2012年06月21日

épisode / パール来人.part:W -scene:4-





         :サンドリオンの店内 -----



マスミ  「この間 ... そう、ジンが私を見かけたというあの夜に ... 打ち明けられたんです
      あの人の心の内のすべてを ... 」

マスター 「すべてを ...?」

マスミ  「あの日は急にあの人から、私を誘ってきた夜だったんです ...
      それまでは必ず前もって約束するのに、あの日に限ってその日に連絡があった
      んです ... 『今夜大事な話があるから、ぜひ会ってほしい』って ...
      私は、ジンと逢おうって決めてた矢先だったんで、かなり迷ったんだけど ...
      結局、断る理由もないままに、あの人と逢うことになったんです ... 」

マスター 「その結果 ... その男性からプロポーズをされたと ...
      それにしても、急な告白ですね ... 」

マスミ  「確かに私もそう思いました ...
      あの人にプロポーズされるほど、まだ時間をかけたお付き合いしてなかったし
      私自身、まだこんな調子だったから ... 」

マスター 「それを承知で、その男性は告白をされた ... 」

マスミ  「あの人にとっては、私と共有した時間の量よりも、その内容の方が大事らしく
      て... 」

マスター 「量より質、ということ ... 」

マスミ  「どんなに多くの時間を費やそうとも、その内容に価値がなければ意味もなく ...
      逆にたとえわずかな時間でも、その内容に価値が見出せれば、それはそれで
      何年もの時間を過ごしてきたことに、勝るとも劣らないものがあるんだと ... 」

マスター 「かなり理論派の方なんですね ... 」

マスミ  「でも... 確かに難しい言い回しだったけど、何となくわかるんですよ、感覚的に
       ... 」

マスター 「果たしてそれだけの理由で、プロポーズされたんでしょうか ...
      何か他にも理由があるような ... 」

マスミ  「そうなんです ... ホントの理由は他にあるんです ...
      ... 実はあの人、4月から東京へ転勤するらしいんです。それも栄転ってことで
      ... 」

マスター 「東京へ ...?」

マスミ  「社内で急に決まったことらしく、それなりの抜擢なんだそうです。
      それでこれからの事をいろいろ考えて、その結論が ...
      私へのプロポーズだったとか ... 」

マスター 「 ... 迷っていらっしゃるんですか ... 」

マスミ  「そうじゃないと言えれば ... 私は淑女なんでしょうか ... 」

マスター 「それは ... 彼氏にとってでしょうか ... それとも、その男性にとってでしょう
      か ... 」

マスミ  「それは ... 」


         :沈 黙 -----


マスミ  「(ポツリと)今の私には、それさえ答えられないんだ ... 」

マスター 「一つだけ、答えられる事実をお忘れではないでしょうか ... 」

マスミ  「答えられる事実?」


         :マスター、サイドボードから箱を取り出し ---
         :カウンターへ置く -----


マスター 「このお預かりしたバカラのグラスが ...
      彼氏へのバースディープレゼントだということです」

マスミ  「 ...!」





posted by マスターの知人 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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