2012年10月26日

spin-off /「神戸物語」 第二章 -前 編-








ジュンジ(Na) あの出来事以降 ... フィアンセだったアヤカと再会した俺は、意外な
      セリフを彼女から聞かされた -----


アヤカ  「ある人を好きになったの ... だから ... 」


ジュンジ(Na) ホントなら、去年の6月に俺たちは結婚するはずだったのに、すべてが
      あの日を境に変わってしまった ... そして彼女の心まで -----


         :とあるバーの店内 ---

        SE:静かに流れるジャズ -----


アヤカ  「あの時 ... 5階建ての私のアパートは半壊の状態だった ...
      2階は押し潰され、その上である3階の私の部屋はかろうじてその難から
      救われた。けれど肝心の私自身は、倒れてきた家具の下敷きになり、身動き
      出来ない状態だった。
      ... 私は必死だった ... このまま死ぬのいやって ... 腰から下が家具の
      下敷きで身動き取れないのに、必死になって抜け出そうとしてた ...
      痛みも忘れて、もがいてた ... それでいて、目の前にジュンジが現れて
      助けてくれたらなんて思ってた ... でも、誰も来てはくれなかった ...
      そのうち私は気を失い、どれくらいの時間だったんだろう ...
      覚えてないけど、咳き込んで気がついたの ... そう、煙に巻かれてたの。
      どこかの部屋が燃え出したのよね ... 
      私怖くて怖くて、ありったけの声で叫んで助けを求めてた ...
      煙のせいで咳き込みながらも、必死になって叫んでた ...
      『誰か助けて』って ... そうしてたらしばらくして、私の声に返事が
      帰ってきたの ...
      『どこだ! どこにいるんだーッ!』... そう、それが私を救ってくれた
      あの人の声だったの ... 」

ジュンジ 「それでお前は助けられた ... その人のおかげで命拾いをした ...
      だからその人は命の恩人 ... 」

アヤカ  「そう ... そういうことなの」

ジュンジ 「ここまではわかる、常識でな ...
      けどその命の恩人が、イコール好きな人っていうのはどうしてなんだよ。
      単純すぎないか? 軽いぜ」

アヤカ  「 ... 」

ジュンジ 「だってそうだろ? お前は婚約してたんだだよ、この俺と。半年後には結婚
      しようって言ってたんだぜ? それがどうしていきなり目の前に現れた男に
      惚れるんだよ? 好きになるんだ?」

アヤカ  「結婚結婚って言ってても、ジュンジの両親は反対してたじゃない!」

ジュンジ 「 ... 」

アヤカ  「やれ家柄だとか親戚がとか、おしまいには私が一人住まいからだからろくな
      家庭に育ってないだとか ... 誰も私を歓迎してくれなかったじゃない!」

