2012年09月19日

épisode / タクシー・バラード「北野 篇」 -scene:4-








         :サンドリオンの店内 -----



源次郎  「さて、ここからだと ... 山手に向かって歩き出し、通りに続く綺麗な並木を
      抜けると、まず左手に現れるのがジュノーの館だ ... 
      これは一種、時計台を思わせる造りの建物で、なかなか雰囲気のあるもんだ」

マスター 「そうですね ... あれは素敵な面持ちの建物ですね」

源次郎  「そこから左に折れて、すぐ右手の一筋目には裏通り感覚の小径があるから
      そこを抜ければ萌黄の館だ」

バーテン 「萌黄の館 ... 」

源次郎  「ここはその昔 ... アメリカ総領事館ハンター・シャープの旧邸で、建築当時の
      ままの状態で、違う色で塗り分けられた部屋や、凝った絵柄のタイルを使った
      暖炉なんかが見逃せないところだな」

バーテン 「確か ...
      淡いうぐいす色をした壁で、開放型したベランダがある建物でしたよね」

源次郎  「その通り ... それからすぐ左に曲がれば、広場と風見鶏の館がある」

女    「風見鶏の館 ... 」

マスター 「この界隈で今では唯一のレンガ造りであり、小塔の上の風見鶏はこの街のシン
      ボルとして知られている異人館 ... 」

源次郎  「明治の末期 ... ドイツの貿易商だったG・トーマス低として建てられ
      ドイツのゴシック様式が取り入れられた室内には、重厚な雰囲気が漂っとる
      よ」

女    「その上、1階の各部屋の天井がすべて違うデザインになってるんですよね」

マスター 「よくご存じなんですね ... 」

女    「いいえ ... そんなことはないんですが ... 」

源次郎  「そこから石畳の続く道を歩き、三筋目を左に折れてしばらくすれば ...
      古城の洋館うろこの家だ ...
      元々は外国人の高級借家とし慰留地にて建てられたものらしいんだが、明治
      以降に今の場所に移築されたんだそうだ」

バーテン 「その名の通り ... うろこのような形をした天然石のスレートが飾られた外観が
      ユニークな建物ですよね」

マスター 「他にも、トロワイヨン、ルオー、キスリングといった西洋の名画が展示されて
      いる、うろこ美術館がありますね ... 」

源次郎  「この辺りは他にも、世界の彫塑や彫刻を展示した山手八番館や本家オランダ館
      それに旧中国領事館やアンデルセンの書斎を再現したデンマーク館なんかが
      あって、なかなか盛り沢山な場所だな」

女    「そう ... モーツァルトをテーマにしたウィーン・オーストリアの家なんかも
      ありますよね」

マスター 「確かにそうですね ... 」

源次郎  「ここからサッスーン邸を回って北野美術館へ行き、北野通りへ出るのもいいん
      だが、あえてレンガと石段の小径を通ってラインの館へ行くのも乙なもんだ」

女    「私は ... その道が好きですね ... レンガと石段のその小径が ... 」

源次郎  「オッ ... 気が合いそうだね ... お嬢さんとは」

女    「だって私には ... 一生忘れられない坂道ですから ... 」

源次郎  「忘れられない坂道 ...?」




posted by マスターの知人 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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