2012年07月25日

épisode / シンデレラ イマージュ part-U -scene:final-






         :サンドリオンの店内 -----

         :女、カクテルを一口飲み ---
         :グラスを少し揺らす --- 氷の音


イツカ  「今夜もマスターのおかげで、素敵な夜を過ごせたな ... 」

マスター 「ありがとうございます ... そう言って頂けると光栄です」

イツカ  「ホントのところ ... 今夜はすっごく淋しかった ...
      5分10分と、待ち合わせの場所で時間はどんどん過ぎて行って、一人また一人
      と隣りで待ってる人たちまでが時間と一緒に私の目の前を通り過ぎて行く ...
      いつもならそんなことないのに、今夜は ... 今夜だけは、自分だけがこの世の中
      で取り残されていくような、そんな気がして ... 」

マスター 「それでも待たれていたんですね、彼を」

イツカ  「私にはそれしか出来ない ...
      待つこと以外、何も出来ないから ... 」

マスター 「強がりだったんでしょうか? 直角は」

イツカ  「直角どころか ... 下降線でしたね ... 」

マスター 「待つこと以外、本当に何も出来ないんでしょうか ... 」

イツカ  「私の場合は、そう。それ以外のことはしたくないし、出来ない ...
      怒ることも憎むことも、私の性には合わない ...
      変わってるとか、騙されるタイプだとかってよく言われるけど、私自身これで
      いいと思ってる ...
      綺麗ごとで世間知らずだといわれそうだけど ... 私は騙すより、騙される方で
      いたいと思うから ... 」

マスター 「騙すより、騙される方ですか ... 」

イツカ  「ねえ、マスター ...
      こんな女が、この世の中にいたっていいと思いません ... ?」

マスター 「そうですね ... 確かに貴重な存在かも知れませんね、イツカさんは」

イツカ  「アッ ... マスター、2度目ですね。私を名前で呼んでくれたのは。
      感激だな ... ウフフフフ ... 」


         :グラスの氷が揺れる音 -----



マスター(Na) それから彼女はいつものように、午前零時をここで迎えることもなく
      ドアの向こうへ消えて行かれました ...

      屈託のない笑顔と ... グラスの氷に、今夜はほんの少しの淋しさを残して ...

      それはちょうど、汚れない心に儚い夢を抱えたシンデレラのように、この店を
      後にされしました ...

      やはり彼女に漂っているのは、シンデレラのようなイメージ ... 

      そして今夜の彼女は、最後にこんなセリフを残されました ...

      「今度は彼と、ここへ来ます ... 」と -----





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2012年07月24日

épisode / シンデレラ イマージュ part-U -scene:4-






         :サンドリオンの店内 -----       


マスター 「何かお作りいたしましょうか ...?」

イツカ  「あ、ホント ... グラスが空なんだ ... 今夜はよく飲んでるな、私。
      そのせいかな ... さっきからつまんないことばっかり言ってるのは」

マスター 「つまらないことだなんて ... そんなことはございません」

イツカ  「そうかなぁ ... 」

マスター 「お飲物 ... 同じものでよろしいでしょうか」

イツカ  「そうですね ... そうしてください」


        SE:グラスにキューブアイスが入れられ ---
         :そこへオレンジジュース(1/2)を注ぎ ---
         :シャンパン(1/2)が注がれて ---
         :バースプーンで軽くステアされる ---
         :最後にオレンジスライスがグラスに沈められ ---

         :グラスが女の手元へ置かれる -----


マスター 「どうぞ ... 」

イツカ  「結構気に入っちゃったな、このカクテル ... えーっと ... 」

マスター 「ミモザ、ですね ... 」

イツカ  「そうそう ... このミモザが。
      これってオレンジジュースと何が入ってるんです?」

マスター 「シャンパンです ... 」

イツカ  「シャンパン?」

マスター 「スパーリングワインとも呼ばれますが ... 」

イツカ  「エッ?! シャンパンとスパーリングワインって同じものなんですか?」

マスター 「正確に言いますと ...
      シャンパンというのは、ワインが発酵する時に出る炭酸ガスを、そのまま
      閉じ込めたもので ... 
      スパーリングワインも同じく、ワインが発酵する時に出る炭酸ガスを閉じ
      込めたものを言います ... 」

イツカ  「それじゃまったく同じものなんだ ... 」

マスター 「いえ ... それでも微妙な違いがございまして ... 」

イツカ  「微妙な違いって?」

マスター 「そもそもスパーリングワインというのは発泡性ワインの総称であって
      フランスのシャンパーニュ地方で作られるものに限って『シャンパン』と
      呼ばれております」

イツカ  「へーっ ... そうなんだ」

マスター 「ちなみに ...
      シャンパーニュ地方以外で作られるフランスの発泡性ワインは『ヴァン・
      ムスー』、ドイツでは『ゼクト』、イタリアでは『スプマンテ』と呼ばれて
      おります」

