2012年08月17日

anecdote / 雨色のレシピ File-V -Page:1-




         :サンドリオンの店内 -----

         :グラスのバーボンが軽くステアされ差し出される ---


マスター 「お待たせいたしました ... どうぞ」

ジ ン  「ありがとう ... 」


         :ジン、ゆっくりと一口 -----


マスター 「いかがです、お仕事の方は ... 順調ですか?」

ジ ン  「お陰様でと言いたいところだが ... あんまり芳しくないんだな、これが ...」

マスター 「そうなんですか ... 」

ジ ン  「下手すりゃ、もう三度は確実に死んでるからな」

マスター 「三度も、ですか?」

ジ ン  「ケリがつくまで何度あることやら ...
      そうだ、マスター ... 賭けてみないか?」

マスター 「賭ける ...? 賭けるって、何をでしょうか?」

ジ ン  「だから ... この仕事が終わるまでに、俺が一体、何度命を狙われるかだよ」

マスター 「ジンさん ...!」

ジ ン  「どうだい、マスター ... あと何度あると思う?」

マスター 「(怒ったように)お止めになってください ... そんなジョークは」

ジ ン  「エッ ... ?!」

マスター 「バーボンを好まれる方で、そんな趣味の悪いジョークを口にされるのは、最低
      なことかと思います ... 」

ジ ン  「マスター ... 」

マスター 「それに ...
      このサンドリオンには、そのようなお客様は不似合いです ...
      申しわけございませんが... お客様には、お引取り願えますでしょうか」

ジ ン  「マ、マスター ...!」







         それは静かに始まった ...
         人知れず音もなく降りだす雨に
         その季節がこっそりと紛れ込むように ---

         それは静かに始まった ...
         グラスを彩る琥珀色のバーボンが
         時の流れと共に色褪せていくように ---

         そしてそれは、静かに始まった ...
         ゆっくりと漂うタバコの煙にも似た
         夢と現の微睡みの中で -----



マスター 「 ... お目覚めですか?」

ジ ン  「 ... 近頃どうもいけないな ... 変な癖がついた ... 」

マスター 「変な癖?」

ジ ン  「ここでこうしてると、必ず眠っちまう ... 」


マスター 「そう言えば、この間もそうでしたね ... あの時は確か ... マグナムで私に
      撃たれた夢を見たとか ... 今夜の夢は、いかがでしたか?」

ジ ン  「あれ程ひどい内容じゃなかったが ... やっぱりあの時同様、あまり戴けない
      夢だったな」

マスター 「今回も私だったんでしょうか? その夢のお相手は」

ジ ン  「そう ... 今回はマスターに、店から出てってくれと言われたよ ... 」

マスター 「(微かに笑い)」そんなことを言ったんですか ... 夢の中の私は」

ジ ン  「それにしてもリアルだったな ... マスターのセリフは。
      今でもこの耳に残ってるよ」

マスター 「案外、夢じゃなかったのかもしれませんね ... 」

ジ ン  「マスター ... 勘弁してくれよ ... 」


         :その時、サンドリオンの電話が鳴る ---
         :マスター、受話器を取る ---


マスター 「はい、サンドリオンでございます ... 」

アサミ(電話の声)「(ひどく慌てている)あ、マスター ... 先生居ますか?!」

マスター 「ええ、いらっしゃいますが ... 」

アサミ  「なら、すぐ事務所に帰るように伝えてください!」

マスター 「どうかしたの? アサミさん ... ?!」

ジ ン  「ン ...?」

アサミ  「事務所が ... 事務所が大変なんです!」

マスター 「エッ ...?!」 





posted by マスターの知人 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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