2012年07月10日

épisode / 6oz.(オンス)の告白 -scene:4-






         :サンドリオンの店内 -----       


女    「その夜、結局星空を見ることは出来なかったけど ...
      私自身が何かとても大切なものとめぐり逢えたような気がして、嬉しかった」

マスター 「年に一度の星たちのめぐり逢いが、姿を変えて行われたようですね ... 」

女    「恥ずかしながら ... 私もそう思ってた ...
      以前から顔を合わせたけど、ホントの意味での、これが出逢いなんだって」

マスター 「では、それからお付き合いが ...?」

女    「そうですね ...
      バイトが一緒だから時間の融通がきくし、休みも同じだから、それまで一人
      じゃ行けなかった色んな所へ彼と出かけたし ...
      彼もまたバイクでよく私を、遠いところまで連れてってくれた ...
      楽しかったな ... あの頃は ... 」


         :女、グラスに少し残ったカクテルを飲み干し -----



女    「マスター、おかわり下さい」

マスター 「かしこまりました .... 」


        SE:ミキシンググラスにキューブアイスが入れられ ---
         :そこへドライシェリー(2/3)とスィートベルモット(1/3)が
          注がれる ---
         :静かにステアされ ---
         :カクテルグラスに注がれる ---


女    「(ポツリと)そんな楽しい日々も、そう長くは続かなかったな ... 」


         :グラスが置かれる -----


マスター 「どうぞ ... 」

女    「どうも ... 」


         :女、カクテルを一口 -----
         :やがてグラスを見つめながら -----


女    「ちょうど一年後の七夕のことだった ...
      その夜もやっぱり曇り空で、それじゃ去年同様、二人で何処か星を見に行こう
      ってことで、話は決まってた ...
      私の二十歳の誕生日ということもあって、彼は随分と張り切ってくれてた ...
      でも ... そんな日に限って、得意先からの急な注文が入って、彼がその配達
      を頼まれた ...
      『店で待つのもなんだから、花時計の前で』と ... 彼は私の耳元でそう言うと
      ニッコリ笑って出かけて行った ...
      結局それが、彼の最後の言葉になるとも知らずに、私はいそいそと花時計へと
      向かった ... 」


         :女、カクテルをゆっくりと一口 -----


女    「それから ... 30分 ... 40分と時間だけがどんどん過ぎて行き、いつまでたっても
      彼は現れなかった ...


        SE:夜の街の喧騒 -----
         :遠くで微かに聞こえる救急車のサイレン音 -----


女    「そのうちに小雨が振りだし ...
      遠くで救急車のサイレンの音が聞こえた時 ...
      私は不意に言い知れぬ不安襲われ、彼の携帯に電話をかけた ... が
      つながることはなかった ... 
      私はそのままバイト先に電話をかけた ... 」


         :受話器の向こうのコール音 --- やがてつながり


女    「受話器の向こうから聞こえたのは、お店のオーナーの奥さんの声 ...
      私が彼のことを聞く前に、震える声で奥さんに告げられた ...
      『彼が死んだ』と ... 」





posted by マスターの知人 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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