2012年05月25日

épisode / パール来人.part:V -scene:2-






         :サンドリオンの店内 -----      


        SE:グラス1/2にビールが泡立たないよう静かに注ぎ
         :次に透明なレモンソーダが -----
         :やはりグラスに1/2ゆっくりと注がれ -----

         :やがて、女の前へグラスが置かれる -----



マスター 「お待たせいたしました ... どうぞ」

マスミ  「どうもありがとう」


         :女、カクテルを軽く一口 -----


マスミ  「このカクテル、ビールの苦味が和らいでて、すごく飲みやすい ... 」

マスター 「そうですね。
      基本的にはビールの炭酸割りというシンプルなカップリングですが、
      ジンジャエールを使うと『シャンディーガブ』というカクテルになりますし
      炭酸飲料ではなくトマトジュースで割ると、濁った赤い色のカクテル
      『レッド・アイ』にその名を変えます ... 」

マスミ  「レッドアイ? ... 少し変わった名前ですね」

マスター 「よく二日酔いに効くといって飲まれる方が多いカクテルですから、そう
      呼ばれるとも聞いておりますが ... 」

マスミ  「なるほど ... それでレッドアイか ... 」

マスター 「他にも『カンパリ・ビア』や『ビア・スピリッツ』と、単純にビールと
      他の物を組み合わせるだけで、色んなカクテルに生まれ変わるんです」

マスミ  「生まれ変わり、か ... 」


         :女、カクテルをゆっくりと一口 -----

         :沈黙 -----


マスター 「 ... 少し、お元気がないご様子ですね ... 」

マスミ  「 ... そうですね ... その部類ですね ... 精神的に」

マスター 「精神的に ... ?」

マスミ  「私 ... どうやらホントに自分を見失ったようなんです」

マスター 「見失う ... ?」

マスミ  「そう ... 正確には、この間の金曜日の夜から ... 」

マスター 「彼とお会いになられたんですか? それとも ... 」

マスミ  「ジンとは ... 会ってないんです ...あの人と、会ってたんです ...
      それで」

マスター 「その男性の存在が、待た少し近くなった ... 」

マスミ  「 ... そうですね ...
      それまでのお互いのテリトリーが、壊れてしまったようで ... 」

マスター 「壊れてしまった ...?」

マスミ  「そんなつもりじゃなかったのに ... 」

マスター 「でもその男性には、そうは伝わらなかった ... 」

マスミ  「子供のように、ただ無邪気な気持ちで渡したつもりだったのに ... 」

マスター 「子供のように、ですか ... 」

マスミ  「私は自分が子供のようなつもりだった ...
      でも ... 自分が大人であることを知らされました、私 ... あの瞬間」

マスター 「知らされた ... ?」

マスミ  「そう ... あの人に、抱きしめられたあの瞬間に ... 」

マスター 「子供のようにはなれても ... 子供にはなれなかったんですね ... 」





posted by マスターの知人 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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