2012年10月01日

épisode / V.S.O.P 第二夜 「追 憶」 -scene:3-








        :サンドリオンの店内 -----



マサヤ  「あの頃の彼女はピアノに夢中だった ...
      明けても暮れても、頭の中にあったのは白と黒の鍵盤だけ ...
      よく、コンサートだコンクールだって、付き合わされたっけ...
      まあそのお陰で ... こんな音楽無知な自分でも、多少の知識は得られたって
      いう、メリットらしいものもあったけど ...
      所詮はカメラマン志望 ... どこかピントがずれてたようだった ...
      で ... そうこうしてるうちに彼女がめでたく音大卒業ってことで、いよいよ
      普通のまともなお付き合いが出来るなって思ってたら、とんでもない ...
      『私、自分の可能性に賭けて見たいの ... だから外国へ行く』ときた ...

マスター 「レイコさんにとって、の大きな目標だったんですね ... それが」

マサヤ  「目標が大きすぎて、こっちが途方にくれたな ...
      確かに ... ピアノに対する直向な彼女に、魅かれてた ...
      一途な想いを心に秘めたやつは、ある意味すごく輝いてるからな ...
      ボクにはそれが魅力だった ...
      でもそれは、彼女がそばに ... そばにいたから感じてたこと ...
      手を伸ばせば届く距離にいるから ... 彼女の香りが漂う距離だからこそ ...
      愛おしかった ...
      それが遠く知らない国へ行ってしまうなんて ...
      真っ向からボクは反対だった ... 絶対に行くなってね ...
      ところが彼女の口から出たセリフはこうだった ...
      『それは出来ない相談だ』ってね ... 」

マスター 「夢を追いかけていたんですね ... レイコさんは」

マサヤ  「(ポツリと)ボクは彼女を追いかけていた ... 」


        SE:マサヤ、おもむろにタバコをくわえ ---
         :デュポンで火をつける ---
         :ゆっくりと一口喫う ---


マサヤ  「そう言えば ... 彼女、こっちにはいついまでいるつもりなんだろう ... 」

マスター 「しばらくの間はいらしゃるようですが ... 」

マサヤ  「そうか ...
      一体どういう心境の変化で、帰ってきたんだ ...
      もう日本には戻らないかもしれないって、そう言ってたくせに ... 」

マスター 「秋ですからね ... 」

マサヤ  「エッ ...?」

マスター 「もう秋ですから ... きっと ... 人恋しくなられたんじゃないでしょうか ... 」

マサヤ  「人恋しい ... 」

マスター 「レイコさんだって ... 一人のか弱い女性ですから ... 」

マサヤ  「か弱い、女性 ...?」





posted by マスターの知人 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
blogramで人気ブログを分析 にほんブログ村 小説ブログ 脚本・シナリオへ
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。