた想いでの欠片が
        心の余白に影を落とす ---

        --- すべてが予期せぬ歴史を刻む
        男と女の情景 ---

        そして今 ...
        その姿をセピア色に染めた二つのハートが
        ここに交差する ...
        真新しい恋の予感をつげるかのように -----



         :回 想 -----

        SE:電話の音 -----


        その第三夜は ...
        時の彼方に消えた泡沫の夢まで見えそうな ...
        そんな静かな夜に始まった -----


         :マサヤ、受話器を取る ---


マサヤ  「(眠っていた様子)はい ... 」

レイコ(電話の声)もしもし ... 私 ... 遅くからごめん ...

マサヤ  「一体どうしたんだ ... こんな時間に ... 」

レイコ(電話の声)実はあなたに、言っておきたいことがあって ...

マサヤ  「こんな時間に説教と人生論はごめんだよ ... 」

レイコ(電話の声)ううん ... そんなことじゃなくて ...

マサヤ  「じゃなに ...?」

レイコ(電話の声)今度こっちに帰ってきたのは ...
      実は私 ... 結婚するためだったの ...


マサヤ(Na) 予期せぬ真夜中の電話は、彼女からのこんなメッセージだった ...
      ほとんど強引ともいえる彼女の突然の侵入は、オレにとってそれまで
      静かに刻まれていた夜のリズムを、少し狂わせた ...

      受話器から聞こえた彼女の、その声のトーンが耳に残り ...
      その口ぶりが妙に気になった ...

      無防備でいた心までもが、にわかに反応し始める ...

      いつの間にか無意識に、不意に聞かされた「結婚」という言葉の意味を
      オレはしばらく反芻していた ...

      そして ...



        SE:男の歩く靴音 -----

         :やがてサンドリオンの前で止まり --- ドアの開く音


マサヤ  「今晩は ... マスター ... 」

マスター 「いらっしゃいませ ... 」

マサヤ  「(店の中を見回し)まだか ... 」

マスター 「お待ち合わせですか?」

マサヤ  「そう ... ピアニストとね」

マスター 「レイコさん ...?」

マサヤ  「この間夜中に、衝撃の告白を聞かされてね ...
      それで改めてもう一度、その真意のほどを是非とも聞かせて頂こうと思って、
      それで ... 」

マスター 「衝撃の告白?」

マサヤ  「 ... どうやら彼女 ... 結婚するらしいんだ」

マスター 「結婚 ... ?!」





タグ:回想 告白 結婚
posted by マスターの知人 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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