2012年09月08日

anecdote / 雨色のレシピ Last File -Page:1-






ジ ン(Na) ... その夜、俺は珍しくアサミを連れ、サンドリオンのカウンターでグラスを
      傾けていた ...
      いよいよクライマックスを向かえたであろうこの仕事の、最後のプランを練る
      ために ---
      俺はいつものようにバーボンのロックをダブルでオーダーしたのだが、アサミ
      は生意気にも、ギムレットなんぞをオーダーしやがった -----



        SE:シェーカーにキューブアイスが入れられる音 -----


ジ ン  「仄かな香りを漂わせたライムジュースがシェーカーに1/3 ... 」


        SE:ライムジュースが1/3、シェーカーに注がれる -----


ジ ン  「そこへビフィーターのドライジンが2/3、注がれ ... 」


        SE:ドライジンが2/3、注がれる ---- 


ジ ン  「手際よくシェークされる ... 」


        SE:シェークされる音 -----


ジ ン  「やがて用意された、ドライ向きの逆三角型のカクテルグラスにゆっくりと
      注がれて ... 」


        SE:カクテルグラスに注がれ -----


ジ ン  「ギムレットの出来上がりだ ... 」

マスター 「お待たせいたしました ... どうぞ(グラスを置く)」

アサミ  「どうもです ... いつ見ても、マスターのカクテリングは鮮やかですね ... 」

マスター 「ありがとうございます ... 」

ジ ン  「お前でもわかるんだな ... マスターの腕前が」

アサミ  「失礼ね ... 先生、私こう見えてもカクテルには少しうるさいんですからね」

ジ ン  「ほぉ、そうかい ... そりゃ初耳だな」

アサミ  「特にこのギムレットには、こだわりがあるの(一口飲む)」

マスター 「 ... お味の方はいかがでしょうか?」

アサミ  「 ... ウン、最高 ...! 
      今まで飲んだギムレットの中で一番だわ、マスターのが」

マスター 「 ... お褒めに預かり ... 光栄です」

ジ ン  「だがな、アサミ ... 」

アサミ  「何ですか?」

ジ ン  「お前はまだ ... ギムレットには早すぎる ... 」







 - ナレーション それは静かに終わろうとしていた ...
          疑惑の香りを漂わせた紅色のカクテルが
          その真実を語るかのように、グラスから消え去る中で ---

          それは静かに終わろうとしていた ...
          微睡みの中で途切れ途切れに垣間見る
          泡沫の夢から目覚めるように ---

          そしてそれは、静かに終わろうとしていた ...
          人知らずしてエピローグを告げるかのような ...
          霧雨の静寂な雨音にまぎれて -----



        SE:グラスにクラッドアイスが入れられる音 -----

         :そこへバーボンがボトルから注がれ ---
         :やがてグラスが置かれる -----


マスター 「どうぞ ... 」

ジ ン  「どうも ...(ゆっくりと、一口) ... マスター、この酒は ...? 」

マスター 「オールド・フォレスターですが ... お口に合いませんでしょうか?」

ジ ン  「いいや、とんでもない ... むしろ光栄なぐらいだ ... こんなバーボンを
      口に出来るなんて ... だが何故今夜はこの酒を俺に ...?」

マスター 「別にこれといって意味はないのですが ... 強いて言えば ...
      今夜の雰囲気にピッタリではないかと、そう思いましたので ... 」

ジ ン  「今夜の俺に ...?」

マスター 「今度のお仕事も、そろそろクライマックスを迎えたと、先程お伺いしました
      ので、それで ... 」

アサミ  「前祝のお酒ってところですね、マスター」

マスター 「そうですね ... そういうことですね」

ジ ン  「何やら意味ありげなようだが ... ひとまずよしとするか」


         :ジン、再びバーボンをゆっくりと一口 -----


アサミ  「それにしても ... 考えてみれば矛盾が多いですね、この事件」

ジ ン  「 ... だが、はっきりしていることが一つだけあるさ」

アサミ  「ミスター・ルーの正体が、あの依頼人の弁護士である佐山だってことです
      よね」

ジ ン  「そしてその佐山が ... 俺を拉致し、フロッピーを奪おうとしたあの謎の男を
      操る依頼主ということだ ... 」

アサミ  「そうですね ... 」

ジ ン  「そしてまた... 断言は出来ないが、声の感じから多分 ... あの謎の男こそが
      初めに女に関わるなと、電話でわざわざこの俺に、愛のメッセージをくれた男
      だろう ... 」

アサミ  「でもそうなると ... ミスター・ルーである佐山って男は、フロッピーは
      欲しいが、あの女性のご主人は見つけ出してほしくないことになる ... 」

ジ ン  「誰が考えても、答えはそうなるな」

アサミ  「それじゃ、あの佐山って弁護士は、依頼人であるあの女性を裏切ってることに
      なりますよ、先生 ... 」

ジ ン  「その公式も成り立つな ... 」

アサミ  「じゃ、一体どうなってるんですか? あの依頼人と弁護士の関係は ...?」

ジ ン  「 ... その答えは、奴が教えてくれるさ」

アサミ  「奴って ...?」

ジ ン  「ミスター・ルー、ご本人さ」





posted by マスターの知人 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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