2012年07月30日

épisode / シンデレラ イマージュ part-V -scene:4-







         :サンドリオンの店内 -----

         :女、少し残ったグラスのカクテルを飲み干し -----



イツカ  「マスター、おかわり下さい ... 」

マスター 「かしこまりました」


        SE:フルート型のシャンパングラスが用意され ---
         :よく冷やされた白ワイン(4/5)が注がれる ---
         :そこへクレーム・ド・カシス(1/5)を入れ ---
         :バースプーンでステアされる -----

         :グラスが女の手元に置かれる -----


マスター 「 ... どうぞ」

イツカ  「ありがとう ... 」


         :女、カクテルをゆっくりと一口飲み -----
         :しばらくグラスを見つめている -----


マスター 「お取替えいたしましょうか?」

イツカ  「エッ ...?!」

マスター 「グラスをじっと見つめていらっしゃるので ... 」

イツカ  「ああ ... ごめんなさい ... そんなわけじゃないんです ... 」

マスター 「やはり今夜は少し、いつもと違うようですね ... 雰囲気が」

イツカ  「 ... そうかもしれない ...
      マスターのその発言、認めます ... 自分でもそう思うから ...
      おまけに ... 酔いたいと思って飲んでるのに、なかなか酔えないし ... 」

マスター 「そのカクテルはもともとワインベースのものですから、それほど酔えるような
      お酒ではございません ... 」

イツカ  「マスターったら ... 今夜は酔いたいからって最初に言ってたのに ... 」

マスター 「カクテルは本来、酔うためのものではございません ... 」

イツカ  「酔うためのものじゃない ... 」

マスター 「様々な種類のストレートなお酒に隠された幾つもの味わいを、独自のレシピで
      醸し出し、その美しい色合いや、それぞれのネーミングにまつわるエピソード
      を楽しむものと云われています ...
      ですので ...
      同じ酔い方でもカクテルの場合はアルコールに酔ってしまうのではなく、カク
      テルの魅力 ... すなわちレシピに酔ってしまうのです ... 」

イツカ  「レシピの魅力 ...
      それじゃ、マスター ... 今夜、私にこのカクテルを選んだのは一体 ... 」

マスター 「そのカクテルは『キール』と呼ばれ、白ワインをベースにしてクレーム・ド・
      カシスというリキュールを入れたものです ...
      ですが、このカクテルの故郷であるフランスではキールを作る場合、このクレ
      ーム・ド・カシスは入れ過ぎるとワインの風味が薄れるために、色合いを見な
      がら控えめに入れられます ...
      そこで薄赤い色をしたちょうど良い色のカクテルに仕上げるために、フランス
      では”three tears”が良いと云われているのです ... 」

イツカ  「three tears ...?」

マスター 「そう ... 涙3滴分ということです ... 」

イツカ  「涙3滴分、か ... 」

マスター 「今夜、お客様に似合う涙の数も ...
      ちょうど3滴程がお似合いではないかと ... 」





posted by マスターの知人 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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