2012年08月13日

anecdote / 雨色のレシピ File-U -Page:4-








         :探偵の事務所 ---

         :テープから流れる男の声 -----


男の声  --- 「そこにいるんだろ ... 」

ジンの声 --- 「いたらどうなんだ!」

男の声  --- 「あの女には近づくなと言ったはずだ ... 命が惜しければ今すぐに手を
          引け!」

ジンの声 --- 「お前は誰なんだ!」


         :電話が切れ --- 通信音
         :テープのスイッチを切るアサミ -----


アサミ  「要するに ... 相手にはこっちの動きがお見通しなんだ ... 」

ジ ン  「そういうことになるな」

アサミ  「でも何故 ...? どうして先生の動きがわかるんだろう ... 」

ジ ン  「人気者なんだろうな、きっと ... 」

アサミ  「あのね ... 」

ジ ン  「こりゃ失敬 ... 」

アサミ  「にしても、この電話の男、依頼人のご主人を先生に先に見つけ出されることを
      拒もうとしてる ... 何故?」

ジ ン  「 ... いいところに気がついたな」

アサミ  「エ ...?」

ジ ン  「奴らは確実に、俺の仕事を邪魔してる ... イコールそれは、彼女の亭主を
      見つけ出させまいとしてるってことになるな」

アサミ  「ということは ... この仕事、案外と根が深いかもしれない ... 」

ジ ン  「そうかも知れんな ... おまけに、彼女の亭主はもしかすると ... 」

アサミ  「もしかすると?」

ジ ン  「とんでもない事件に巻き込まれてるかもしれない ... 」

アサミ  「その可能性は大きいかも ... 」

ジ ン  「 ... 亭主の背後関係を洗ってみるか ... 」



アサミ(Na) そんな訳で先生は、失踪した男性が学生時代からもっとも親しくしてたと
      いう『男性の友人』のオフィスを訪ねた -----



友 人  「いえ、ここしばらくは顔を合わせてないもんですから ...
      近況はと聞かれても、詳しいことはよく ... 」

ジ ン  「そうですか ... 」

友 人  「しかし驚きだな ... 」

ジ ン  「と言うと?」

友 人  「彼は何ひとつ取っても、不自由のないはずなのに ... 」

ジ ン  「そのようですね ... 」

友 人  「だってそうでしょ ... 美人の奥さんをもらい、あの若さで会社を経営する程の
      実業家だし ... 皆からは憧れの存在なんですよ、彼は。
      その彼が失踪するなんて ... どう考えても納得できないな ...
      失踪の原因なんて思いつかない ... 」

ジ ン  「なるほどね ... いや、どうも。お忙しいところ、ありがとうございました」

友 人  「いや、とんでもない ... それより、お役に立てなくて申し訳ないです」

ジ ン  「いいえ ... それじゃ、私はこれで」

友 人  「あ、加納さん ...!」

ジ ン  「何か ...?」

友 人  「あいつの事で何かわかったら、私にも知らせてくれませんか ... 」

ジ ン  「ああ ... そうですね。わかりました ... では、失礼 ... 」


         :ジン、ドアを開け出て行く ---

         :ドアの閉まる音 -----


ジ ン  「(ポツリと)ホントに ... 役に立たなかったな」


         :オフィス街の雑踏 -----

         :やがて靴音だけが響きだし ---
         :もう一つの靴音が、ジンの靴音と重なりだす -----


ジ ン  「ン ...?」


         :立ち止まる、ジン ---


ジ ン  「 ..... 」


         :タバコをくわえ、火を点ける ---
         :やがて歩き出し、少し遅れて重なり合う靴音 -----


ジ ン  「下手な尾行だな ... 」





posted by マスターの知人 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
blogramで人気ブログを分析 にほんブログ村 小説ブログ 脚本・シナリオへ
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。