2011年08月03日

pendule 〜 時 計 〜 -scene:3-





         :サンドリオンの店内 -----


女(Na)  あの人が来ない ....
      約束の時間はもうとっくに過ぎてるのに -----

      今更もう後戻りなんか出来ない .....
      犯してしまった罪を消すことは出来ないのだから ...
      それならいっそのこと、二人でいたい .....
      いつでもいつまでも一緒にいたい .....
      彼と離れることなんか、今の私には考えられない .....

      だから -----
      罰を受ける苦しみよりも、罪を背負って逃げる苦しみをあの人は選んだ .....
      どこまでも地の果てまでも、逃げることしか術がない ....
      それしか二人が一緒にいられる術がないから .....
      私たちはそう考えた -----

      そう .....
      明日の朝一番の便で、あの思い出の地リオへ旅立つ .....
      逃亡という名の旅路に、二人で旅立つ -----

      ..... それなのに、あの人が来ない .....
      もうこんな時間なのに .....

      無情にも、時間が不安だけを私に預けて過ぎて行く -----

      !..... まさか、あの人 .....


        SE:グラスの中で転がる氷の音 -----


バーテン 「お作りいたしましょうか ...?」

女    「エッ? ..... ああ、お願いします ..... 」

バーテン 「かしこまりました ... 」


         SE:シェーカーにテキーラ、ブルー・キュラソー、ドランブイ(30ml)が
           入れられシェークされる -----
          :やがてクラッシュド・アイスを入れたタンブラーに注がれ
           レモネードで満たし、ライムのスライスが飾られる -----


マスター 「そうでしたか ... ですが、そのような方からのご連絡は、まだ一度も ... 」

男    「そうですか ... それなら、待つしかないな ... 」

マスター 「でも ... 何かの間違いでは ... あのお客様に限ってそんな ... 」

男    「私、仕事中にこうして酒を飲んでますが ... 決して冗談や作り話をしたくて
      ここに来た訳じゃないんですよ ... 」

マスター 「はい、それは ... 」

男    「実際、因果な仕事ですよ、これは。だから私の場合、こうして自分なりのスタンスで
      やってるんですよ ... もっとも、あまり上への受けは良くないですがね ... 」

マスター 「失礼ながら ... そのような方がいらっしゃってもいいのではなかと思いますが ... 」

男    「ありがたいですね、そう云ってもらえると ... それなりに励みになりますよ」

マスター 「恐縮です ... それにしましても、本当に来られるんでしょうか ... 」

男    「多分、来るでしょうね ... いや、きっと来るはずです ... 」

マスター 「どうしてそう ... ?」

男    「奴にはもう、彼女しかありませんからね ... 」

マスター 「彼女しか ... 」

男    「時に人は ... 愛する者のためなら、罪も犯す ... これ、悲しい現実です ... 」

マスター 「愛し合ってるんですね、二人は ... 」

男    「だから来るんですよ、彼女に逢いに ... 必ずね」

マスター 「でももう、かなり時間が過ぎているのでは ... 」

男    「それはこの際、関係ないでしょう ... 」

マスター 「と、申されますと ...?」

男    「あの二人は今、目の前を過ぎて行く時間より、これから過ごす時間の方が大事なんです
      から ... それに」

マスター 「それに ... 何でしょうか ...?」

男    「時間ってやつは ... 所詮、誰にも止められないものですからね ... 」




posted by マスターの知人 at 00:00 | Comment(1) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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