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:サンドリオンの店内 -----
ジ ン 「久しぶりにここへ来たのに、すっかり湿った話ばかりで ... 申し訳ないです」
マスター 「いいえ ... お気になさらないでください」
ジ ン 「 ... 正直なところ、彼女のことがよく見えないんです、今は ...
最低な女だと ... そう思ったりもして ... 」
マスター 「本気なんでしょうか? そのセリフは ... 」
ジ ン 「そうですね ...
何もかもが知らないところで、勝手に起こってるんですから ...
そう思うのも、当然でしょう ... 」
マスター 「そういうものでしょうか ... 」
ジ ン 「いいんですよ、もう ... 」
マスター 「そんな時は、ご自分から結論を出されない方が、いいのでは ... 」
ジ ン 「結論を出さない ...?」
マスター 「まだ、何もかも結果が出たわけではないいのですから ... 」
ジ ン 「でもこのままじゃ、自分の居場所さえ見失いそうで ... 」
:静かに流れるジャズ -----
:男、おもむろに手元のジッポーでタバコに火を点ける -----
マスター 「どうでしょう ... それならその手元のライターで決めてみては ... 」
ジ ン 「これで?」
マスター 「昔、何かの小説で読んだのですが ...
ちょうどそのジッポーが、7回連続で火が点くかどうかということで
賭けをする場面があったんです ... 」
ジ ン 「でも、マスター ... それって可能性が低い賭けだと思うけど ... 」
マスター 「そうでしょうか ... 」
ジ ン 「7回連続だなんて ... このライターの場合は無理だと ... 」
マスター 「いかがなさいますか ...?」
ジ ン 「ちなみにその小説の結末は?」
マスター 「... 最後の7回目は、火を点けませんでした ... 」
ジ ン 「なんだ ... それじゃ賭けにならない ... 」
マスター 「いかがなさいますか ... 」
ジ ン 「 ... 」
:沈黙の間を、静かに流れるジャズ -----
ジ ン 「 ... いいでしょう、マスター。やってみましょう ...
で、どう賭ければいいでしょうかね、ボクの場合は ...?」
マスター 「それはご自分でお決めになられた方がよろしいかと ... 」
ジ ン 「... そうだな ... じゃ、もし7回連続で火が点いたら ... 」
マスター 「火が点いたら ...?」
ジ ン 「彼女のことを最後まで信じてみます ... 」
マスター 「ということは ... 」
ジ ン 「... 一度でも火が点かなかったら、別れます ... このまま彼女と」
マスター 「それでよろしいんですか ... 」
ジ ン 「 ... じゃ、始めますね ... 」
:男、ジッポーを手に取り -----
ジ ン 「1回目 ... 」
:火が点く-----
マスター 「2回目 ... 」
:火が点く -----
ジ ン 「3回目 ... 」
:火が点く-----
マスター 「4回目 ... 」
:火が点く -----
ジ ン 「5回目 ... 」
:火が点く-----
マスター 「6回目 ... 」
:火が点く -----
ジ ン 「マスター ... 所詮、フィクションの世界、小説と現実は違いますよね ... 」
マスター 「ラストですね ...
小説はここまででしたが、ここからはノンフィクションです ... 」
ジ ン 「 ... そうですね ... それじゃ ... ラスト ... 」
マスター 「7回目 ... 」
:男、ジッポーを構えて --- 擦る
ジ ン 「 ... アッ ... 」