2012年06月28日

épisode / ジン来夢.part:W -scene:4-






         :サンドリオンの店内 -----


ジ ン  「以前、マスターに話したと思うんですが ...
      マスミと知り合って間もない頃、ボクには他に付き合ってる彼女がいた ...
      その子とは本気で一緒に暮らそうとまで考えてたのに ...
      でも、日増しにマスミに惹かれていく自分に歯止めが効かずに、結局
      その子とは別れてしまった ... 身勝手な理由で ... 」

マスター 「確か ... キミはいらない ... クローバークラブのお話でしたね ... 」

ジ ン  「そんな経緯を、彼女がボクの友達から聞いて知った時 ... プレゼントして
      くれたのが、このジッポーだったんですよ ...
      確かクリスマスの夜だったっけ ...
      『私がジンの心に火を点けたのなら ... これからその火が消えかけた時には
       このライターで火を点けてほしい』と ... 」

マスター 「そうでしたか ... 」

ジ ン  「だから以前に、マスターとのジッポーの賭けにもチャレンジしてみた ... 」

マスター 「でも、あの時は火が点かなければならない賭けでしたが ... 」

ジ ン  「あの場合 ... 肝心だったのは、火が点くことよりも、このジッポーのライター
      そのものがすべてだったんですよ ... 」

マスター 「ライターそのもの、ですか ... 」


        SE:男、ジッポーのフタを開け -----


ジ ン  「そんな、このジッポーのライターの火が点かないんだから ...
      駄目ですよ、僕たちはもう ... 」


        SE:フタを閉める音 -----


マスター 「そうでしょうか ... 」

ジ ン  「エ ... ?」

マスター 「おっしゃるように、そのジッポーがもし、あくまでも彼女の気持ちの表れだと
      したら、ご自分の気持ちは一体何で表現されるのでしょうか ... 」

ジ ン  「自分の気持ち ... 」

マスター 「それでもやはりそのライターが、お客様ご自身のすべてなんでしょうか ... 」

ジ ン  「自分のすべて ... 」


         :男、ジッポーのフタ開け --- そして閉める


ジ ン  「自分には何もないかもしれませんね ... 気持ちの表れなんて ... 」

マスター 「失礼ながら、私には見えるのですが ... 今も変わらない彼女に対するお客様の
      気持ちが ... 」

ジ ン  「それって ... 」

マスター 「まだその小指にある ... リングの輝きの中に ... 」





posted by マスターの知人 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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