2012年08月22日

anecdote / 雨色のレシピ File-V -Page:final-








         :サンドリオンの店内 -----


マリコ  「 ... それじゃ行きましょうか、佐山さん」

佐 山  「はい」

マリコ  「 ... マスター、私これで失礼するわ ... おやすみなさい」

マスター 「ありがとうございました」


         :マリコ、店を出ようとして立ち止り -----


マリコ  「今度はもう少し、実のある質問をお願いね ... 期待してるわ。それじゃ ... 」


         :マリコと佐山、店を出る ----- ドアの閉まる音


ジ ン  「また遣り込められたな ... あの女に」

マスター 「ただならぬ雰囲気を、お持ちの女性ですね ... 」

ジ ン  「それにしてもあの女 ... このフロッピーには、さして執着はなかったようだ
      な ... 」

マスター 「そのようでしたね ... 」

ジ ン  「それとも、そんな振りをしていただけなのか ... ?」

マスター 「いずれにしても ... そのフロッピーに纏わることは何一つとして、お話し
      されませんでしたね」

ジ ン  「そういうことだな ... 」


         :ジン、グラスのバーボンを一口飲み -----


ジ ン  「この仕事、引き受けてから今日で三日目 ... その間に色んな事件が起こった
      な ... 」

マスター 「そのようですね ... 」

ジ ン  「振り返ってみれば謎だらけだ ...
      まず第一に、俺の命を狙った奴は誰なのか ... 依頼者は ...?」

マスター 「事務所へ届けられた時限爆弾 ... それに、この店の前での車による犯行 ... 」

ジ ン  「 ... 第二に、俺を襲った相手と、いつかの尾行の男とは、同一人物なのか ...
      それとも別人 ...?」

マスター 「謎の男からの電話での脅迫と、怪しい尾行の男 ... 」

ジ ン  「そして第三の ... 『立原』と名乗る、あの女の亭主らしい男からの謎の電話と
      逃げ出した男との関係は ...? 何故、俺に居場所を知らせてきたのか ... 」

マスター 「最後に残された、一枚のフロッピーディスク ... 」

ジ ン  「今のところ ... このフロッピーだけが、唯一の手掛かりだな ... 」

マスター 「単なる失踪事件にしては、少し複雑過ぎるかと思いますね ... 」

ジ ン  「まったく右も左も謎だらけ ... ちょっとしたジグゾーパズルみたいなもんだな
      これは」

マスター 「パズルにしては、少し危険が多すぎるのでは ... 」

ジ ン  「確かにそうかもな ... 日に一度の割合で、確実に襲われてる。下手すりゃ
      もう三度は確実にあの世行きだからな ... 」

マスター 「三度も命を ... 」

ジ ン  「ケリがつくまでに何度あることやら ... これか先が思いやられるぜ ... 」

マスター 「お気をつけになってください ... ジンさん ... 」

ジ ン  「 ... ン? ... 確か前にも一度、こんな話をしたような気がするな ... 」

マスター 「以前に、ですか ...?」

ジ ン  「それもマスター相手に ... 場所もここで ... 」

マスター 「どういうことなんでしょうか? それは」

ジ ン  「あれは確か ... (気がつき)そうか ...! 思い出したぞ。あの時か ... 」

マスター 「あの時とは ... 」

ジ ン  「この間の夢さ ... 夢。あの時の夢の中で今と同じような話をしてて、その揚句に
      マスターに追い出されたんだよ、俺は」

マスター 「そうだったんですか ... それにしても不思議ですね」

ジ ン  「何が ...?」

マスター 「今のような話をしていて、どうして私がジンさんを追い出すような結末になる
      のか ... 私にはわかりませんね、その辺りの経緯が .... 」

ジ ン  「その答えは簡単さ ... 」

マスター 「エッ ... ?」

ジ ン  「俺に対する、マスターの愛さ ... 」

マスター 「私の愛 ... ? ...(微かに笑い)今夜は、それなりに酔われたようですね ... 」

ジ ン  「(軽く笑い)まあ、そういうことにしておこう ... 」


         :ジン、グラスのバーボンを飲み干し -----


ジ ン  「さて ... 今夜はこれで引き上げるとするかな ... それなりに酔ってるらしい
      からな ... 」

マスター 「ごゆっくりおやすみなさい ... お疲れでしょうから ... 」

ジ ン  「そのセリフ ... バーボンより効くよ、マスター」

マスター 「(微かに笑い)ありがとうございました ... 」

ジ ン  「おやすみ ... マスター」

マスター 「お気をつけて ... おやすみなさいませ ... 」


         :ジン、店から出る --- ドアの音

         :やがて歩き出す --- ジンの靴音


ジ ン  「それにしてもこの仕事 ... まだまだ厄介な事が起こりそうだな ... 」


         :その瞬間、突然ジンの後頭部に鋭い一撃 -----


ジ ン  「ウッ! ... 」


         :その場に倒れるジン -----



マスター(Na) 夜空に張り巡らされた星のスクリーンを ...
      怪しげな一連の雲たちが覆いだした .....
      不穏な影が、忍び寄るかのように -----

      やがてすべては闇に包まれ ...
      激しい雨音だけが辺りを支配した -----

      この季節らしく ...
      突然の雨が、不意にこの夜を襲った -----


        SE:激しい雨音 -----






posted by マスターの知人 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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