2012年08月15日

anecdote / 雨色のレシピ File-U -Page:final-








         :サンドリオンの店内 -----

         :電話のテープが流れる中 ---
         :ジンとマリコ、そして弁護士の佐山がいる -----


男の声  --- 「あの女には近づくなと言ったはずだ ... 命が惜しければ今すぐに手を
        引け!」


         :ジン、テープのスイッチを切る -----


ジ ン  「どうかな? この声に聞き覚えは ...?」

マリコ  「残念ながら、答えはNOよ」

ジ ン  「そうか ... それじゃ念のために聞くが ... あんたはどうだ? 弁護士さんよ」

佐 山  「私も答えは同じだな ... 探偵さん」

ジ ン  「あんたは期待に応えてくれるから、嬉しいよ」

佐 山  「そうかね ... 」

ジ ン  「ところでマリコさんよ ... 俺は今回の仕事で、どうも引っ掛かる事がいくつも
      あるんだがな ... 」

マリコ  「どういうことかしら ...?」

ジ ン  「まず第一 ... あんたと、このサンドリオンで出会った直後、俺の事務所に素敵
      な爆弾が届けられた事 ...
      第二に、同じく仕事を引き受けた矢先に、この店の前で車に襲われた事 ...
      そして第三に ... あんたの亭主の友人に会いに行った帰りに尾行され、この時
      にも同じく車に襲われた ... これは一体、どういうことなんだ?」

マリコ  「どういうことって?」

ジ ン  「あんたの亭主は、一体何に関わってるのかな?」

佐 山  「どういう意味かね、それは」

ジ ン  「ひょっとしてあんた ... 亭主の失踪した理由に、何か心当たりがあるんじゃない
      のか?」

マリコ  「 ... 探偵さんらしからぬ、見解ね」

ジ ン  「何だと ...?」

マリコ  「(冷ややかな笑い)ウフフフフ ... とんだ見込み違いだわ ... 
      もう少しまともな報告を伺いたいものね ... あなたからは」

佐 山  「もっとしっかりしてくれなきゃ困るね、君ィ」

マリコ  「とにかく ... 主人を見つけ出してくれさえすればそれでいいの ...
      余計な憶測や詮索は火傷をするもと ... 止した方が利口だと思うわ ... 」

ジ ン  「余計だと ...?」

佐 山  「その通り ... 君はただ、頼まれたことだけをやってればいいんだよ」

ジ ン  「頼まれたことだけ、か ... 」

マリコ  「今夜はこれで失礼するわ ... 」

佐 山  「よろしく頼むよ、探偵さん ... 高い報酬を出してるんだからね」

ジ ン  「 ..... 」

マリコ  「それじゃマスター ... ごちそうさま」

マスター 「ありがとうございました ... 」


         :マリコと佐山、店を出てゆく --- ドアの閉まる音


ジ ン  「(ポツリと)... どうも腑に落ちねえな、あの女 ... 」

マスター 「彼女が、ですか ...?」

ジ ン  「氷のような笑みを浮かべてやがる ... 」

マスター 「氷のような笑み ... 」

ジ ン  「 ... マスター ... もう一杯、戴こうか ... 」



マスター(Na) グラスを染めるバーボンのような ...
      琥珀色した様々な疑惑が漂い始めた ---

      男はそれを、静かに感じ ...
      女はそれを、静かに笑った -----

      この季節にはめずらしく ...
      少し冷たい雨の夜の出来事だった -----


         :微かな雨の音 -----





posted by マスターの知人 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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