ジュンジ 「アヤカ ... 」

アヤカ  「婚約って言うけど ... 誰も認めてくれなかった ... 」

マスター 「アヤカさん ... 」

アヤカ  「ごめんなさい、マスター ... 久しぶりに会えたのに、こんな話しで時間
      つぶしちゃって ... 」

マスター 「いいえ、とんでもありません ... 」

アヤカ  「私、帰る ... 」

ジュンジ 「まだ話しは全部終わってない」

アヤカ  「もう、いい ... 」

ジュンジ 「よくない ... 少なくても俺はまだ納得してない」

アヤカ  「何を納得したいの? もうわかったでしょう、あなたと一緒にならなかった
      理由が」

ジュンジ 「ならどうして今頃になって帰って来たんだ? 何で俺に連絡した? どうして
      なんだ?」

アヤカ  「今ならこのこと話せると思ったから ... 」

ジュンジ 「わざわざ神戸くんだりまで話しに来たって訳か?」

アヤカ  「 ... 」

ジュンジ 「電話でも済むことなのに?」

アヤカ  「いいじゃない ... 私の勝手じゃない ...!」

ジュンジ 「それにその命の恩人とはどうなったんだよ ... 付き合ってでもいるのか?」

アヤカ  「まさか ... その人ともそれっきりよ ... 」

ジュンジ 「それっきりって?」

アヤカ  「もういいでしょ! 私帰る!」

ジュンジ 「アヤカ!」


         :アヤカ、店を出る ---

        SE:ドアの閉まる音 -----





posted by マスターの知人 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年10月25日

spin-off /「神戸物語」 第一章 -後 編-








        SE:店内に静かに流れるジャズ -----


マスター 「お久しぶりです ... お元気でしたか? アヤカさん」

アヤカ  「マスターこそ無事だったの ... 」

マスター 「おかげさまで、何とか ... でも、あのお店は ... 」

アヤカ  「そうなんだ ... けどよかった ... マスターとこうしてまた逢えたんだもの」

ジュンジ 「俺も最初は驚いたよ ... 何気なくフラッと入った店のカウンター越しに
      マスターがいたんだからな ... 」

アヤカ  「いつからここで?」

マスター 「半年ほど前からですか ... 」

ジュンジ 「俺が見つけてからは3ヶ月かな」

アヤカ  「聞いてないって」

ジュンジ 「あのな ... 」

アヤカ  「それじゃ、これからずっとここで?」

マスター 「いいえ ... これから先のことはまだ ... 」

アヤカ  「でも見た感じ、ここもいい雰囲気のお店だし、ずっとここでやればいいのに」

ジュンジ 「この店はマスターの知り合いのお店で、オーナーが今訳ありで留守なんだよ。
      その間、マスターが任されてるって訳なんだ」

アヤカ  「そうなんだ ... 」

マスター 「私自身も今は被災者です ... が、出来れば同じ状況の中で必死になって毎日を
      過ごされる中で、一人でも多くの方に美味しいお酒を飲んで頂ければと思い
      ここでこうしてお手伝いをさせて頂いております」

アヤカ  「マスター ... 」

ジュンジ 「どうだ? 俺について来て良かったろ?」

アヤカ  「(少し泣き声で)そうじゃなくて、マスターに逢えて良かったよ ... 」

ジュンジ 「お前なぁ ... 」

マスター 「いかがでしょうか ... お二人とも無事再会なされたのですから、ここで祝杯を
      挙げられては ... 」

ジュンジ 「さすがマスター。それもそうだよな」

アヤカ  「ウン、いいね。マスターともこうして再会出来た訳だし」

ジュンジ 「何にする?」

アヤカ  「そうね ... 久しぶりにマスターのカクテルが飲みたいなぁ ... 」

マスター 「それでは、オレンジ・ブロッサムあたりはいかがでしょうか?」

アヤカ  「オレンジ・ブロッサム?」

マスター 「その昔、オレンジの花が幸せの花として新婦のドレスに飾ることが多かった頃
      海外の結婚式の披露宴でよく出されたという、幸せを意味するカクテルです。

ジュンジ 「なるほどね ... じゃ俺はそれでいいけど、お前は?」

アヤカ  「ン? ウン ... 私もそれでいい」

ジュンジ 「じゃ、マスター、それ二つね」

マスター 「かしこまりました ... 」

アヤカ  「(ポツリと)新婦のドレスか ... 」


        SE:キューブ・アイスを3、4個入れたタンブラーグラスに
          ジン(45ml)を注ぎ、オレンジジュースをグラス8分目
          ぐらいまで入れ、ステア ---
         :スライス・オレンジに切れ目を入れ、グラスの縁に飾る ---


ジュンジ 「さて、こうしてマスターとも再会したわけだし ...そろそろ本題に入るとする
      かな ... 」

アヤカ  「本題って ...?」

ジュンジ 「どうして今の今まで、連絡よこさなかったんだ?」

アヤカ  「 ... 」

ジュンジ 「そりゃ大変だったことはわかる ... でもそれはお互い様だ。みんな大変だった
      からな ... でもだからと言って、いきなり婚約解消して『はい、サヨナラ』は
      ないだろ」

