2011年08月22日

止まり木 / 第三夜 -scene:2-






マスター(Na)止まり木とは.....
     それは流離い飛ぶ鳥の、翼休めし静寂の場-----

     また止まり木とは.....
     それはつかの間の微睡みに、刹那の夢見し安逸の場-----

     そして止まり木とは.....
     それは夜の帳に覆われた街に、ひっそりと佇む静穏の酒場-----

     さて.....  今宵、その止まり木に訪れし方は-----


         :サンドリオンの店内 -----


男    「そういえば初めてだな ... 一人でここへ来るのは ... 」

マスター 「確か、そのように記憶しております」

男    「 ... 実はね、彼女が見つけたんですよ、ここは」

マスター 「そうでしたか ... 」

男    「知り合って間もない頃、二人の中間地点がちょうどこの辺りになるんで、どこか
      いい雰囲気の店がないかって探し始めた矢先に、彼女がここを最初に見つけて
      ボクを連れて来たってわけで ... 」

マスター 「それで気に入って頂けたと?」

男    「気に入るもなにも ... 小粋なジャズが流れてて、物静かで綺麗なマスターがいる ...
      その上カクテルの味も逸品となれば、誰だって気に入るでしょ、普通」

マスター 「恐れ入ります ... それは彼女も同じご意見だったのでしょうか ...?」


男    「それはもう ... 特に彼女の場合は、マスターが気に入ったようです。
      ... 女が惚れる女 ... マスターはハンサムウーマンだって」

マスター 「ありがとうございます ... 光栄ですね ... 」

男    「ボクも同感ですよ、その意見には。すばらしい女性だと思いますね、マスターは」

マスター 「それは少し、問題発言ですね」

男    「(少し笑って)そうなるかな ... 」


         :男、おもむろにタバコをくわえて火を点ける -----
         :ライターの音 -----
         :ゆっくりと、一口吸う -----


男    「 ... マスター。ボクがこうしてここに一人でいると、やっぱり不自然ですかね ... 」

マスター 「 ... と、おっしゃいますと?」

男    「自分でもよくわからないんだけど、何かこうぎこちなくて ...
      正直言って落ち着かないんですよね ... せっかくマスターともこうして話が出来たのに
      何だか話題も乏しくって ... 」

マスター 「そうは感じませんが ... 」

男    「今の自分を例えれば、そうだな ... 短針のない時計みたいなものかな ... 」

マスター 「短針のない時計?」

男    「(少し笑って)フフ ... 結局、不自然ってことなんですよね ... 」

マスター 「理解しやすい例えですね」

男    「何か今のオレ、支離滅裂だなァ ... 」

マスター 「仕方のないことかも知れませんね ... 今の例えでおっしゃるのなら ... 」

男    「エ ...?」

マスター 「長針だけでは、今を知る術がないのですから ... 」

男    「今を知る術 ... ?」

マスター 「 ... 時を刻めない、ということですから ... 」





posted by マスターの知人 at 00:00 | Comment(1) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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