2012年08月18日

anecdote / 雨色のレシピ File-V -Page:2-








         :探偵の事務所 -----

         :数人の警官を引き連れた刑事と村岡がいる -----


アサミ  「だからもう少し待ってくださいよ! すぐに今、先生が帰って来ますから!」

村 岡  「先生? あいつが? (嘲笑い)笑わせてくれるな ... 」

アサミ  「先生のことを先生って言って何がおかしいのよ! あなた刑事のくせして
      おかしいんじゃなくて?!」

村 岡  「おかしいのはお前の先生の方だろうが!」

アサミ  「どうかしてよ? どうして先生がおかしいのよ!」

村 岡  「あいつは昔からそうだったんだ ... 」  

アサミ  「何よ、その昔からって ... あなた先生を知ってるの?!」

村 岡  「さあ、つべこべ言ってないで、さっさとその鑑札を渡すんだ!」

アサミ  「嫌です! ... お断りよ!」

村 岡  「これ以上逆らうと、公務執行妨害で逮捕することになるぞ」

アサミ  「逮捕でも何でもしなさいよ! 死んでもこれは渡さないから ... 」

村 岡  「気の強いお嬢さんだな ... 類は友を呼ぶって言うのも、満更でもないんだな」

アサミ  「どういう意味よ、それ」

村 岡  「どういう意味でもいいんだよ。とにかく寄越すんだ! その鑑札を!」


         :村岡、アサミから無理やり鑑札を取り上げようとする -----


アサミ  「やめてよ ...! キャーッ!」


         :事務所のドアが開き --- ジンがいる


ジ ン  「止せよ、インテリ ...!」

アサミ  「あ、先生!」

村 岡  「ジン ...!」

ジ ン  「久しぶりの再会が、こんな場面とは ... あまりカッコ良くねえな ... 」

アサミ  「再会って ... 先生、この人知ってるんですか?」

ジ ン  「ああ ... 昔一緒に、派手にドンパチやってた仲さ」

アサミ  「ドンパチって ... ?」

村 岡  「貴様だけだ ... 派手にやってたのは」

ジ ン  「そう言われれば、そうだったけな ... お前は慎重派で、説教たれるのが
      趣味だったからな ... 」

村 岡  「人を殺す趣味よりはましだ ... 」

ジ ン  「おいおい、せっかくのご対面にそんなセリフはなしにしようや ... 無粋だぜ」

村 岡  「 ... 無粋なのは貴様の方だ。貴様のおかげで俺はしがない県警の刑事に配属され
      こうして日々、くだらんヤマを追う羽目になったんだからな」

ジ ン  「そんなお前が、一体何をしにここへ来たんだ ...?」

村 岡  「貴様の鑑札を没収に来たんだ」

ジ ン  「俺の鑑札を ...? 容疑は何だ? 鑑札を取り上げる容疑は?」

村 岡  「家宅不法侵入」

ジ ン  「不法侵入だと ...?」





タグ:探偵 刑事 再会
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2012年08月17日

anecdote / 雨色のレシピ File-V -Page:1-




         :サンドリオンの店内 -----

         :グラスのバーボンが軽くステアされ差し出される ---


マスター 「お待たせいたしました ... どうぞ」

ジ ン  「ありがとう ... 」


         :ジン、ゆっくりと一口 -----


マスター 「いかがです、お仕事の方は ... 順調ですか?」

ジ ン  「お陰様でと言いたいところだが ... あんまり芳しくないんだな、これが ...」

マスター 「そうなんですか ... 」

ジ ン  「下手すりゃ、もう三度は確実に死んでるからな」

マスター 「三度も、ですか?」

ジ ン  「ケリがつくまで何度あることやら ...
      そうだ、マスター ... 賭けてみないか?」

マスター 「賭ける ...? 賭けるって、何をでしょうか?」

ジ ン  「だから ... この仕事が終わるまでに、俺が一体、何度命を狙われるかだよ」

マスター 「ジンさん ...!」

ジ ン  「どうだい、マスター ... あと何度あると思う?」

マスター 「(怒ったように)お止めになってください ... そんなジョークは」

ジ ン  「エッ ... ?!」

マスター 「バーボンを好まれる方で、そんな趣味の悪いジョークを口にされるのは、最低
      なことかと思います ... 」

ジ ン  「マスター ... 」

マスター 「それに ...
      このサンドリオンには、そのようなお客様は不似合いです ...
      申しわけございませんが... お客様には、お引取り願えますでしょうか」

