2012年05月15日

épisode / ジン来夢.part:U -scene:3-






         :サンドリオンの店内 -----


マスター 「あらからまだ、お会いになっていらっしゃらないんですね」

ジ ン  「 ... そんなこと言ってましたか、彼女」

マスター 「いいえ ... お二人にのお話をそれぞれに伺って、そう思うのですが ... 」

ジ ン  「そうですね。わかりますよね ...
      ...ボクも彼女もそれぞれ別々に、マスターにこうして話しかけてるんです
      からね、自分の気持ちを」

マスター 「それが現状のようですね ... 」

ジ ン  「今のボクにはマスターだけが、唯一彼女との接点ってわけだ ... 」

マスター 「少し淋しい響きがありますね、今の言葉には」

ジ ン  「そうですね ... ないといえば、嘘になりますよ ...
      少し前までは、彼女とよく、ハートランゲージやってましたからね」

マスター 「ハートランゲージ?」

ジ ン  「言葉を使わずに、心から心に伝えること ... つまり以心伝心ってことです」

マスター 「以心伝心 ... 」

ジ ン  「昔はよく ... といっても、ほんのしこし前のことだけど ...
      たとえばドライブに出かける時には、必ず前もって三つの品物を買ってくる
      のがお決まりだった。
      ポテトチップでもサンドウィッチでもコーラでもなんでもいい。
      とにかく弁当代わりの物とドリンクとお菓子、この三つをその日の気分で
      お互い食べたい物を買ってくる ... それが約束だった。
      それで二人、顔を合わせたところで「せーの」で買ってきた物を見せ合う ...
      時にはボクがおにぎりで彼女がハンバーガーだったり、ポテトチップに煎餅
      だったり ... それでも三つのうち一つには、絶対に共通の物があった ...
      それでたった一度だけ、お互いの品物が全部三つとも、同じ時があった。
      まぐれと言えばそれまでだけど ... あの時はお互いに驚きながらもおかしくて
      それでいてホントに嬉しかったっけ ... 」

マスター 「まさに以心伝心、ですね ... 」

ジ ン  「他愛もない決まりごとのお遊びだったけど、あの頃は彼女の気持ちが素直に
      心の中に伝わってきてた ...
      そんな時期もあったんですよ、ボクと彼女には」

マスター 「それで淋しい響きがあると ... 」

ジ ン  「少し回りくどい言い方でしたね。
      (少し笑って)フフフ ... 今では単なる追憶だな ... 」

マスター 「どういう意味なんでしょうか? それは」

ジ ン  「もう、あの日には帰れないような ... そんな気がするんです ... 」

マスター 「どうしてそう?」

ジ ン  「彼女は今、ボク以外の男性に、心を奪われてるようなんです ... 」

マスター 「別の男性 ... どうしてそんなことがわかるんでしょうか ... 」

ジ ン  「それは ... 」

マスター 「それは ...?」

ジ ン  「そう ... 以心伝心ってやつですかね ... 」






posted by マスターの知人 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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