2012年07月09日

épisode / 6oz.(オンス)の告白 -scene:3-






         :サンドリオンの店内 -----       


女    「私、これでも結構、田舎者なんですよ ...
      4年ほど前に四国から、わざわざこっちの大学へ通うのに引越しして
      一人暮らし始めたんです。
      何せずっと憧れてましたからね、この街には。
      それで念願の一人暮らしも叶って、張り切ってたんですけど、何かしら
      人恋しいんですよね ...
      友達は出来るし、遊びに行くところだって色々あるのに、何故だか淋しい
      ... どうしてなんだろうってあれこれ考えてみたら ...
      私、いつも一人だったんです ... 」

マスター 「でも、お友達がいらっしゃったのでは ... 」

女    「私の場合、学生とアルバイトの両方こなしてたから、友達はいても一緒に
      遊びに行くことなんて、たまにしかなかった ...
      親に無理させてこっちの大学へ行かせてもらってたから、せめて自分の
      食費や小遣いぐらいは、自分で賄おうと思ってたんで ... 」

マスター 「なかなか感心な大学生だったんですね ... 」

女    「でもホント、淋しかった ...
      やれバレンタインだ、クリスマスだって言って、周りの友達は彼とデート
      だとかパーティーだとかで、気がついたらいつも一人取り残されてたから」

マスター 「そんな時に知り合われたんですか? ... 彼とは」

女    「知り合ったというより ... 実はそばにいたんですよね、ずっと前から」

マスター 「ずっと前から?」

女    「アルバイト先のチーフだったんですよ、彼」

マスター 「チーフ?」

女    「私のバイト先がフローリスト ... つまり花屋さんの販売だったんです。
      それで彼が配達係のアルバイトチーフだった ...
      いつも顔を合わせてたわりにはそんなに話をすることもなく、ただ事務的に
      会話する程度だったのに ... 」

マスター 「それがどうしてまた?」

女    「彼が誘ってくれたんですよ ... 七夕の夜に星を見に行こうって」

マスター 「七夕の夜 ... 」

女    「その日は生憎の曇り空で、せっかくの星も見えなくて ...
      私、内心がっかりしてたんですよね ... 」

マスター 「七夕に何か特別な思い入れでもおありだったんでしょうか?」

女    「 ... 私の誕生日なんです ...
      それで彼が『星の見える所まで連れてってやるから』って、私をバイクに
      乗せて走ってくれたんです ... 」

マスター 「思いがけないバースディーになったんですね ... 」

女    「実は彼 ... 私の誕生日を知ってたんですよね。知ってて、その日に私を
      誘ったんです ... 」

マスター 「よくご存知でしたね、お客様のお誕生日を」

女    「何てことない、前に私の履歴書を見たことがあったらくて ...
      それでその日に決めたらしいんですよね、告白を」

マスター 「告白 ...?」

女    「彼らしい告白でした ... 」


         SE:バイクの走行音 -----


女    「バイクのスピードを徐々に上げていき ...
      風とエンジンの音で、ほとんど何言っても聞き取れない状態なのに ...
      彼は運転しながら後ろの私に、こう言いました ...
      『ずっと前から、好きだったんだ』って ... 」




posted by マスターの知人 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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