ジ ン  「マ、マスター ...!」







         それは静かに始まった ...
         人知れず音もなく降りだす雨に
         その季節がこっそりと紛れ込むように ---

         それは静かに始まった ...
         グラスを彩る琥珀色のバーボンが
         時の流れと共に色褪せていくように ---

         そしてそれは、静かに始まった ...
         ゆっくりと漂うタバコの煙にも似た
         夢と現の微睡みの中で -----



マスター 「 ... お目覚めですか?」

ジ ン  「 ... 近頃どうもいけないな ... 変な癖がついた ... 」

マスター 「変な癖?」

ジ ン  「ここでこうしてると、必ず眠っちまう ... 」


マスター 「そう言えば、この間もそうでしたね ... あの時は確か ... マグナムで私に
      撃たれた夢を見たとか ... 今夜の夢は、いかがでしたか?」

ジ ン  「あれ程ひどい内容じゃなかったが ... やっぱりあの時同様、あまり戴けない
      夢だったな」

マスター 「今回も私だったんでしょうか? その夢のお相手は」

ジ ン  「そう ... 今回はマスターに、店から出てってくれと言われたよ ... 」

マスター 「(微かに笑い)」そんなことを言ったんですか ... 夢の中の私は」

ジ ン  「それにしてもリアルだったな ... マスターのセリフは。
      今でもこの耳に残ってるよ」

マスター 「案外、夢じゃなかったのかもしれませんね ... 」

ジ ン  「マスター ... 勘弁してくれよ ... 」


         :その時、サンドリオンの電話が鳴る ---
         :マスター、受話器を取る ---


マスター 「はい、サンドリオンでございます ... 」

アサミ(電話の声)「(ひどく慌てている)あ、マスター ... 先生居ますか?!」

マスター 「ええ、いらっしゃいますが ... 」

アサミ  「なら、すぐ事務所に帰るように伝えてください!」

マスター 「どうかしたの? アサミさん ... ?!」

ジ ン  「ン ...?」

アサミ  「事務所が ... 事務所が大変なんです!」

マスター 「エッ ...?!」 





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2012年08月15日

anecdote / 雨色のレシピ File-U -Page:final-








         :サンドリオンの店内 -----

         :電話のテープが流れる中 ---
         :ジンとマリコ、そして弁護士の佐山がいる -----


男の声  --- 「あの女には近づくなと言ったはずだ ... 命が惜しければ今すぐに手を
        引け!」


         :ジン、テープのスイッチを切る -----


ジ ン  「どうかな? この声に聞き覚えは ...?」

マリコ  「残念ながら、答えはNOよ」

ジ ン  「そうか ... それじゃ念のために聞くが ... あんたはどうだ? 弁護士さんよ」

佐 山  「私も答えは同じだな ... 探偵さん」

ジ ン  「あんたは期待に応えてくれるから、嬉しいよ」

佐 山  「そうかね ... 」

ジ ン  「ところでマリコさんよ ... 俺は今回の仕事で、どうも引っ掛かる事がいくつも
      あるんだがな ... 」

マリコ  「どういうことかしら ...?」

ジ ン  「まず第一 ... あんたと、このサンドリオンで出会った直後、俺の事務所に素敵
      な爆弾が届けられた事 ...
      第二に、同じく仕事を引き受けた矢先に、この店の前で車に襲われた事 ...
      そして第三に ... あんたの亭主の友人に会いに行った帰りに尾行され、この時
      にも同じく車に襲われた ... これは一体、どういうことなんだ?」

