2012年04月11日

épisode / ジン来夢 -final-






         :サンドリオンの店内 -----


ジ ン  「それでこのカクテル、ですか ... 確かベースはテキーラ」

マスター 「情熱のスピリッツと呼ばれています ... 」

ジ ン  「情熱か ... 」

マスター 「少しお節介でしたね ... お許しください」

ジ ン  「いいえ、とんでもない ... それどころか逆にありがたいですよ。
      何度か見かけカクテルだけど、こうして口にするのは初めてだ ... 」


         :男、ゆっくりとカクテルを一口 -----


ジ ン  「ジンライムとは違って、少しドライだな ... テキーラか ... 」

マスター 「お気に入って頂けましたでしょうか ... 」

ジ ン  「気に入るというより ... むしろ感激ですね。
      でも何故このカクテルなんです? 他にもテキーラベースのものは色々
      あるのに ... 」

マスター 「このカクテルの由来はご存知でしょうか ...?」

ジ ン  「生憎と知りませんね ... 」

マスター 「 ... これは人の名前なんです ... それも女性の」

ジ ン  「女性の名前 ... ?」

マスター 「このカクテルを作ったバーテンダーの初恋の女性の名前なんです ... 」

ジ ン  「初恋の人の ... 」

マスター 「でもその女性は不運の事故死を遂げ、彼はその彼女を悼んでこのカクテルを
      作ったといわれております ... 」

ジ ン  「彼女に対する精一杯の心の表現だった ... 」

マスター 「そういうことでしょうね ... 」

ジ ン  「心の表現か ... 」

マスター 「そのシルバーリングは、女性の指に合うものだと思います」


         :男、ゆっくりと指輪を回す -----
         :カウンターに小さくはじけ回る指輪の音 --- やがて止まる


ジ ン  「 ... 確かにジンは心を冷やしたけど、これは違うな ... 」

マスター 「 ... 恐れ入ります ... 」

ジ ン  「しばらくジンとはおさらばして、こいつをベースにしてみますよ ...
      このテキーラを」

マスター 「そう云って頂けると、光栄です ... 」

ジ ン  「その時は ... もう一つグラスをお願いしますよ、マスター」

マスター 「 ... はい?」

ジ ン  「そう ... 彼女の分もね ... 」

マスター 「かしこまりました ... お客様にとってのマルガリータですね ... 」





posted by マスターの知人 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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