2012年08月04日

anecdote / 雨色のレシピ File-T -Page:2-








ジ ン(Na) そんな訳で、俺は命を奪われた ---
      と言うより、殺されたと言うべきか ... サンドリオンのマスターに。
      とは言ってみても ...
      ここでこうしてグラスから伝わる氷の冷たさを指先に感じてるんだから
      どうやら俺は生きてるらしい ...

      さっき確かに撃たれたはずなのに ---

      そう言えば微かな雨の気配と、仄かにいい女の匂いが漂う ...
      間違いなくこの俺は生きている ... 何故か?

      フフフフ ... アッハハハハ ... 夢か ... 夢だったんだよな ----

      ... 申し訳ない。こんな俺は、加納 仁。通称、ジンと呼ばれるバッド・
      ミドル・エイジ ...?

      売られたケンカは必ず買う ... この性格の成れの果てが、しがない場末の
      探偵だが、そんな俺の境遇を、俺自身は決して悲観してない ----

      その俺が、ゆっくり腰を据えて夢見れる居場所 ...
      それがここ、バール・サンドリオン ----

      もっとも、イイ女の匂いがするここのマスターだからこそ ... 俺は夢で
      殺されたのかも? -----


         :サンドリオンの店内 -----


マスター 「お目覚めですか?」

ジ ン  「どうやらそうらしい ... 」

マスター 「お疲れなんですね」

ジ ン  「そうかもな ... 逃げ回るのも大変だからな」

マスター 「逃げ回る?」

ジ ン  「そう ... 借金取からな ... 」

マスター 「コウノトリじゃないんですね」

ジ ン  「そういう類のやつには、どうも縁がないらしい ...
      現に今だって、マスターに殺されたんだからな」

マスター 「私に、殺された?」

ジ ン  「そう ... それもマグナムでこの左胸を ... この距離から撃ち抜かれた」

マスター 「マグナムで、ここから?
      ...(微かな笑い)ウフフ ... 大層な夢をご覧になってたんですね」

ジ ン  「何せ、マスターにマグナムだもんな。ホントに大層な夢だったよ。
      けど ... マスターに殺されるなんてのは、ちょっとしたフランス映画の
      ラストシーンより乙だと思うな、俺は」

マスター 「光栄なことですと、この場合、私は喜んでいいのでしょうか ...?」

ジ ン  「もちろんさ ... この俺の左胸を仕留める奴なんて、今の今までお目に
      かかった事はないからな」

マスター 「重みのあるお言葉ですね。
      それに ... 私にマグナムを撃たせるところなんか、ジンさんらしいと
      思いますね」

ジ ン  「俺が昔、愛してたヤツさ ... 」

マスター 「インターポール時代に、ですね ... 」

ジ ン  「 ... マスター」

マスター 「はい?」

ジ ン  「マスターなら ... いいデカに、なったと思うよ」

マスター 「これはまた、含蓄のあるお言葉ですね」

ジ ン  「ちなみに ... 俺がホシなら、逃げるどことろか ... 」


        SE:ドアの開く音 -----





posted by マスターの知人 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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