マリコ  「どういうことって?」

ジ ン  「あんたの亭主は、一体何に関わってるのかな?」

佐 山  「どういう意味かね、それは」

ジ ン  「ひょっとしてあんた ... 亭主の失踪した理由に、何か心当たりがあるんじゃない
      のか?」

マリコ  「 ... 探偵さんらしからぬ、見解ね」

ジ ン  「何だと ...?」

マリコ  「(冷ややかな笑い)ウフフフフ ... とんだ見込み違いだわ ... 
      もう少しまともな報告を伺いたいものね ... あなたからは」

佐 山  「もっとしっかりしてくれなきゃ困るね、君ィ」

マリコ  「とにかく ... 主人を見つけ出してくれさえすればそれでいいの ...
      余計な憶測や詮索は火傷をするもと ... 止した方が利口だと思うわ ... 」

ジ ン  「余計だと ...?」

佐 山  「その通り ... 君はただ、頼まれたことだけをやってればいいんだよ」

ジ ン  「頼まれたことだけ、か ... 」

マリコ  「今夜はこれで失礼するわ ... 」

佐 山  「よろしく頼むよ、探偵さん ... 高い報酬を出してるんだからね」

ジ ン  「 ..... 」

マリコ  「それじゃマスター ... ごちそうさま」

マスター 「ありがとうございました ... 」


         :マリコと佐山、店を出てゆく --- ドアの閉まる音


ジ ン  「(ポツリと)... どうも腑に落ちねえな、あの女 ... 」

マスター 「彼女が、ですか ...?」

ジ ン  「氷のような笑みを浮かべてやがる ... 」

マスター 「氷のような笑み ... 」

ジ ン  「 ... マスター ... もう一杯、戴こうか ... 」



マスター(Na) グラスを染めるバーボンのような ...
      琥珀色した様々な疑惑が漂い始めた ---

      男はそれを、静かに感じ ...
      女はそれを、静かに笑った -----

      この季節にはめずらしく ...
      少し冷たい雨の夜の出来事だった -----


         :微かな雨の音 -----





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2012年08月14日

anecdote / 雨色のレシピ File-U -Page:5-








        SE:辺りに響く二つの靴音 ---

         :やがてジンは立ち止まる --- ほぼ同時に鳴り止む靴音
         :次の瞬間、走りだすジン ---
         :追いかけてくるもう一つの靴音 ---
         :交差点、鳴り止む歩行音 --- 信号は間もなく赤
         :そこを突っ走るジン ---
         :クラクションの音 ---
         :急ブレーキ音 -----


男性の声 「馬鹿野郎ーっ! 危ないじゃないか!」


         :ジンの吐息 ---
         :辺りに響く靴音 -----


ジ ン  「この辺りでいいか ... 」


         :立ち止まるジン ---
         :鳴り止むもう一つの靴音 -----


ジ ン  「下手な尾行の割には、よくついて来たな ... ほめてやるぜ」

尾行者  「 ..... 」

ジ ン  「礼ぐらい言ったらどうなんだ? せっかくこの俺がほめてやってるのに ... 」

尾行者  「 ..... (ナイフを構える)」

ジ ン  「ほう ... どうやら口より、手らしいな ... 」


         :突然、飛び掛る尾行者 ---
         :ジンはすかさずナイフをかわし、応戦 ---
         :激しい争いの後、尾行者を締め上げるジン -----


ジ ン  「誰に頼まれた! ... それともお前が張本人か? ... 何とか言えよ、この野郎!」


         :殴りつけるジン ---
         :しかし、一言も漏らさない尾行者 -----


ジ ン  「しぶとい奴だな ... テメエ、日本語忘れたか?」


         :その時、猛烈な勢いで突進してくる車 -----


ジ ン  「何ィ!」


         :危うくかわすジン ---
         :咄嗟に逃げ出す尾行者 -----


ジ ン  「クソーッ、あの野郎! 逃しゃしねぇぞ!」


         :逃げる尾行者 --- 追いかけるジン
         :車のスピン音 ---
         :またもやジンをめがけて突進してくる車 ---
         :ジンが怯んだ隙に、車に乗り込む尾行者 ---
         :追いかけるジン ---
         :走り去る車 -----