イツカ  「なるほどね ... 」

マスター 「ですので ...
      シャンパンの生産地はシャンパーニュ地方だけのものですから、間違っても
      ドイツ製のシャンパンなどは在り得ないのです」

イツカ  「シャンパーニュのものだけがシャンパンか ...
      同じようなものでも微妙に違うのね ... 」

マスター 「恋愛も、そのようなものかも知れませんね ... 」

イツカ  「エ ...?」

マスター 「みんな同じように恋をしても ...
      人それぞれ、愛し方が違うのではないかと ... 」





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2012年07月23日

épisode / シンデレラ イマージュ part-U -scene:3-






         :サンドリオンの店内 -----       


マスター 「どうしてそうなんでしょう ... 確かこの間もそうだと ... 」

イツカ  「そうですね ... おかしいですよね、こんなのって。
      私がいながら別の子といるなんて、ホントおかしいですよね、彼。
      友達もみんなそう云う ... どういうつもりなんだって ...
      ホントにどういうつもりなんだろうな ... ユウは」

マスター 「このままで、いいんでしょうか ...?」

イツカ  「良くないとは思ってますけどね ... でも ... 」

マスター 「仕方ないと思う、ですか?」

イツカ  「あ、マスターすごい。私の気持ち読んでる」

マスター 「いいえ ... これはこの間おっしゃってたセリフです ... 」

イツカ  「そっか ... 私、口癖になってるんだ ... 」

マスター 「あまり歓迎できない口癖かと思いますが ... 」

イツカ  「そうかも知れませんね、この言葉は ... 」

マスター 「本当にこのままでいいんでしょうか ... 彼のこの浮気めいた行動が」

イツカ  「浮気か ... やっぱりそうなるのかなぁ ... 」

マスター 「どういう意味なんでしょうか、それは」

イツカ  「みんなもよくそう言うの ...
      あなたがいながら、なんで他の女と一緒のいなきゃならないの?
      まったく男って身勝手なもの ... 浮気が男の甲斐性だと思ってるんだから
      いい気なもんよねって ... 」

マスター 「よく耳にするお話しですね ... 」

イツカ  「そう。ほとんどの人がそう云うし、そう思ってる ...
      当の男性自身もそう思ってるみたいだし ...
      だから、友達なんか彼に浮気されたら自分も浮気してお返しさせてもらうとか
      証拠や現場を押さえてその場できっぱり別れてやるんだとか、色々 ...
      みんなかなり過激な行動を心得てるみたいで ... 
      でも中には、只々泣いてる子もいるけど ... 」

マスター 「ご自分の場合はどうなんでしょうか ...?」

イツカ  「私の場合? 私の場合は ... ご覧の通りですよ」

マスター 「仕返しするでもなく、別れるわけでもない ...
      まして、ただ泣いてるわけでもなく ...
      いつものままでいつものように ... ということでしょうか」

イツカ  「そうですね ... そういう感じですね、私の場合は」

マスター 「一途に信じていらっしゃるんですね ... 彼のことを」

イツカ  「いいえマスター ... そうじゃなくて ...
      信じなきゃいけないと思うんですよ ... 自分で選んだ人なんだからって ... 」





タグ:口癖 浮気
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2012年07月22日

épisode / シンデレラ イマージュ part-U -scene:2-






         :サンドリオンの店内 -----       


イツカ  「ところでマスター ...
      今夜もお任せでお願いしてもいいかな、カクテルのオーダー」

マスター 「かしこまりました ... 」


        SE:フルート型シャンパングラスが用意され ---
         :そこへキューブアイスが一つ入れられる ---
         :オレンジジュース(1/2)を注ぎ ---
         :シャンパン(1/2)が注がれ ---
         :最後にオレンジスライスがグラスに沈められる -----


マスター 「お待たせいたしました ... どうぞ」


         :女の手元に、グラスが置かれる -----


イツカ  「ありがとう ... それにしても綺麗なオレンジ色したカクテル ...
      マスター、これは?」

マスター 「『ミモザ』というカクテルです」

イツカ  「ミモザか ...
      そういえばこの色合い、確かにミモザの花にそっくり。
      鮮やかなオレンジ色ね ... 」

マスター 「フランスでは『シャンパン・ア・ロランジュ』として、数百年前から上流階級
      の間で愛飲されていたと伝えられるカクテルなんです」

イツカ  「ふーん ... 由緒あるカクテルなんだ ... 」

マスター 「そのオレンジジュースの瑞々しさと親しみやすさに、シャンパンの華やかさと
      上品さが加わり、優雅な社交の場に花を添えるカクテルとされています」

