2011年08月04日

pendule 〜 時 計 〜 -scene:4-





         :サンドリオンの店内 -----


女    「もう、こんな時間か ... 」

バーテン 「まだ、お見えにならないご様子ですね ... 」

女    「そうね ... でもひょとしたらもう ... 来ないかもしれない... 」

バーテン 「お約束の時間、そんなに過ぎてらっしゃるんですか ...?」

女    「そうですね ... かなり ... 」

バーテン 「それでしたら、そのうちご連絡でもあるのでは ... 」

女    「それならもう、とっくにあってもいい頃なのに ... 」

バーテン 「そうなんですか ... 」

女    「もう、来れないのかもしれない ... 」

バーテン 「お見えになれない? それは... 」

女    「そうね ... きっとそうなんだ ... 」

バーテン 「お客様 ... 」


        SE:男の携帯電話が鳴る -----


男    「失礼 ..... (電話を取り)はい ..... ああ、私だ ..... 」


女    「バーテンさん ... もう一杯、頂けるかしら ... 」

バーテン 「はい、かしこまりました」


        SE:シェーカーにテキーラ、ブルー・キュラソー、ドランブイ(各30ml)が
          入れられ、シェークされる -----


男    「そうか ... わかった ... ご苦労 ... それじゃ、私もここを引き上げるから
      その間、頼む ... (電話を切る)」

マスター 「何か ... 」

男    「 ... すべて終わりました ... 」

マスター 「エッ ...? それでは ... 」

男    「そう ... お察しのとおり ... たった今、この店の前で ... 」

マスター 「そうですか ... 」

男    「ご協力、ありがとうございました」

マスター 「いいえ、とんでもございません ... それより、彼女は ... 」

男    「そうですね ... 」

バーテン 「お待たせいたしました ... どうぞ」   
    

女    「どうもありがとう ... 」

男    「コルコバード ... リオにある丘の名前でしたね、それは」

女    「エッ?」

男    「確か5年前に、奴と出逢った想い出の場所 ... 」

女    「どうしてそんなことを ...?」

男    「そしてこれからの二人の逃亡先でもあった ... 」

女    「!... 」

バーテン 「逃亡先 ...?」

男    「奴はもう来ない ... 」

女    「 ... それじゃ、あの人は ... 」

男    「たった今、逮捕した ... この店の前でね」

女    「 ... そんな ...」

男    「犯した罪を道連れに、コルコバードのキリストには会えないだろう ... 」

女    「!... そうですね ... 確かにそうですよね ... 」

男    「詳しい話を聴きたいんで、一緒に来てもらえるかな ... 」

女    「わかりました ... 」

バーテン 「お客様 ... 」

女    「バーテンさん ... さっきあの時計のことでとやかく云ってたけど ...
      よく考えてみたら、時間が止まった時計って素敵なのかもしれない ... 」

バーテン 「それは、どういう意味なんでしょうか ...?」

女    「だって ... もし好きな時に時間を止められたなら、私たち幸せになれたかも
      しれないもの ... 」

バーテン 「 ... それは ... 」

マスター 「失礼ながら、お客様 ... お二人の時計は今ここで、止めるわけにはいかないのでは
      ないでしょうか ... 」

女    「エ ...?」

マスター 「戻らない時間を惜しむより ... やがて訪れる時間を見つめることの方が ...
      大切なことではないでしょうか ... 」

女    「やがて訪れる時間 ... 」

男    「さあ、いいかな ... 」

女    「素敵な言葉をありがとう ... マスター」

マスター 「いいえ ... 恐れ入ります ... 」

バーテン 「ありがとうございました ... 」

マスター 「どうぞ、お気をつけて ... 」


        SE:ドアの閉まる音 -----





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posted by マスターの知人 at 00:00 | Comment(1) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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