2012年06月19日

épisode / パール来人.part:W -scene:3-





         :サンドリオンの店内 -----

         :静かに流れるジャズの旋律 -----


マスミ  「そうですか ... やっぱり見たんですか、彼 ...
      私があの人と会ってるところを ... 」

マスター 「そうおっしゃられてました、この間の夜に ... 」

マスミ  「随分怒ってたでしょうね、彼は ... 人一倍、やきもちな人だから ... 」

マスター 「そうですね ... 少し怒ってらっしゃいましたね、淋しそうに ... 」

マスミ  「 ... 淋しそうに、ですか ... 」


         :女、グラスのカクテルを一口飲み -----


マスミ  「いけない女ですね、私って ...
      自分でもこんないい加減な女だとは思わなかった ... 」

マスター 「罪悪感でしょうか ... それとも自己評価 ...?」

マスミ  「両方ですね、多分 ...
      私は今、自分でもよくわからない ...
      街ですれ違う人に『お前は最低の女だ ... 悪女だよ』って、そう耳元で
      囁かれたら、自分でそう思うかもしれない ... 」

マスター 「逆の場合だったらどうでしょうか ... 」

マスミ  「逆の場合って ...?」

マスター 「あなたは最高の女性だ ... 淑女ですよと ... 」

マスミ  「誰が言ってくれるでしょうね ... そんなセリフを」

マスター 「私が今、申し上げましたが ... 」

マスミ  「私のどこが最高でどこが淑女なんです? 程遠い女ですよ、今の私は」

マスター 「悪女には罪悪感も自己評価も、持ち合わせてはいないかと ...
      ただ気の向くまま思うままに、男性の心を虜にする ...
      そこにあるのは本能のままに漂う心 ...
      そんな風には見えませんが ... お客様の場合は」

マスミ  「でも私は今、二人の男性の間に漂っている女 ...
      男を惑わせるこの瞳は豹のように黒くて、この爪のラインは光る芥子の色 ...
      たとえ悪女でないにしても、さながら過激な淑女のようなものです ... 」

マスター 「過激な淑女、ですか ... 」

マスミ  「そう ...
      それも優しさをヒールの下に隠した、淑女かもしれない ... 」

マスター 「今夜は、もう酔われたんでしょうか ...?」

マスミ  「 ... ごめんなさい ... 私 ... 」


         :女、カクテルを一口飲み -----


マスミ  「マスター ... 実は私 ... 」

マスター 「はい ...?」

マスミ  「プロポーズされたんです ... あの人に」





posted by マスターの知人 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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