ジ ン  「畜生 ... !」


         :息絶え絶えにその場に座り込むジン ---
         :激しい吐息 ---
         :やがてポツリと -----


ジ ン   「俺も ... 年だな ... 」






タグ:尾行者
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2012年08月13日

anecdote / 雨色のレシピ File-U -Page:4-








         :探偵の事務所 ---

         :テープから流れる男の声 -----


男の声  --- 「そこにいるんだろ ... 」

ジンの声 --- 「いたらどうなんだ!」

男の声  --- 「あの女には近づくなと言ったはずだ ... 命が惜しければ今すぐに手を
          引け!」

ジンの声 --- 「お前は誰なんだ!」


         :電話が切れ --- 通信音
         :テープのスイッチを切るアサミ -----


アサミ  「要するに ... 相手にはこっちの動きがお見通しなんだ ... 」

ジ ン  「そういうことになるな」

アサミ  「でも何故 ...? どうして先生の動きがわかるんだろう ... 」

ジ ン  「人気者なんだろうな、きっと ... 」

アサミ  「あのね ... 」

ジ ン  「こりゃ失敬 ... 」

アサミ  「にしても、この電話の男、依頼人のご主人を先生に先に見つけ出されることを
      拒もうとしてる ... 何故?」

ジ ン  「 ... いいところに気がついたな」

アサミ  「エ ...?」

ジ ン  「奴らは確実に、俺の仕事を邪魔してる ... イコールそれは、彼女の亭主を
      見つけ出させまいとしてるってことになるな」

アサミ  「ということは ... この仕事、案外と根が深いかもしれない ... 」

ジ ン  「そうかも知れんな ... おまけに、彼女の亭主はもしかすると ... 」

アサミ  「もしかすると?」

ジ ン  「とんでもない事件に巻き込まれてるかもしれない ... 」

アサミ  「その可能性は大きいかも ... 」

ジ ン  「 ... 亭主の背後関係を洗ってみるか ... 」



アサミ(Na) そんな訳で先生は、失踪した男性が学生時代からもっとも親しくしてたと
      いう『男性の友人』のオフィスを訪ねた -----



友 人  「いえ、ここしばらくは顔を合わせてないもんですから ...
      近況はと聞かれても、詳しいことはよく ... 」

ジ ン  「そうですか ... 」

友 人  「しかし驚きだな ... 」

ジ ン  「と言うと?」

友 人  「彼は何ひとつ取っても、不自由のないはずなのに ... 」

ジ ン  「そのようですね ... 」

友 人  「だってそうでしょ ... 美人の奥さんをもらい、あの若さで会社を経営する程の
      実業家だし ... 皆からは憧れの存在なんですよ、彼は。
      その彼が失踪するなんて ... どう考えても納得できないな ...
      失踪の原因なんて思いつかない ... 」

ジ ン  「なるほどね ... いや、どうも。お忙しいところ、ありがとうございました」

友 人  「いや、とんでもない ... それより、お役に立てなくて申し訳ないです」

ジ ン  「いいえ ... それじゃ、私はこれで」

友 人  「あ、加納さん ...!」

ジ ン  「何か ...?」

友 人  「あいつの事で何かわかったら、私にも知らせてくれませんか ... 」

ジ ン  「ああ ... そうですね。わかりました ... では、失礼 ... 」


         :ジン、ドアを開け出て行く ---

         :ドアの閉まる音 -----


ジ ン  「(ポツリと)ホントに ... 役に立たなかったな」


         :オフィス街の雑踏 -----

         :やがて靴音だけが響きだし ---
         :もう一つの靴音が、ジンの靴音と重なりだす -----


ジ ン  「ン ...?」


         :立ち止まる、ジン ---


ジ ン  「 ..... 」


         :タバコをくわえ、火を点ける ---
         :やがて歩き出し、少し遅れて重なり合う靴音 -----


ジ ン  「下手な尾行だな ... 」





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