マスター 「お待たせいたしました ... どうぞ」


         :グラスが置かれる -----


ジュンジ 「どうも ... 」

アヤカ  「 ... ありがとう(軽く一口飲む)」

ジュンジ 「どうなんだ? その辺 ... 」

アヤカ  「 ... ごめん」

ジュンジ 「あの時もそう言っただけで、お前は小樽へ行ったっけ。何も理由は聞かせて
      くれなかった ... 」

アヤカ  「 ... ごめん」

ジュンジ 「もういいよ、そのセリフは ...(少し怒って)一体どうしてなんだ?!
      何で結婚止めたくなったんだよ! その理由を聞かせてくれよ」

アヤカ  「(ゆっくりとカクテルを一口) ... 」

ジュンジ 「黙ってても、返事にならないぜ ... 」

アヤカ  「 ... 好きになったの ... 」

ジュンジ 「エッ ...?」

アヤカ  「ある人を好きになったの ... だから ... 」


         :ジュンジ、グラスを落としてしまう -----

        SE:グラスの割れる音 -----



ジュンジ(Na) 武田純二、25歳 ... 神戸市東灘区生まれ、家事手伝い ...
      俺は彼女のことを今でも -----


アヤカ(Na)  杉本綾香、24歳 ... 北海道小樽生まれ、現在無職 ...
      私は今、彼のことを -----





posted by マスターの知人 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年10月24日

spin-off /「神戸物語」 第一章 -前 編-








        SE:三宮界隈の雑踏 -----


アヤカ(Na) あの忌まわしい出来事から1年半 ... 
      私は久しぶりにこの神戸へ帰って来た ...
      それまで、平凡ながらも穏やかに毎日を過ごしていた私たちの生活を、一瞬の
      内に塗り替えてしまったあの出来事 ...
      どうしてこの街が、私たちがと ... 張り裂けるような気持ちで一杯だったのも
      束の間 ... ふと気がつけば生きていくことで必死だった ---
      あれから1年半 ... この街は見違えるほど元気になっていった -----


