2012年07月05日

épisode / 来夢来人 [ジン来夢/パール来人.part:X] -final-






         :サンドリオンの店内 -----


マスミ  「あなたこそ、今夜どうして私をここへ誘ったの ...?
      何か言うつもりじゃなかったわけ...?」

ジ ン  「そう ... それもある」

マスミ  「それもって ... 他にもなにかあるの ...?」

ジ ン  「それよりどうするつもりなんだ .... オレとのことは」


         :沈黙 -----


マスミ  「 ... どうしていいのか、わからないの ... 今」

ジ ン  「わからない、か ... 」

マスミ  「 ... どうしたいの ... あなたは」

ジ ン  「 ... 正直に言えば、自分でもよくわからない ... でも ...
      わからないなりにも、どうしようもないたった一つだけの事実がある」

マスミ  「たった一つだけの事実 ...?」


         :男、小指の指輪を外して -----


ジ ン  「この指輪のサイズは、お前の左手の薬指にピッタリだってこと ... 」

マスミ  「 ... そんな ... 」

ジ ン  「ホントなら二ヶ月前のあの日に、これは渡せてたはずだった ...
      あんなケンカさえしなけりゃ ... 」

マスミ  「ジン ... 」


ジ ン  「とにかくこの指輪は渡すよ ...
      そもそも、お前のために買ったものなんだからな ... 」


         :男、指輪をカウンターに置く -----


マスミ  「 ... 少し飲みたくなってきた ... 私」

ジ ン  「なら ... マスターに何か作ってもらえよ」

マスミ  「マスター ... 」

マスター 「はい ... 」

マスミ  「私に ... いつか飲めなかったあのカクテルを ... 」

ジ ン  「飲めなかったカクテル ...?」

マスター 「 ... ジンに包まれて光り輝く、パールオニオンのあのカクテルですね ...
      かしこまりました ... 」

ジ ン  「ギブソンか ... 」


        :女、バッグから封筒に入った切符を取り出し -----
        :ゆっくりと破りだす -----


ジ ン  「どうしたんだ? 急に ... 」

マスミ  「ううん ... それより ... ライター貸りるね」


         :女、男の手元にあるジッポーを手に取り ---
         :火を点ける ---
         :灰皿の中で燃える封筒 -----


ジ ン  「何かあったのか ...?」

マスミ  「何でもない ... 行き先を間違って買った、切符なの ... もう意味もないし ... 」

ジ ン  「相変わらずだな、お前 ...」

マスミ  「そうね ... そうかもね ... それより ... 」

ジ ン  「ン?」

マスミ  「今頃なんだけど ... Happy Birthday ... ジン」


 
 
          長針短針 ... 彼と彼女 -----
          長針だけでは時を知る術もなく
          短針だけでは時を刻めるはずもない -----
          気まぐれなのか諦めなのか
          それぞれがそれぞれの存在に気がついて
          はじめてかけがえのないものだと知らされる -----

          今 ... 彼と彼女の二人の時計は
          真新しい時の歴史を刻み始めた -----





posted by マスターの知人 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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