2011年08月07日

ドライフラワー -scene:2-







         :サンドリオンの店内 -----



バーテン 「今夜は、お一人じゃないんですね」

男    「最初は ... 一人だった」

バーテン 「エッ ... ?」

女    「声かけられたの、アタシ」

バーテン 「藤堂さん、が?」

男    「確かに声はかけた ... が、少しニュアンスが違うな、君の想像とは」

バーテン 「想像って ... 」

女    「雨でずぶ濡れになったアタシに、傘持ってけって、声をかけてくれたの」

バーテン 「そうなんですか ... 」

女    「藤堂って云うんだ ... 」

男    「君は ... 確かバラだったっけ?」

バーテン 「バラ?」

女    「だからそれは ... 」

バーテン 「失礼ながら ... 変わったお名前なんですね ... 」

女    「そうじゃなくて ... もう ... 根に持つタイプなんだね、オタク」

男    「相手によるんだ ... 」

バーテン 「 ...?」

男    「それよりマスターは ...?」

バーテン 「申し訳ございません ... 今夜は出掛けております ... 」

男    「そうか ... 留守か。なら帰るかな」

バーテン 「ど、どうしてです? 藤堂さん」

男    「マスターが留守で、おまけにろくに客のオーダーも聞かないバーテンがいる店には
      用がないな、オレは」

バーテン 「あ、申し訳ございません! ご注文はいかがいたしましょう?」

男    「やれやれ ... オレはいつものアドを」

バーテン 「かしこまりました ... (女に)で、お客様は ...?」

女    「アタシは ... そう、ブラッディ・メアリを」

バーテン 「はい ... 承知いたしました」


        SE:それぞれの材料が入れられ、シェークされる -----
          :その音にまぎれて -----


女    「アドって、どんなお酒?」

男    「アドミラルという、ドライカクテルだよ」

女    「ドライカクテルね ...。 ところでさ ... どうしてアタシに声をかけたの?」

男    「さっき云わなかったかな ... 」

女    「あれは答えになってないでしょ ... 」

男    「じゃ、想像に任せるかな ... 」

女    「今度は冷たいんだ ... 」

男    「きっと雨のせいで、あったかく感じたんじゃないか ... さっきは」

女    「惨めだった? それとも哀れに見えた? アタシが」

男    「どう答えれば満足なのかな ...?」

女    「エ ...?」

バーテン 「お待たせいたしました ... どうぞ」


        SE:それぞれの前にグラスが置かれる -----
          :それぞれがカクテルをゆっくりと一口 -----


女    「誘うつもりだったんでしょ?」

男    「誰が?」

女    「今、私の隣にいる人が」

男    「誰を?」

女    「このアタシを ... 」


        SE:男、ジッポーでタバコに火を点ける -----
          :ゆっくりと一口 -----


女    「図星でしょ」

男    「だったら ...?」

女    「だったらって ... 」

男    「そのつもりだったら ... 行き先が少し、違ったな ... 」

女    「 ..... 」

男    「もっと大事にしたら? 自分を」

女    「いいの ... どうせ ... どうせアタシは ..... ドライフラワーなんだから ... 」

男    「ドライフラワー .....?」





posted by マスターの知人 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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