2011年08月09日

ドライフラワー -scene:4-






         :サンドリオンの店内 -----


バーテン 「外 ... 止んだようですね」

男    「そんな雰囲気だな ... 」

女    「アタシ ... 帰るわ」

男    「傘はもういらないな ... 」

バーテン 「大丈夫でしょうか? まだ濡れてるようですが ... 」

女    「今のアタシには、これくらいの水気があった方がいいのよ ... 」

男    「それは ... ドライフラワーだから?」

女    「解釈はお好きなように」

バーテン 「是非また、お越しください ... 」

女    「ヴァージン・メアリー ... 美味しかったわ」

バーテン 「ありがとうございます」

女    「藤堂さんだったっけ ... 」

男    「今度は何かな ...?」

女    「今度もし会えたら ... 一緒に飲もうよ ... 」

男    「そうだな ... もし会えたらな ... 」

女    「その時はアタシ、ちゃんとハイヒール履いてるから ... 」

男    「ついでに傘も、持っててほしいな」

女    「雨が降ってればね」

男    「確かにそうだな ... 」

女    「約束よ」

男    「今度見かけた時に、決めるよ」

女    「どうして?」

男    「もし隣に誰かがいれば ... 誘う必要もないだろうから ... 」

女    「それは ... きっとないと思うけど ... 」

男    「何せ人の心は ... カクテルみたいなものだからな」

バーテン 「それって、私の受け売りじゃないですか、藤堂さん ... 」

男    「これはマスターからの受け売りだよ」

バーテン 「何だ ... ご存知だったんですか ... 」

女    「それじゃ ... アタシはこれで」

男    「今度は雨に降られないようにな」

女    「さよなら ... 」

バーテン 「ありがとうございました ... お気をつけて」


         :女、店を後にする -----

        SE:ドアの閉まる音 -----



女    「人の心は、カクテルか ..... 」


        SE:女、歩き出す -----

         :しばらくして、子猫の鳴き声 -----


女    「あ ..... さっきの子猫 ..... 」


        SE:子猫の鳴き声 -----


バーテン(Na) それから藤堂様は、おもむろにこんなことを話されてました -----

       昔、パリの裏町の花売り娘が、売れ残ったバラの花束を綺麗に部屋に飾ると
       そのやさしさにバラは涙を流して、ドライフラワーになったんだと .....


        SE:子猫の鳴き声 -----


       その子猫は ..... 何故かドライフラワーを一輪、くわえていた -----

       あの夜から ..... その彼女と出会った人は、誰もいない -----





posted by マスターの知人 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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