イツカ  「それでミモザか ...
      何となくわかるような気がする ... 」


         :女、カクテルをゆっくりと一口 -----


イツカ  「でも ... なぜこのカクテルを、今夜の私に?」

マスター 「清楚で可憐なミモザのイメージが、ちょうどお似合いかと思いまして ... 」

イツカ  「清楚で可憐? ... 私が? ウッフフフフ ... まさか」

マスター 「私にはそう感じましたが ... おかしいでしょうか?」

イツカ  「だってマスター ... 私のどこが清楚で可憐なんです?
      そんなイメージの欠片もありませんよ、私には」

マスター 「自分で自分のイメージを、言葉に出来る方はそうそういらっしゃらないのでは
      ないかと ... 」

イツカ  「それはそうかもしれないけど ... でも ... 」

マスター 「でも ...?」

イツカ  「マスターの言う、私のイメージ、イコールこのミモザというのは、少し違うと
      思うな」

マスター 「そうでしょうか ...
      約束の場所で、彼を待つ長い時間さえも楽しいひと時と感じて ...
      例えそれで彼が来なくとも、待ちわびた気配すらさせずに、いつもと変わる
      ことない笑顔で、ここへこうしていらっしゃる ...
      そんな女性から私に伝わってくるのは、ミモザのイメージそのものです ... 」

イツカ  「マスターにはかなわないな ... (微かな笑い)ウフフフ ... 」


         :女、カクテルを一口 -----


マスター 「それにしても ... 先程確か今日で3度目とおっしゃってましたが ...
      いったいどうさなったんですか ... 彼氏は ...
      まさか ... 」

イツカ  「そう ... そのまさかなんですよ ...
      彼は今、他の子と会ってるんですよ ... きっと」





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2012年07月21日

épisode / シンデレラ イマージュ part-U -scene:1-






マスター(Na) いつものように夜の帳に街が抱かれ、海が眠り、時の流れが一日の
      終わりを告げる頃 ... 午前0時
      そんな時間を、ここバールサンドリオンで向かえることもなく、その
      女性はまた例の如く、ドアの向こうに消えて行かれました ...

      そう ... 彼女です ...

      いつも同じ時間にお見えになられては、きまって午前0時には帰って
      しまわれるとういう、白いドレスに身を包んだ、可憐で清楚な可愛い
      女性 ...
      例えればそれはちょうど、シンデレラのようなイメージが漂う女性 ...

      今宵は ... そんな彼女のお話を、皆様にご紹介したいと思います。

      ... 今夜、このお店に来られたその彼女の最初の言葉は ...
      こんなセリフで始まりました .....



        SE:ドアの開く音 ---


イツカ  「マスター ... 私、またすっぽかされたみたい。まいったなぁ ... 」

マスター 「え ... また、ですか ...?」

イツカ  「そうです ... また。
      ここんところ二度ほど続いてたから、今夜こそ来るだろうと思って
      たのに ... ユウの奴、しっかりと私の期待を袖にしてくれた ...
      くそーっ ... 」

マスター 「今夜はいつになく、ご機嫌斜めなんですね ... 」

イツカ  「斜めどころか、もう直角って感じです」

マスター 「(少し笑い)それはかなりのものですね」

イツカ  「そりゃそうですよ。
      だって私、ついさっきまで三宮の駅で待ってたんだもん ... 」

マスター 「ついさっきまで ... ?」

イツカ  「10時頃かなぁ ... 」

マスター 「それで一体、何時に約束されてたんですか?」

イツカ  「8時」

マスター 「8時って ... それでは ... 」

イツカ  「そう。たっぷり2時間もただ漠然と彼を待ってたわけ ...
      あー ... 2時間もあれば気の利いた映画一本も見れるたのになぁ ...
      ユウの奴め、ホントにもう ... 」

マスター 「でも、よく2時間もお待ちになられましたね ...
      普通なら、30分ぐらいが限度でしょうに ... 」

イツカ  「そうかな ...
      私の場合、1時間は絶対待つけどなぁ ... 」

マスター 「1時間、ですか?」

イツカ  「そう ...
      だって正直言っちゃうと、待ってること自体がもう楽しいんですもの」

マスター 「待ってることが?」

イツカ  「今日は何を話そうかとか、あそこで食事しようとか ...
      あれこれ色々と考えてたら、1時間ぐらいすぐに経っちゃう ...
      だから私の場合、やっぱり2時間ぐらいが限度かな ... 」

マスター 「でも2時間待たれて、彼がいらっしゃることがあるんでしょうか?」

イツカ  「ほとんどない ... けど、たまにあるんです ...
      5回に1回ぐらいの割合で ... 」

マスター 「5回に1回ぐらい ...?」

イツカ  「でも来てくれた時は私、ホント、ハッピーな気持ちになる ...
      (無邪気に笑う)ウフフフフ ... 」

マスター 「彼はお幸せな男性ですね ... 」

イツカ  「エッ ... ?」

マスター 「お客様のような女性がそばにいらっしゃって ... 」

イツカ  「それは違いますよ、マスター」

マスター 「エ ... ?」

イツカ  「私が幸せなんですよ ... 彼のそばにいられて ... 」





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