ジュンジ 「よっ! 久しぶりだな、アヤカ」

アヤカ  「ジュンジ ...!」

ジュンジ 「元気そうじゃないか」

アヤカ  「おかげさまでね ... あなたの方はどうなの?」

ジュンジ 「そうだな ... ボチボチってとこかな、ようやく」

アヤカ  「ようやくって?」

ジュンジ 「まあまあ、せっかく久しぶりに顔を合わせたんだから、こんなとこで話して
      たってしょうがないだろ。場所変えようぜ、場所を」  

アヤカ  「それもそうね ... 」


         :歩き出す二人 -----


アヤカ  「 ...で、どこ行くのよ」

ジュンジ 「やっぱり相変わらずだな、お前 ... 安心するけど悲しいよ、俺は」

アヤカ  「どういう意味よ、それ」

ジュンジ 「だってそうだろ ... 1年と何ヶ月ぶりに ... 」

アヤカ  「3ヶ月」

ジュンジ 「そうそう、3ヶ月ぶりにお互い再会したんだから、あいつ変わったかなぁ
      とか思うだろ? 普通」

アヤカ  「そうかなぁ ... 」

ジュンジ 「それが変わるどころか前のまま。いちいち俺のやることに質問するんだもん
      なぁ... 」

アヤカ  「それがどうして安心して悲しいいのよ。訳わかんないじゃない、それじゃ」

ジュンジ 「だから、前のままのお前で良かったけど、その反面もっといい女になって
      なかったってことで、悲しいって言ってるのよ、俺は」

アヤカ  「それを言うならお互い様よ」

ジュンジ 「私だってそう思うもん。前よりもっと進歩していい男になってるかなって
      期待してたのに、ガックリよ ... 最低 ... 」

ジュンジ 「(ムッとして)お前、いやに飛ばすね ... 」

アヤカ  「何がよ」

ジュンジ 「何がよって、俺たち久しぶりに会ってんだよ? 顔をあわせてんだぜ? 
      なのにいきなりこんな調子か? おかしいよ」


        SE:(横断歩道の誘導音)----

         :渡ろうとする、ジュンジ ---
         :立ち止まる、アヤカ -----


ジュンジ 「渡らないのか? 青だろ」

アヤカ  「 ... わかってる」

ジュンジ 「気分変えようや、お互いに」

アヤカ  「 ...ウン」

ジュンジ 「ほら、この辺も随分と変わっただろう ... 」

アヤカ  「 ... そうね ... 」

ジュンジ 「すっかり様変わりしたけど、やっぱりここは神戸だって感じさせるんだよな ...
      どうだ? 久しぶりの神戸は」

アヤカ  「うん ... やっぱりここがいいと思うよ、私も」

ジュンジ 「そうそう、その調子」

アヤカ  「だって好きなんだもん、ここが ... 」

ジュンジ 「この潮の香りも格別だろ ...?」

アヤカ  「そうね ... やっぱりあっちとは違うね ... 」

ジュンジ 「あ、そっか ... 小樽にも海があったんだ」

アヤカ  「でも違うよ、こっちのとは全然 ... 」

ジュンジ 「そっか ... そりゃそうかもなぁ。だってあっちは日本海だけど、こっちは
      太平洋だもんな ... 」

アヤカ  「(少し笑って)... そういう問題でもないと思うけど」

ジュンジ 「 ... やっと笑ってくれたな」

アヤカ  「 ... ジュンジ ... 」

ジュンジ 「さあ、着いたぜ」

アヤカ  「ここは ...?」

ジュンジ 「入ればわかるって... さあさあ」


        SE:ドアの開く音 -----


マスター 「いらっしゃいませ ... ようこそ ... 」

アヤカ  「マ、マスター ...!」





posted by マスターの知人 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年10月22日

épisode / V.S.O.P 最終夜 「慕 情」 -scene:final-








        SE:微かな波の音 ---

         :ポートターミナルの一角に佇むレイコ -----


レイコ(Na) ここへ来るのも、今夜で最後にしよう ...
      あの頃の想い出の場所だものね ...
      ここでよく外国航路の豪華船に乗ってる人たちを、羨ましそうによく見てた。
      ... あんなのに乗って、外国へ行けたらなぁって感じで ...
      そういえば確か ...
      あのデュポンのライターを買うきっかけになったのも、ここだった ...
      それまであの人が大事にしていたライターを、私がふざけてうっかり海へ
      落としたんで、それであのデュポンをプレゼントしたんだ ...
      色んなことがあったな ... ここでは。
      確か ... あの人との初めてのキスも ...


        SE:レイコ、少し歩き出し -----


      何だか時間を溯ってるように、次から次へと色んなことを思い出すな ...


         :レイコ、しばらくして立ち止まり -----


      そう ... ここで夕日を背景にして、よく写真も撮ったんだ ...
      彼自慢のショット・アングルだったものね ...

      もう ... ここでみんなさよならね ... すべての想い出とあの人に ...


         :次の瞬間、カメラの連射シャッター音 ---
         :フラッシュに浮かび上がる、夜の海とレイコ -----


マサヤ  「これって ... 久しぶりのアングルだよな ... 」

レイコ  「... マサヤ ... どうして ... 」

マサヤ  「最後に行っておきたい場所がある ... もう絶対にここしかないと思ったよ ... 」

レイコ  「よくわかったわね ... それがここだって ... 」

マサヤ  「マスター曰く ... キミとボクはV.S.O.Pだからな ... 」

レイコ  「V.S.O.P ... ?」

マサヤ  「貯蔵年数8年以上のブランデーってことさ ...
      つまり ...
      オレたち二人にとってのこの8年は、お互いが相手に対しての想いを抱き
      続けた貯蔵年数だったってこのなのさ ... 」

レイコ  「マサヤ ... 」

マサヤ  「 ... 今、改めて言いたいことがある ... 」

レイコ  「エ ...?」

マサヤ  「 ... オレはお前を、今でも愛している ...
      そしてこれからも ... 愛し続けたいと、そう思ってる ... 」

レイコ  「マサヤ ... 」

マサヤ  「ここから先は ... お前次第だ ... 」



ナレーション  こうして今 ---
        その姿をセピア色に染めていた二つのハートが
        ここに色付いた ...

        8年という時の流れを隔てて -----





タグ:V.S.O.P
posted by マスターの知人 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年10月21日

épisode / V.S.O.P 最終夜 「慕 情」 -scene:5-








         :サンドリオンの店内 ---

         :ボトルからゆっくりとブランデー(1/3)が注がれ ---
         :グラスが置かれる -----


マスター 「どうぞ ... 」

マサヤ  「またどうして、これをボクに ...?」

マスター 「お客様にとって ... いえ、レイコさんにとっても、このV.S.O.Pという
      ブランデーの階級が、ピッタリではないかと思いまして ... 」

マサヤ  「ボクとレイコにこのV.S.O.Pが? なんだか意味がよくわからないんだけど ...
      一体どういうことなの? マスター」

マスター 「ブランデーの語源は、そもそもヨーロッパ北部の言語だと言われ ...
      その中の一つに『ブランド』という言葉がございます ... 」

マサヤ  「ブランド?」

マスター 「日本語では『燃える』という意味で、昔から強いお酒には、この言葉を語源
      とするものが多く、ブランデーもその一つでして ...
      そのブランデーの階級を表すものが『V.S.O.P』というアルファベット ...
      V.Oに始まり、V.S.O、V.S.O.P、それにX.Oと ... 
      それぞれの貯蔵年数から階級分けされたアルファベットなんです ... 」

マサヤ  「それでボクとレイコの二人の階級がV.S.O.Pだと ...?
      何が基準でそうなるのかな ... 」

マスター 「お二人それぞれの、貯蔵年数です ... 」

マサヤ  「貯蔵年数って ... 」

マスター 「お二人が出逢われてから、今回再会されるまでの8年 ...
      この8年という歳月がV.S.O.Pの貯蔵年数なんです ...
      お二人とも8年という長い時間の流れの中で、心の奥深くにそれぞれの想いを
      ずっと抱いていらっしゃった ...
      例えそれが微かなものであれ、おぼろげなものであったとしても、8年という
      時間を経過し、やがて目覚め完成されるものであるのなら ...
      それはV.S.O.Pと呼べる、想いではないでしょうか ... 」

マサヤ  「V.S.O.Pの愛か ... 少し気障な響きだけど、何となく説得力があるな ...
      でもマスター、レイコの場合は ... 」

マスター 「明日パリへ発つと、おっしゃられてました ... 」

マサヤ  「パリって ... あいつ結婚するために帰ってきたって言ってったくせに ... 」

マスター 「ですので ... 彼女もまたV.S.O.Pだと ... 」

マサヤ  「レイコが ...?!」

マスター 「先程ご自分で、こう言っておられました ...
      私にとっての彼の存在は、8年経った今も同じだったと ... 」

マサヤ  「 ... 先程って ... マスター、彼女、今夜ここへ来てたの ... ?」

マスター 「ちょうど入れ違いに、出て行かれました ... 」

マサヤ  「レイコ ... 」


         :マサヤ、ゆっくりとブランデーを一口 -----


マスター 「V.S.O.P ... つまりそのブランデーは、燃えるお酒であってほしいかと ... 」

マサヤ  「燃える酒 ... 」


         :短い沈黙 -----


マサヤ  「マスター ... 彼女は明日、何時頃の飛行機に乗ると ...?」

マスター 「そこまでは伺っておりませんが ... ただ ... 」

マサヤ  「ただ?」

マスター 「ここを早く出られたのは、今夜最後に行っておきたい場所があるからと、そう
      言っておられましたが ... 」

マサヤ  「最後に行っておきたい場所 ... 」





タグ:階級 貯蔵 想い
posted by マスターの知人 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
blogramで人気ブログを分析 にほんブログ村 小説ブログ 脚本・シナリオへ
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。